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変な二人  作者: 八車 雀兄


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5/7

ロングスリーパー

 明日人(あしと)の睡眠時間は長い。



 一日大体、九時間。長いと十二時間も眠る。



 そのため、大学に入ってからも健康的な生活を送っている。



 夜、二人で過ごしていても先に寝てしまう。



「今夜、セイちゃんの部屋行っていい……?」



 と言われ、金曜日の夜に水谷は部屋で二時間待った。



 明日人が、全く来る気配がないので、様子を見に行くと、風呂から上がって、即寝落ちしていた。



 だから、電気を消し、布団をかけ直した、



――あー。まぁ、良いけどな……。



 流石に翌日謝られたが、睡眠>食欲>性欲という、明日人らしさに、妙に安心してもいた。



――ファンタジーだよな……一晩中するって。知らんけど。



「ごめんね! セイちゃん!」



「別に良いよ。疲れてたんだろ――?」



 大人としての包容力を見せ、朝食を出した。



 顔に、残念――。と出てるのは隠せないが。



「今夜は、埋め合わせするから!」



「気にすんなよ。お前の体調の方が優先だ」



 頭を撫でて、優しく額にキスした。



 欲求不満の解消法は、体を動かす。



 明日人と暮らしてから、一日十キロ走り込むようになった。



 お陰で風邪も引かず、健康を維持出来ている。



 体力を使いきると、何も考えず眠れるからだ。



――俺は、いつまで大人役をすれば良いんだろう?



 自分からは降りられないゲームを始めた以上、死ぬまで続くと思っていたが、明日人はもう隣にいる。



 息が上がってランナーズハイが来るまで、水谷はそんなことを考えていた。



 家に帰ると、部屋が暗く人気がなかった。



 気にせずシャワーを浴びて出るが、昼になっても帰ってこない。携帯に連絡しても反応がなかった。



――誰かと遊びに行ったのかな? 連休だしな。



 家事を一通り終え、年末にお茶を濁したガスコンロの掃除を始めたら、暗くなった。



 新品同様まではいかないが、静かな達成感に溢れていると、明日人がのそのそ部屋から出てきた。



「おはよー……」



「お前、いたのか?」



「うん。寝てた……」



 あくびをしながら、明日人は返事した。



――あんだけ寝たのに? まだ寝れンの?



「お腹空いた。なんかある?」



「今作る。ちょっと待ってろ」



 使い捨てゴム手袋を外して捨てた。



「セイちゃんが、食べたい――」



 明日人が背中から抱きついた。



 凪いでいたものが、一気に大きな波になる。



 だから、そのまま夕飯もとらず、水谷は明日人の部屋に翌朝まで籠った――。

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