第一話
めがさめると、窓から暖かい光がさしこんでます。
7月25日。夏です。
私、神埼カンナは今日も・・・
「おはようございます、ママ上」
てろてろと階段を下ります。私のお部屋は2階です。
「あらカンナ。早かったのねぇ」
「2度寝したらいけないと思って」
「そうねぇ、起きれなくなるものね」
うふふ、とママ上は笑いながら朝食作り。
自分のママ上に言うのもなんですが、自慢のお人です。
美人で、くるりくるりとカールのかかった明るい茶色の髪の毛は、
とても38さいのものとは思えなくて。
朝ご飯を食べて、支度をして家を出ます。
今日は金曜日なので週の締め。
「いってきます」
はーい、とママ上のお返事。
ちなみにパパ上はたんしんふにんというやつです。
よくわかりませんが、ママ上によると
「男のひとが愛人をつくって一瞬の夢を見るとき」だそうです。
よくわかりません。
いろいろ考えていますとあっという間に学校です。
校庭では、みんないつも私をじろっじろみてこっそこそと何か話し合っています。
正直怖いです。
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「今日も可憐だなあ、カンナさん」
「大和撫子ってあーゆう人のことなんだねー」
「あーあ・・・あたしもあんな容姿に生まれたかった!」
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ほんと何なんでしょう。
もしやこれがいじめというやつですか??
私はどうしたら・・・。
カンナはじっとその場で固まっていた。
いつもながら、人々の視線が痛い様子。
しかしその視線は羨望のもので、
とても喜ばしいのだが。
カラスの毛のように茶色の全く含まれない髪の色、
端正な顔立ち、
ただようオーラが、
孤高の美女を演出させる。
正直とても近寄りがたい。
そんな調子で、中学も終わりに近づいた3年の夏なのに友達は0。
唯一話しかけてくれる、気になる男子・・・はいるのだが。
「おっはよ!カンナ」
城川佐季くん、というクラスメート。
「お、ぉはよう!!」
わ、わ、ゎ、佐紀君だ!!!!!!
挨拶してくれた・・・
やっぱり、やさしい。
「今日いつもより早いな?」
「あぁ、うん、えと、早く起きちゃったから。佐紀君は?」
照れるなぁ、男の子とはなすの。
「サキって呼んだらいいのに・・・律義だなぁ。俺は委員会の仕事―」
顔が赤くなるのを感じます。
きっと佐紀君に守ってもらえる女の子って幸せ・・でしょうね?
佐紀君、私のこと守ってくれたり・・・
あああああああぁっぁぁぁぁぁっぁああだめだめだめだめ!!!!!
だめですー!
おこがましいよ!私なんかに話しかけてくれるだけでも奇跡なのに。
・・・いつのまにか佐紀君はいなくなっていました。
残念なような、ドキドキがおさまってほっとしたような。
私も校舎に入ろう。
さっきよりみんなの視線があつまって・・・。
図書室でおとなしく読書でもすることにしましょう。
ー図書室ー
ふぅ。よかった誰もいなくて。
これでやっと落ち着いて過ごせる。
何を読もうかな??
「赤毛のアン」「人間失格」
の2つのどちらかにしましょう。
私的には「人間失格」というのがとても気になります。
でもでも、なんだかちょっとあんな表現があるとネットで見たような・・。
じゃあ、「赤毛のアン」
を読みます。
というのはフェイントで、
「人間失格」を読んでカンナは
おとなになります!!
えーっと・・・なになに
どかあああああああああああぁぁぁぁっぁあああん!!!!!!!!!!!!!!
「ふぉわっ」
な、何の音!?
映画で聞いたような爆発音・・・いったいどこから・・?
図書室から出てろうかのまどから身を乗り出すと、
黒い煙が向かいの校舎から!!
あそこには相談室があり・・・
相談室では、佐紀君たち放送委員が活動を・・・
「佐紀君ッ!!!!」