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変な二人  作者: 八車 雀兄


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7/7

声のはなし

 前にセイちゃんから、タマネギの刻み方を教わるのに、手元の動画を撮った。



 それを再生して、見ていると、



「俺の声、こんな?……キモ。音消せよ」



 と、言われてビックリした。



「カッコいいじゃん。低くて」



「いかにもな、キモいオッサン声で、聞きたくねぇ」



 ドン引きしていた。



「そんなことないよ。世界一安心する声なんだけどな」



 今度はセイちゃんが驚いたみたいだった。

 でも、ちょっと、口許が緩んでる。嬉しそうだった。



 セイちゃんはシャイで、引っ込み思案だけど、何かあると必ず俺に話してくる。



――男って、すぐ浮気するって言うけど。セイちゃんはしなさそう……されたら、ヤダなぁ。

 俺も男だけど、セイちゃんより好きな人なんて、いないしなぁ――。



 前に三個上の先輩に告られて、キスした気がする。あれは、浮気――?



 でも、あの頃セイちゃんが俺のこと振り続けてたし、浮気じゃないか。


 でもでも、セイちゃんがなんか、先輩とのキスを見て、リンゴジュースに八つ当りするくらい怒ってた気がする――。



 その時は、セイちゃんが、先輩とのキスを泣いて怒ってくれたことが、嬉しかった――。



――懐かしい……。香坂先輩、今何してるんだろう。毎年年賀状だけはくれるんだよな。


 そして、香坂先輩のお年玉年賀ハガキは、なぜか当たるから、まだ引出しの中にあったかも。


――全部まとめて捨てよう。



 ぼんやりソファーで香坂先輩のことを考えてたら、セイちゃんに呼ばれた。



――寝たふりしよう……。



 もう一度呼ばれる。


 セイちゃんに名前を呼ばれるのも好き。



「なんだよ。寝てんじゃん――」



 少しガッカリした声だ。昼ご飯の話だろうな。



――キスしてくれたら、起きるよ?



 ワクワクして待ってたら、毛布をかけられ頭を撫でられた。目を開ける。



「あ、悪い……。寝てて良いよ」



 セイちゃんは、文句を口にしてたのに謝ってくる。



「キスしてくれたら、起きるよ?」



「ずっと、寝てろ。……今日カレーで良いだろ?」



 呆れてキッチンへ行ってしまった。



 セイちゃんは照れ屋だから、捕まえるのが難しい。



 起きて手伝おうかと思ったけど、止めた――。



 カレーが出来て起こしに来た時に、



「仕方ねぇな……」



 と言いながらキスしてくるのを待つためだ。



 俺は、毛布を鼻まで引き上げて寝たふりを再開した。



 しばらくすると、セイちゃんがまた俺を呼んだ。



 俺は目を閉じ、セイちゃんの声が近づいてくるのを待ちかまえた――。

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