脳内シナプス会議【お題:情景描写】
脳内シナプス・司会担当(以下司会)
「諸君! 今度のお題は情景描写ということで、意見はなにかないか?」
脳内シナプス・平凡担当(以下平凡)
「お題とか言って、また新しいの書くのかよ? 書きかけばっか、溜まってるぜ?」
脳内シナプス・皮肉担当(以下皮肉)
「整理整頓の能力に乏しい作者なんだから仕方ないさ。書き散らしてくだけなら、素直に短編だけ書いてりゃいいのにね。」
脳内シナプス・熱血担当(以下熱血)
「待てよ! そんな言い方ってないだろ、長編でしか書けないものもある、ついつい壮大なストーリーを考えてしまうのも、浪漫を追いかけたいからじゃないか!」
脳内シナプス・もののふ担当(以下もののふ)
「浪漫は今問題ではないな、整理能力があるかどうかと浪漫は関係のない話だと思うぞ。」
司会「そうだな、浪漫も整理能力も今はまるで関係ない話だ、解かってんなら混ぜかえすなよ、そこ。」
もののふ「すまん、」
熱血「ごめん、」
平凡「なぁなぁ、情景描写なんてさ、テキトーにそこらの景色を書き出しとけばいいんじゃねぇの?」
もののふ「そういうものではない、机一つでもどういう材質でどのような風情なのかを書かなければ意味がない。」
平凡「風情ねぇ……、」
もののふ「そうだ。物には歴史がある、その歴史背景を無視して描写しても薄っぺらいものにしかならんのだ。」
司会「あっ、そうだ。ちょうど良く、作者は世紀末を舞台にした作品を書きたいと思っているところだ、これを議題に考えてみるのはどうだ? みんな。」
熱血「うん、面白いと思う、賛成!」
皮肉「別にいいんじゃない? ホントは書きかけの続きでも書いた方がよほど有意義だとは思うけどね。」
平凡「それ言ったら、始まらないってぇ。」
皮肉「第一、世紀末のハードボイルド物と現代舞台の推理物と連載中の流行りモノと、気紛れにどっちつかずで進めてるじゃない、やる気ないんだよ、この作者。」
もののふ「やる気というより、優柔不断と言うべきだな。」
司会「そんでお前らは、纏める気力に欠けてるよな。」
皮肉「はっはっはっ、皆、この作者の脳みそじゃないか。やだなぁ。」
司会「開き直りやがった。とにかく話が進まんから俺の独断で決定するぞ、今回は世紀末ハードボイルド作品での舞台設定会議だ、異論は認めん!」
皮肉「横暴だー、僕はスプラッタな推理小説の舞台設定のが好きなのに。」
熱血「あっ! やりたいって言ってるのが居るなら、そっちを優先にすべきだと俺は思う!」
皮肉「やりたいとは言ってないよ。」
熱血「くっ、」
司会「やかましい! 話がぜんっぜん進まねーんだよ! ここまでで1000文字超えちまった! 推理物の場合は舞台より先にトリック考えて、トリックに合わせた舞台を探すって作業だろ! 今回は逆なのっ!」
もののふ「そうだな、推理小説はまず仕掛けありきだから題材としては多少不向きな面もあるか。主題が情景描写というならば、情景が作品構成の上で先にくるジャンルの方がいいだろう。」
平凡「そんなん、どれでも一緒じゃね? ジャンルで違ってくるもんなの?」
司会「そりゃ多少の違いは出てくる。誰もが知っている世界、つまり現実の今生きているこの世の中が舞台なら、そもそも舞台となる世界そのものの設定なんかは要らないだろう? けど、異世界だとかなら、世界そのものから考えなきゃならない。」
もののふ「世界の見えている姿はもちろん、見えない部分……歴史や文化なども考えねばならないな。その世界が生誕してからの、生物相の変転、組成、大まかなものでも良いが、惑星としての歴史は必要だ。」
皮肉「パラレルワールドにしちゃったらいいよー。そしたら、星の歴史は地球と一緒☆」
司会「現実世界にない要素は一切出せないけどな。」
もののふ「魔法だの神だの、世界に大きな影響を及ぼす存在を入れ込むならば、やはりある程度の歴史は作っておくべきだろうな。」
皮肉「科学の代わりに魔法とか落としこんでさ、他には一切関わらない素粒子をでっちあげればいいよ。魔法元素マナとか何とか言ってね、生物相にも関わらないから地球の生態プラス魔法元素ありの生態のダブルで存在するってことにするのさ。」
もののふ「生態系が二つ存在するなら、相互に関連していくので、やはり詳細を考え計算する必要があるではないか。地図が違えばそれだけで生態系は違ったものになる。」
