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王様の名前はラブ&ピース

部屋の感じからして身分高めかなって思ってたけどまさかの王妃様とは……ほぼ頂点じゃん……。えっ、でも待って、そこに座ってるイケメンが陛下って呼ばれてたけど、それってつまり、もしかして…??

 

「この方と、私が、婚姻関係にある?」


 指差すのは失礼なので手で指し示しながら聞いてみる。


「ホーッホッホ、いかにも、そこに居られるのは、死なず山の王、アイトヘイワ様じゃ!」


 んん???お名前のところが明確に日本語だったように思うんですけど、どういうこと?実際に聞こえたのは

 

「ホーッホッホ、オミ#&、%◇¶※☆アイトヘイワ≒ζψ¤◇◆∵◎≠§!」(記号部分は聞き取れず。)

 

 だったけど、なんでそこだけ流暢な日本語なの?いや聞き間違いに違いない。大婆様の言い違いかもしれないし。


「愛と平和……様?」


「………。」


 渋々ながら頷かれた。ホントなんだ……。渋々ってことは、あんまり気に入ってない名前なんだね……。


「まあ、そちらの名はさる高貴なお方から賜った王としての名じゃ。意味は愛と平和だそうじゃの。普段は皆イーシャ様と呼んでおる。」


え、意味はそのまま愛と平和なの?本当にラブ&ピースなんだ。まんま日本語じゃん。いやどういうこと??


「わしはこの国で600年ほどババアをやっておりますじゃ。」


 600年!?!?ババア!?!?ババアって職業だったの??


「この子はそなたの世話係じゃ。」

「レビです。」


 シンプルに名前だけ言ってお姉さんはお辞儀した。流れ的に次は私の番だよね。


「私は…………、私、は…………」


 あ、あれ?私の名前は?あれ?なんで思い出せないの???産まれてから27年呼ばれてきた名前が全然思い出せない…。あれ?なんで?どうして…?探偵アニメの証拠集めのBGMは思い出せるのに……。鑑定番組の鑑定中のBGMも思い出せる…。いやBGMは良いから……冒険ゲームの謎解きサウンドを思い出してみるけど、何も、閃かないですね……。


「え、えっと、あの、その……えーっと、27歳です、仕事は子ども用品の販売員で、休日は本を読んだりゲームをしてます。ライトなオタクです!」


「ホ、ホー…………、随分と、長い名、じゃな……?」


 あれ??長い、名?ん??いや名前言ってないけど???焦って街コンでの自己紹介みたいなことは言っちゃったけど……。これ、もしかして、会話通じてると思ってたけど、そうじゃない感じ?あれれ?


「愛と平和様。」

「………。」


 呼ぶと頷いてくれた。ちょっと間があったけど。


「レビさん。」

「はい……。」


 素直に返事してくれるけどなんか不思議そうな感じ。


「大婆様。」

「ホッホッホ、わしのことかの?」


 あれ?


「ふむ。では、この中で男は誰かの?」

「愛と平和様。」


「金色の髪をしておるのは?」

「レビさん。」


「これは何じゃ?」


 そういってクッションを指差すので素直に答える。


「クッション。」


 

「太陽について教えてくれるかの?」


 ん?どういうこと?とりあえず太陽について思い浮かぶこと……。


「暖かくて、光ってて、朝になると登って、夜になると沈む、天体?」

「それは今どこかの?」


 窓の外を指差す。今は昼過ぎぐらいかな?天気が良い。股は痛い。


「ふむふむ。どうやら一方通行のようじゃな。我らの言葉はわかっておるが、我らの言葉を使うことは出来ぬようじゃの。」


「えっ。」


それってつまり今まで私、謎の言語を話してたってこと???私も聞こえる分には皆さん謎の言語ですけど、えっ、でも通じてたよね???


「顔を見とれば大体わかる。そう問題は無かろう。」


 えっ!?!?ええっ!?!?!?いやいや待って確かに子どもの頃から「あんたは顔見れば何考えとるか全部わかる!」とは言われてきたけど、言語不要なレベルで!?そんなに顔芸してたってこと!?!?


「それで、そなたの名は…………思い出せんのじゃな?」 


「…………はい。」


 答えると共に頷く。


「何、わしも長く生きて忘れてしまったのでな、お揃いじゃ。」


 大婆様が優しく言ってくれる。それで自己紹介がババアなんだ……。そんなことある?


「皆と同じように呼んでくれたら良いでの。レビに教わりなさい。」


「はい……。」


 

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