ロングスリーパー
明日人の睡眠時間は長い。
一日大体、九時間。長いと十二時間も眠る。
そのため、大学に入ってからも健康的な生活を送っている。
夜、二人で過ごしていても先に寝てしまう。
「今夜、セイちゃんの部屋行っていい……?」
と言われ、金曜日の夜に水谷は部屋で二時間待った。
明日人が、全く来る気配がないので、様子を見に行くと、風呂から上がって、即寝落ちしていた。
だから、電気を消し、布団をかけ直した、
――あー。まぁ、良いけどな……。
流石に翌日謝られたが、睡眠>食欲>性欲という、明日人らしさに、妙に安心してもいた。
――ファンタジーだよな……一晩中するって。知らんけど。
「ごめんね! セイちゃん!」
「別に良いよ。疲れてたんだろ――?」
大人としての包容力を見せ、朝食を出した。
顔に、残念――。と出てるのは隠せないが。
「今夜は、埋め合わせするから!」
「気にすんなよ。お前の体調の方が優先だ」
頭を撫でて、優しく額にキスした。
欲求不満の解消法は、体を動かす。
明日人と暮らしてから、一日十キロ走り込むようになった。
お陰で風邪も引かず、健康を維持出来ている。
体力を使いきると、何も考えず眠れるからだ。
――俺は、いつまで大人役をすれば良いんだろう?
自分からは降りられないゲームを始めた以上、死ぬまで続くと思っていたが、明日人はもう隣にいる。
息が上がってランナーズハイが来るまで、水谷はそんなことを考えていた。
家に帰ると、部屋が暗く人気がなかった。
気にせずシャワーを浴びて出るが、昼になっても帰ってこない。携帯に連絡しても反応がなかった。
――誰かと遊びに行ったのかな? 連休だしな。
家事を一通り終え、年末にお茶を濁したガスコンロの掃除を始めたら、暗くなった。
新品同様まではいかないが、静かな達成感に溢れていると、明日人がのそのそ部屋から出てきた。
「おはよー……」
「お前、いたのか?」
「うん。寝てた……」
あくびをしながら、明日人は返事した。
――あんだけ寝たのに? まだ寝れンの?
「お腹空いた。なんかある?」
「今作る。ちょっと待ってろ」
使い捨てゴム手袋を外して捨てた。
「セイちゃんが、食べたい――」
明日人が背中から抱きついた。
凪いでいたものが、一気に大きな波になる。
だから、そのまま夕飯もとらず、水谷は明日人の部屋に翌朝まで籠った――。