平凡「そこら辺は内容に出さなきゃいいんじゃね? 居るもんは居るんだっ、て押し通すとか。」
皮肉「面倒だったら、パクっちゃえばいいんだよ。ゲームとか。テンプレ、テンプレ。」
もののふ「それは確かに楽ではあるだろうが、身も蓋もないぞ。」
司会「けどまぁ、ベースに地球の生態系を置いて、そこへ魔法生物の生態系を重ねるってやり方が楽といえば楽だよな。地球誕生のいずれかの時点で、魔法元素マナが発生したらそこから分岐するわけだし。地図は同じでないとおかしいけどな。」
もののふ「いや、大陸分断の時期に変化があったとなれば、地図が多少は違っても構わんだろう。」
熱血「太古の地球には巨大生物が闊歩した時代が確かにあったんだ! そのままで進んでいたら、完全に今とは違うワールドが広がっていたんだぜ!!」
司会「そこら辺から始めちゃうとまた、ややこしくなっちまうんだよなぁ。恐竜とか。」
熱血「恐竜が、ドラドンに進化するんだよ! 浪漫なんだよ!!」
もののふ「恐竜が進化すると、か。哺乳類も当然生まれてはくるのだろうから、生物相が面倒なものになりそうだな。そも、鳥類から恐竜に進化し、また鳥類に戻ったともされているのだから、巨大鳥という基礎になりそうな予感もある。」
皮肉「ダチョウが空を飛んだりね。」
平凡「ロック鳥だろ、常考。」
熱血「飛行機という鉄の塊だって空を飛ぶ。グライダー形式だったけど空を飛ぶ恐竜も存在してたんだから、浮力の問題さえ解決すればなんとかなるはずだ! それこそ、万能元素のマナだとか!」
司会「とまぁ、こんな風に世界を設定してから、その世界の風景を想像して描写しないことにはな、て話なんだよ。」
皮肉「推理物ならリアル現実世界の描写をするだけでいい訳だけど、細かい歴史を作る必要はなくてもリアル現実での細かい歴史を知ってる必要はあるしぃ? どっちもどっちじゃない?」
平凡「じゃあ、未来は? ハードボイルド小説の舞台は未来の荒廃したヒャッハー!なんだろ?」
もののふ「ひゃっはぁ?」
皮肉「超メジャーな漫画で、一世を風靡した世界観だよね、あれ。てか、だいたい世紀末世界だの荒廃した未来だの言うと、あれのパクリばっかり。」
司会「あれ自体が外国映画のインスパイアなんだけどな。」
皮肉「そうそう。だから、洋の東西を問わず、荒廃した世界といえばアレがメジャー。テンプレ。」
平凡「アレを想像させない荒廃した世界ってのが、なかなか見ないっていうかだもんな。異物の侵入で地球の生態層がぶっ壊れたっていう設定のアニメ、こないだ見たけど。」
もののふ「ああ、あのロボットアニメか。途中の一話二話を観ただけでよく話が分かったな。」
平凡「実はさっぱり?(笑 」
司会「荒廃した世界が出現するには、現状の世界をぶっ壊す原因が存在するわけで、それをまずは考えなきゃいけないからな。あのアニメだと宇宙から来た二種類の生命体だったわけだけど。」
もののふ「世界がそうなるには原因がある、因果の関係か。構想中の作品の場合、見えている舞台は雪が深い廃墟だろう? 見渡す限り、かつては大都市だったものが廃墟の瓦礫と化している、その景色が出来上がった背景をまずは考えることから始めねばならん。」
皮肉「なんで廃墟になったのか? 戦争で一気にそうなったのか、疫病で死滅した後に老朽化してったのか、それだけで経過した時間も廃墟の様相も違ってくるもんね。」
もののふ「描写というものは詳細になる、そうなれば背景もおのずと浮かび上がって来ざるを得ない。描写の時にその世界の背景が決められていなければ、熱量で歪められた鉄筋と年月を経た古い時代の家屋が同居するという混乱が生じてしまう。」
熱血「一部で核などが人類を滅ぼしたとして、死の灰が他の地域に時間経過後の廃墟を作るってのはあるだろ?」
皮肉「それは計算が出来てるじゃない、溶けてぐにゃった東京タワーと埃が積もった雷門が同時に存在したらおかしいって話だよ。核の範囲を想定してないでしょ?」
司会「そんで、人類が死滅してしまってると困る場合には、適度に生き残っていられる状況にしないといけないわけだ。」
