元帝国剣士血風録~序~
かつて魔界との戦争時に最前線で戦った、人類圏の雄たるガルディア帝国――、その帝都であるミラガルデン。
そのスラム街の奥にある路地裏へと、胸が大きな少女を先頭にして厳つい男たちが歩いてゆく。
少女は――、歳の頃は十代半ばに見え、茶色いショートカット髪で、赤い瞳、日焼けした肌にへそ出しシャツとホットパンツを身に着けている、まさにスラム街のストリートチルドレン――、あるいは盗賊と言った風貌の美少女であった。それの後に続く男たちは、無遠慮な視線をその美少女の、かなり大きな胸や尻、太ももに向けて送っている。
路地の奥に着いた男たちは、その少女が逃げられないよう路地の入口方面に立つと、下卑た笑顔を浮かべながらその少女に近づいてきた。それらの男のうち、リーダー格と思われる髭面の男が、その少女を壁に追い詰めてニヤリと笑う。その様子に……、少しも怯える姿を見せず少女は声を発した。
盗賊少女「……くふふ、貴方たち、ボクをこんな路地裏に呼んで……、何を考えてるのカナ?」
髭面の男「ククク……、そんな事はわかっているだろう?」
盗賊少女「う~ん……、わかんないな~~。オジサマ達がボクに何を求めてるのか……」
その少女は片手の人差し指を頬につけて考え込みながら、もう片手で自分の身体の腰から胸にかけてなぞってゆく。
その手の動きに、髭面の男の後ろにいる二人のチンピラが唾を飲み込み喉を鳴らした。
細面のチンピラ「……ぐ、すげえ――」
太ったチンピラ「はあ、はあ……、たまらん」
盗賊少女「くふふ……、オジサマ達の視線――、どこに向いてるのカナ~~」
一度手をおろした少女は、自分の日焼けした太ももに手で触れながら、あまりにも妖艶な笑みを浮かべる。
髭面の男は、少し息を呑みつつ――欲望に満ちた視線を少女に向けた。
髭面の男「……おい、娘――、惚けるなよ……、そんなカラダで俺等を誘惑してるんだろ?」
盗賊少女「ごめんなさい……、わからないわ。お願いだからオジサマ達のチカラでわからせて」
人差し指で唇に触れてそう呟く少女。その少女の態度に、興奮が抑えられなくなったチンピラ二人が髭面の男に訴える。
太ったチンピラ「おやじ~~、こいつを早く……、アジトに」
細面のチンピラ「くそ……、早くヤりてえ――」
髭面の男「……と、言うことだ。娘、痛い目を見たくないなら着いてこい――」
その言葉に少しも怯えた様子を見せず、少女は無邪気に笑って言った。
盗賊少女「くふふ……、なるほど~~。オジサマ達はボクを暗いところに閉じ込めて……、エッチなおもちゃにして遊ぶつもりなのね?」
髭面の男「よくわかってるじゃないか……」
その言葉を聞いた少女は、大げさに驚いた顔をして言った。
盗賊少女「うわ~~、ボクこれからどんなコトされるのカナ~~? 少し……興味があるわ」
細面のチンピラ「こいつ……、好きモノかよ――。たまんねえ……」
細面のチンピラが、少女の下半身に視線を送りつつ言う。
盗賊少女「あら……、涎出てるよオジサマ」
太ったチンピラ「……ああ、あのデカい胸、早くしゃぶりつきてえ……」
太ったチンピラが、少女の大きな胸に視線を送りつつ言う。
その様子を楽しそうに見つめながら――、少女は、目前に立つ髭面の男の股間に手を伸ばした。
盗賊少女「そう……」
髭面の男「お?」
盗賊少女「ここを……、ボクのカラダで気持ちよくしたいんだね?」
髭面の男「く……」
細面のチンピラ「うわ……」
髭面の男の股間に手で触れた少女は、楽しそうに笑いながら上目遣いに男を見る。その姿に、細面のチンピラはたまらず息を呑んだ。
盗賊少女「……くふふ、冗談でしょ?」
――と、突然、少女の顔が、獲物を見つけた肉食獣のような笑みに豹変する。髭面の男の股間のモノを手で鷲掴みにしていた。
髭面の男「あててててててて!!」
いきなりの事態に、太ったチンピラが慌てて髭面の男を見る。
太ったチンピラ「おやじ?!」
少女はそれまでとはうって変わった嘲笑を浮かべて男たちを見る。
盗賊少女「こんなちっちゃな雑魚いモノでボクを? ……冗談はそのくらいにしてネ? ボ、ク、……」
