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大型連休は嬉しくない

大型連休最終日、やっと連勤が終わった。

もはや深夜といっても良い時間帯。歩くのも面倒くさい。でも歩かなきゃお家に着かない。頑張れ私。


ショッピングセンターの子供服店で働いているのでいつも帰宅は遅い。ショッピングセンターは夜9時に閉まるのでしょうがない。普通は昼から仕事なんだが連休は稼ぎ時なのでなんと朝から夜までです。死ぬぞ。生きてるけど。


世間では最大11連休なんて言ってるけど、それは土日祝休みの一般企業に勤めてる人たちに限られた話だ。就活でなにも考えず販売業に就職しちゃって世間の休みの日が仕事の日な私とは別世界に住んでる人たちの話だ。

羨ましくなんてない。羨ましくなんてないぞ。別に羨ましくなんてないんだが、大型連休を楽しんでいる民は、連休中に働いて娯楽を提供している者がいることを忘れるな…。おかげさまの精神だ。おかげさまの精神は世界を平和にする…。

疲れのおかげで世界平和への道が拓かれた……ッ!!

…疲れすぎてテキトーなことばかり考えてしまう。


しかし何とか最後の横断歩道が見えてきた。あともう少し、あともう少し頑張れば家だ。お家に帰ったら顔だけ洗ってとにかく寝よう。明日はお布団から出ないぞ。

信号が青になったので渡る。道路の途中に何か落ちてる。コンビニのビニール袋かな?にしては質量ある感じ……えっ…動いてる……?怖…。猫ちゃんとかが遊んで間違って道路にでちゃったのかな?虫だったら嫌だけど…確認しよ………。


「……赤ちゃんじゃん。」


ビックリしすぎて声にでちゃったよ。

えっ…赤ちゃんってどういうこと?虐待?とりあえず道路は危ないでしょ、抱っこするか…。


ん?

触れない?

いやいやそんな馬鹿な、疲れすぎて距離感がおかしくなってるだけ、疲れって良くないなホントに、信号も変わりそうだし急ごう。


んん?

やっぱり触れない??


あっ、後ろから車のライトだーーー

早くしなきゃっ…………………







ーーーーー

ーーーーーーー


んん~……まだ眠たいな~。今日は休みだしまだ寝てても良いか~。しかし何でか股が痛い……。何かしたっけ?昨日は…………


「あれ、赤ちゃんは!?ってイタタタタ……。」


えっ、猛烈に股が痛い……!?しかも何だか熱っぽいし、この感じ……月一のアレだ…ウエェ……。色々気になるけど、まずはトイレだわ……。仕方ない…起きるか……。


「…………ココドコ?」


しらない場所だわ……。明らかに病院じゃない。しかもなんかこう……お花に囲まれて……白い服を着て……これ完全にお葬式では……??

昨日の最後の記憶的に車にぶつかったのかな……?それで死んだけど奇跡的に甦った的な??股が痛いのはそのせい??にしてはピンポイントな気がするけど…。

その前に謎の現象に遭遇しちゃった気がするけど……。

何にせよ甦った報告を誰かにしないと…焼かれちゃたまんねぇぜ。


「アイタタタタ……。」


なにこれ痛すぎなんですけどォ……。これ股だけじゃなくて全身痛い……。一回死ぬぐらいの事故だったなら仕方ないね…。甦って良かったよ…。


しかし最近はこんな斎場もあるんだね…。ファンタジー大好きだからめちゃくちゃ滾る…。元気になったらもう一回来たいな……撮影とかOKなんかな…?でもうち普通に仏教だった気がするけど大丈夫なんかな?昨今のニーズに合わせてファンタジー葬とか?そんなことある?

来てる服なんかも刺繍とかすごいし……髪も…?あれ……髪白い…?白いというより銀髪って感じ…?しかも私こんな髪長くなかったよね……??ウィッグでは……ないね…。軽く引っ張ってみたけどきちんと生えてる感じあるね……。どういうこと???えっ、これって流行ってるアレですか…?異世界に...ってやつ???


とにもかくにも誰か見つけて詳しく話を聞かないと。全身痛くてカタツムリ並みのスピードしかでない…。頑張れ私。昨日も言ってなかった?


なんとか廊下に出てきたけどなにこれすごい装飾の柱……。これは確実に日本の斎場ではないね……。やっぱり異世界に...ってやつか……本当にあるんだね……。いや、めっちゃリアルな夢という可能性もある………と思ったけど、この身体の痛みは現実だよね……。毎秒ごとに訴えてきてるよね「これが現実だ」って……。しかも生理とダブルパンチで最悪だよ…。


あ、向こうから大きな蝋燭を持った女の人が歩いてきた。目線は下の方なのでこちらには気づいてないみたい。声をかけよう。


「あの~、すみません。」


「えっ?……キャァァアアアーーーーーーーッ!!!!!!」


目があった瞬間叫ばれた。腰を抜かしたらしく尻をついたまま後退りされる。


「ええっ、ちょっと、大丈夫ですか?」


「イヤーーーーーーーッ!!!!アーーーーーーーッ!!!!!」



「何だ!?」

「どうした!?」


がたいのいいおじさん達が出てきた。

「あの、すみま…」

「イヤーーーーーーーッ!」

「ウワーーーーーーーッ!!!!!」

「ヒィイイイイイイ!!!!!」


あんたらもかっ!


「何だい騒がしいね!」

「!大婆様、お下がりください。」


めちゃくちゃ魔法使えそうなお婆さんとバチクソイケメン出てきた。恐慌状態の人たちより話が出来そう。


「怪しい者じゃ!!!!!ありません!!!!!話を……ッ!」


叫びまくってる人たちに負けないよう大声をあげたら股に響いた……。さらに貧血で立てない…。その場に蹲る。


「イヤーーーーーーーッ!アーーーーーーーッ!」

「私を見ろ。」

「イヤ…ッあっ、陛下……。」

「落ち着いたなら下がっていろ。」

「ハイ……。」


「ウワーーウッ!?」

「ヒィイイッ!?」


おじさん達が静まる前にゴチッ!とかドスッ!とか鈍い音がしたけど気にしたら負けな気がする。

それから多分剣が抜かれて私に向けられた気がする。剣を抜くとき本当にスラリって感じの音がするんだね。


「怪しい者が自分のことを怪しいという事はないと思うが?」


うんうん、確かにそうだね。私もそう思う。イケメンはやっぱり声までイケメンなんだね。というか言葉が絶対日本語じゃないけど、理解は出来る。なんだこれ変な感じ…。転生特典ってやつ?


「何とか言ったらどうだ。」


ここどこ?とかあなたは誰?とか何でこんな状況なの?とか私の股がどうして痛んでるの?とか色々疑問点は山盛りなんだよね。何から聞いたもんか…。初心に帰ろう。何でここまで股の痛みに耐えながらやって来たか…、そう、それは……


「お手洗い、どこですか?」


「ハ?」


うわ、大失敗した感じだ…。


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