もののふ「それがまた厄介だろうな、核で文明崩壊まで行ったのなら、相当の年数で文化的生活は不可能と見なければならない、そうなれば生々しい廃墟が残っているかどうかも怪しくなってくる。時間が経てば自然界の回復力で廃墟は森に変わっているかも知れん。」
皮肉「人類が住めるようになるって事はある程度汚染も収まってて、他の生物も住めるってことだもんね。」
平凡「リアルの原発事故とかを調べるとさ、被爆地と他地域の差もデカいから、そこら辺がキモになるんじゃね? 核で壊滅した地域と、周辺の汚染軽度の地域とかさ。」
司会「核に拘る必要があるならアレコレは考えるべきだが、スタンダードのひゃっはー世界を回避して、違う世界観を構築したいなら、別の文明崩壊をシミュレートしないと駄目だろうな。」
もののふ「荒野と瓦礫ばかりの土地と、安易に決めてしまうのも考え物だ。その舞台は現実のどの地域なのか? 荒野であるからには現時点でも気候的な縛りが入り、地域は限定されてしまう。中東か、あるいはスペインあたり、中南米の限られた土地だけだ、広大と呼べる荒野が存在するのは。」
皮肉「その辺は地殻変動とか、気候変動でも誤魔化せるけどねー。食糧生産だとかに関わってくるから、余計な計算は増えるよねっ☆」
熱血「核の嵐が吹き荒れた時……、南米やアフリカの広大なジャングルは、どうなってしまうんだろう……、」
皮肉「ググれば論文くらいは出てくんじゃない?」
脳内シナプス・おにゃのこの幻影(以下マボロシ)
「ふぁー。おはよぉー、なんか進展したぁ?」
司会「会議にまったく参加する気ナシ、か。女の子は背景じゃないとか、高飛車姿勢でいるから、フワフワして存在感のないヒロインしか描けないんだぞ。」
マボロシ「えー。だってぇー。あたし、わっかんなーいっ☆」
もののふ「作者の、女性性への悪意を感じる。」
皮肉「女の子はこのくらいが可愛いとかいう価値観だからね。」
平凡「女の子一人も登場させずにBLじゃない長編書いた作者だからな、マジで要らんとか思ってんだぜ。」
もののふ「悪循環というのだ、女を出せば薄っぺらくなるから出さない、出さないからますます女を存在感ある者として書けない……、」
皮肉「要するに嫌いなんだよ、女の子。」
熱血「女の子はいいものなのにー! 浪漫の塊じゃないかっ!!」
司会「まぁ、マスコット程度にしか存在価値を置いていない向きはあるかもな。マボロシと評してしまう辺り、深く掘り下げるつもりもないみたいだし。女はいつもミステリー、永遠の謎?」
もののふ「だから悪循環になると……、ええぃ、もう知らん。」
司会「人物を書く場合でも、情景描写と同じことが言えるわけでさ。いや、その世界に生きているってことで、情景とは密接に関連してくるんだから、世界がまず設定されていないと生きた人物を作り出せないよな。」
マボロシ「そこに生きる一般の人々がベースになってなきゃオカシイじゃない。一般人がどういう人々かで、その世界の王侯貴族がどういうものになって、その子弟であるお姫様がどうなのかってディテールも決まるんだから。女の子だけ切り離すからフワフワしちゃんでしょ。」
熱血「いや、女の子ってのは浪漫だから。夢の具現だから、あんまりリアルでも絶望感とゆーか。」
もののふ「そもそも男女差というものが、際立って違いがあるものという訳でもないからな。」
平凡「突き詰めると女の子の存在価値が、繁殖しかなくなっちまうんだよな。男が女を必要としない限り、すべてが男だけで成り立ってしまうから。軍隊とか国政とか食糧生産から何から何まで。」
司会「というか、性別の必要性が他にはないっていうか、だな。本当に繁殖の為だけに男女で凸凹の違いがあるってだけだし。あとの部分は個人差とか個性の範疇でもいけそうだ。」
皮肉「体外で子供増やせるなら、性別無くなった統一した生物になるんじゃない? 二つの性別が存在する必要はないよね。女性形のが有利か、男性形のが有利かってのはあるけど。性器は無くなるよね。」
もののふ「それはそれでまた一つの命題ではあるな。」
熱血「女しか居ない世界の情景と、男しか居ない世界の情景か。二つの世界はどういう違いがあるのか、浪漫だな。」
皮肉「対して違わないと思うけどなー。」
平凡「宝塚と新宿二丁目だろ?」
司会「あー、またグダグダになってきたっ! 絶望したっ! これにてお開き、寝るぞ、お前ら!」
全員「おやすみー。」