少女は髭面の男の顔に自分の顔を近づけて耳元でそう呟いた。男は痛みを堪えながらも動くことが出来ずに、少女に向かって叫ぶ。
髭面の男「あがが……、は、離せ!!」
太ったチンピラ「この! おとなしく……、が?!」
細面のチンピラ「おい!」
慌てた太ったチンピラが、少女に掴みかかろうとするが――、その股間に蹴りが飛んで、そのまま地面に悶絶してうずくまった。
少女はケラケラ笑い、男たちを嘲笑しながら首を横に振りつつ言った。
盗賊少女「雑魚いモノしか持ってないオトコたちが、よってたかってボクを? 雑魚は雑魚らしく……、そこらのロバの穴にでも入れてたら?」
そのまま髭面の男のモノを思いっきり握り潰してから手を離し――、汚いものに手を触れたというふうに手のひらを振った。
髭面の男は――、
髭面の男「ぐえ……」
その激痛に悶絶してその場に倒れ、そして動かなくなった。細面のチンピラが慌てて倒れた男に駆け寄る。
細面のチンピラ「おやじ!!」
盗賊少女「あれ~~、潰れた? まあいいか……」
明後日の方向を見ながら手のひらを振りつつ、少女はひたすら嘲笑する。
その態度を見て頭にきた太ったチンピラが、なんとか立ち上がりつつ少女に襲いかかった。
太ったチンピラ「くそ!! このメスが!! 大人しくしてりゃ……」
盗賊少女「ボクに触れないでね汚いから……。そもそもボクの所有者は決まってるのよ?」
しかし、その少女の姿が一瞬にして視線から消える。
次の瞬間には太ったチンピラの背後に、――手にしたナイフをチンピラの首に押し付けながら立っていた。
その動きに驚愕しながら、チンピラ達は怯えた視線を少女に向けた。
細面のチンピラ「な?! いつの間に……」
盗賊少女「このまま首を落とす?」
太ったチンピラ「や、やめて……、殺さないで――」
チンピラたちは涙目で少女に訴え――、それを少女は楽しそうに笑って見つめた。
盗賊少女「くふふ……、じゃあおとなしく――、ボクといいところに行きましょ」
細面のチンピラ「え?」
その少女の言葉に、愚かにも別の意図を感じたのか――、細面のチンピラがほおけた表情を浮かべる。
その態度に、少女は少し視線に怒りを込めてチンピラに笑いかけた。
盗賊少女「くふふ……、いい加減、ボクに変な視線を向けると殺すわよ? オジサマ達を殺すだけなら、ボクは一呼吸も必要ないからね?」
太ったチンピラ「あああ……、お前は――」
この事態に何かを察したのか――、太ったチンピラは青い顔をして涙を浮かべる。
その様子に満足を得た少女は、いつの間にか自分の背後に立っていた、黒髪の大男の方へと視線を送りつつ言った。
盗賊少女「ボクが誰かは……、そこにいるボクの所有者にきいてね?」
少女の背後に立つ大男は――、全く感情の籠もらない冷たい視線をチンピラたちに送る。
黒髪剣士「……」
細面のチンピラ「え、あ……」
そのただならぬ雰囲気に、怯えて後ずさる細面のチンピラ。大男は静かに――、そしてはっきりとした声音で言葉を発する。
黒髪剣士「……当然とはいえ、面白いように食いついたな。連続監禁強姦魔ども――」
その言葉に、細面のチンピラは顔を青くしながら言う。
細面のチンピラ「ま、さか……、冒険者?!」
その問には答えずに大男は少女に向かって命令を下した。
黒髪剣士「ミラ……、そのデブをオトせ――、暴れられると面倒だ」
少女は心底楽しげな――、そして、最愛のものを見る熱い視線で大男を見つめながら答えた。
盗賊少女「は~~い……、ダーリン。……後でご褒美――、お、ね、が、い」
黒髪剣士「ああ……、わかってる」
大男はやっと笑顔を浮かべて少女を見つめる。
この日、駆け出し冒険者として活動している、元帝国軍人である【カノン・ブリード】は、相棒である【ミラベル・オブライエン】とともに小さな犯罪集団を摘発した。
彼らの本来の実力からは見劣りする程度の仕事ではあるが――、それでもカノンは、魔界との戦争を終えて以降やっと得た自由を噛み締めていたのである。
◆◇◆
★クラス:剣士Lv68
★能力値:
【腕力/STR】才能値:2.3/基本能力値:16/最終能力値:216
