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このカオスは何?

「さて、どうするかのぉ……。」


 老婆は想定外の出来事に困惑していた。この国の王妃として嫁いできたのは、息をするだけの人形のような娘だった。当初の予定では、薬で仮死状態にしたのち葬儀まで済ませ、その後はレビとともに国外へ逃亡させるはずだった。最低限の生活ができるよう、援助もするつもりでいた。


「当初の予定通りでよろしいのでは?」

「目撃者もおるでの。」


 幽霊の類は、この国で最も恐れられているものの一つである。古代人の血が濃いこの国では寿命が長く、ゆえに死に対する忌避感が強い。死体が歩いてきたとなれば、騒ぎは大きくなるだろう。王妃の母国の特別な術を施されていたのだと、老婆は咄嗟に嘘をついた。この国の者たちは単純だ。それでごまかせる。かの国のことだ、あながち嘘とも言い切れまい。


 隣国アレト国の頂点に立つのは、不死の古代人たる女帝である。侵略によって成り立った国ではあるが、婚姻を重ねることで徐々に勢力を拡げ、建国から九百年を経た今では、永久に繁栄し続ける理想国家として知られている。二百年ほど前からこの国への婚姻の打診が増え、のらりくらりと躱してきたものの、いよいよ打つ手がなくなり、アレト国から姫を迎えるに至った。


 まさか、その姫が廃人だったとは思いもよらなかった。アレト国に問い合わせたところで、おそらくは偽物ゆえ処分せよと言われるか、あるいはこちらの不手際で姫を廃人にしたとして、戦争の口実にされかねない。実に困った事態である。


「もう少し様子を見てもいいのではないでしょうか。」


 アレト国からやってきた侍女が言った。彼女は甲斐甲斐しく、廃人となった王妃の世話をしている。王妃については体調が優れないという建前で、ほとんど外に出していない。王妃が廃人であることを知っているのは、限られた者たちだけだ。


 この娘が間諜ではないかという疑いもある。しかし、王妃が廃人である事実を知る人間は、これ以上増やしたくない。妙に手際がよいため理由を尋ねると、父親の介護をしていたのだという。王妃は何も言わないので気が楽だ、とも。嘘か真かは定かではないが、不穏な動きを見せれば処分すればよい。


「様子を見る、とな?」

「今の状態は、大婆様の言う通り、元々の王妃様がお目覚めになったのかわかりません。私は、何か別のものが王妃様に入ってきたように思います。このままこの状態なのか、また元のお人形のようになってしまわれるのか、それもわかりません。」

「確かにのぉ…。」


 予定通り国外に監視付きで逃せば、いつでも処分できる。このまま様子を見たとして、まともな人間のようであればこの都の貴重な若者となり得るし、廃人に戻るようであればその時に国外に出せば良い。呪いだとか幽霊がだとか、言い訳はいくらでもできる。


「それに、あのお姿を隠してしまうのは、世界の損失です!!」

「そ、そうかの……?」


 王も、確かに、といった様子で頷いている。

 最近の若者は別の価値観で生きているようである。


 一先ずは様子見で問題無いだろうと結論付けた。

 

 **************************************

「………………………………。」

「………………………………。」


 時が止まってる……。どうしよう。私は手を前にかざしたままです。


「…………何かあったか?。」

「いいえ!なんでもないです!!!!」


 ありがとう王様!!時が動き出したよ!!!!


「名前は思い出せたかの?」

「いいえ……。」


 首を振る。しまった、今の間に考えておけば良かったのかも……。いや、そうじゃないな、なんでこの人たちは私と初対面みたいな対応なんだ??これまで呼んできた名前があるでしょ??


「あの、今まで私のことを何と呼んでいたんですか?」


「……ん?」


 んん~~!どう言えば良いんだ~~!!


「レビさん、愛と平和様、みたいに、私のことは何と呼んでいたんですか?」


 身振り手振りで説明する。多分顔芸も付いてるでしょ。わかってくれ~~!!!


「……!大婆様、今まで私達が王妃様を何と呼んでいたのか、ではありませんか?」


 レビさん~~!!!!!大正解~~!!!!!しゅき~~!!!!!

 大きく頷いておく!


「ああ~~!そうじゃな……。」

「ああ...…………。」

「あー…………。」


 皆さん一様に気まずい表情……。え、何……?地雷でも踏み抜いた……?どゆこと……?


「私から説明します。王妃様のお名前は4-32様です。」

「は?」


 いや、実際に聞こえたのは


 ルッ∮∑≡≠√∂∆∇∅∈∋⊆⊇∠⊥⌒⊿∸≃≅≈∝∞∟∠∊∉∌∍∎∏∐∑∓


 って感じなんだけど………。

 

「アレト国では、高位の姫は後宮にて生活します。後宮入りの際に今までの名を捨て、女帝様に新しい名を賜ります。後宮を出る際はまた新たに名付けを行います。王妃様は色々事情がございまして、まだ名付けをされておりません。」


 へ、へぇ~~?何の事情があるのかはわかんないけど名無しのごんべだったのか~~?まあ、確かに、「王妃様」って呼べば良いもんね……。いやいやその前に女帝から名を賜るってとこまではわかるけど、数字?!?!ディストピア感すごくない?そんな製品番号みたいなことある???一番最初の名前は何て言うの?ってかアレト国って何??初耳ですが!?!?!?


「フギャァァァアーーーー!」

「お~~よちよち、もうすぐでちゅよ~~~~!入るぞ。」

「失礼しますよ。」


 えっ?えっ?新キャラきた?赤ちゃんとおじさんとお姉さん???どういう何?ってかあの赤ちゃん!!


「なんじゃ、まともそうじゃないか、ほれ、早く乳をやれ。」

「へ??」

「フミャァァァアーーーー!」


 腕に赤ちゃんを乗せられる。


「さあさ、殿方はご退出くださいな。あ、イーシャ様はそのままでもよろしいですよ。あら、でもまずは着替えからかしら。」


 腕から赤ちゃんが退かされる。


「あなた、前開きの服をお持ちして。」

「かしこまりました。」

「大婆様、ちょっとこの子をお願いします。」

「はいはい。」

「フギャァァァアーーーー!フギャァァァアーーーー!」

「あなた、お食事を持ってきて。」

「おう。イーシャ、行くぞ。」

「はい。」

「はい、では失礼しますね。」


 男性陣が出ていったあと布団がめくられてスカートもめくられてえっ???パンツも????何何何??


「ちょっと押しますわよ。」


 下腹部を押された。血がドバッと押し出された感じ。え?これ何?っていうかこれまでの状況全て何??ツッコミが追い付かないよ!!!??????

何ーーーーーーーーー?!?!?!?!?!?!?

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