【器用さ/DEX】才能値:2.7/基本能力値:22/最終能力値:257
【素早さ/AGI】才能値:2/基本能力値:16/最終能力値:217
【魔力/MAG】才能値:1.7/基本能力値:14/最終能力値:70
【知恵/INT】才能値:1.8/基本能力値:12/最終能力値:72
【精神/WIL】才能値:2/基本能力値:18/最終能力値:111
【耐久/CON】才能値:2.3/基本能力値:19/最終能力値:250
★クラススキル:負傷耐性、高位戦闘(刀剣)
★パーソナルスキル(個人技術):ガルディア帝国剣術四式(打刀鏖殺法)、軍隊指揮、尋問術、拷問恫喝術
★装備:魔鉱石製打刀(一切の刃こぼれがない)、補助用短剣(ほぼ使用しない)、帝国製複合装甲鎧、隠密外套(視認妨害系術具)
★解説:
身長182cm、体重84kg。脂肪のない筋肉質な肉体。
飄々とした風貌の黒髪剣士。くたびれた感じだが皆が認める剣の達人である。皮肉屋で冗談も理解する。
帝国軍人時代から剣一本で生きてきた純粋剣士であり、クラスレベルはエルダー下位だが、すでに上位すら圧倒できるほどである。
元ガルディア帝国軍少佐であり、その関係から帝国軍からの直接依頼も多い。
帝国軍人としてもかなり非情な行いをしてきた、彼自身をして【虐殺者】を自認する男であり、そのために色々人として大事なものを捨ててきたと感じている。
しかし、実際はそういった自分自身の部分を卑下出来るなど、明確に殺人に染まった殺人鬼というわけではなく、冒険者となった今では正しく悪人のみを始末することに決めている。
ミラベルとは昔からの仲だが、彼自身理解していない心の奥から愛情を持つ相手であり、彼女を傷つけるものには一切の人情を捨て去る。ミラベルの事は【ミラ】と呼んでいる。
●ミラベル・オブライエン(愛称:ミラ)/年齢:15歳/性別:女性
★クラス:遊撃士Lv47、暗殺士Lv35(隠しクラス:情婦Lv32)
★能力値:
【腕力/STR】才能値:1.5/基本能力値:9/最終能力値:62
【器用さ/DEX】才能値:2.3/基本能力値:15/最終能力値:231
【素早さ/AGI】才能値:2.8/基本能力値:16/最終能力値:236
【魔力/MAG】才能値:2/基本能力値:14/最終能力値:106
【知恵/INT】才能値:2.5/基本能力値:13/最終能力値:153
【精神/WIL】才能値:3/基本能力値:18/最終能力値:186
【耐久/CON】才能値:1.3/基本能力値:9/最終能力値:55
★クラススキル:高位戦闘(軽武器)、手練隠密術、致命感覚
★パーソナルスキル(個人技術):影歩、対軍短剣術、各種暗殺術、薬物管理、詐欺話術、性的魅了術、床術
★装備:リターンナイフ8本、暗殺用ワイヤー、革鎧、各種盗賊用具、各種薬物
★解説:
身長157cm、体重47kg、バスト87、ウエスト59、ヒップ88。
カノンの冒険者としての相棒にして、夜の性活における相棒でもある盗賊少女。
茶の短髪、赤い瞳、ヘソ出しシャツにホットパンツ、その上に簡単な皮鎧を身につけている。首には大切な名を刻んだ首輪。
胸が大きなオトナな身体の美少女であり、自分のことを【ボク】、カノンのことを【ダーリン】と呼ぶ。
その関係は……、現実世界でならかなり危ない年齢から続いており、カノン自身自覚して「自分は人を殺しすぎて狂っているのだ……」と自嘲するほどである。
元はカノンに恨みを持つ貴族が差し向けた暗殺者であり、返り討ちにした挙げ句に……。それ以降しばらく、元々所属していた暗殺組織に裏切り者として狙われていたが、その組織自体は、後に存在が目障りだと感じたカノン自身によって、組織丸ごと皆殺しにされ壊滅している。
言動だけを切り取れば俗に言う【メスガキ】なのだが、身体が性的に発育しすぎており、もはやサキュバスにしか見えない。
カノンへの情はもはや図り知れないほどであり、他の男性を仕事上以外では決して寄せ付けることはなく、下手な態度をとる男性にはそれ相応の報復(殺害を含む)をするほどである。