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なろうラジオ大賞

小さなプール、大きなプール

作者: 地野千塩

 九月なんて永遠に来なければいいのに。カレンダーは無情にも九月に変わっていた。新学期の朝だが、体が起きられない。


 私、川島皐月は絶賛ぼっち中。高校に入ったとたん、いじめを受けるようになった。


 もっとも昨今はコンプライアンスとかポリコレとかうるさい時代。すぐにいじめは解消したかに見えた。先生が警察や弁護士に相談する可能性もあるといったらピタリと止まったが、やり口が陰湿になっただけだった。


 SNSでわざと私をブロックしたり、影で悪口の配信を行ったり、根も葉もない噂を言いふらしたり。逆に自分達こそいじめられていると被害者を演じ始めてしまう。


 という事ですっかり学校に行けなくなり、新学期も恐怖を感じていたところ。


「まあ、こういういじめって狭い世界で起きるからね。小さなプールにいっぱい人がいたら、窮屈じゃん。少しの違いも気になるじゃん? 会社のお局さんが新人いじめるのも似たような心理だと思うわ」


 意外と母は怒らなかった。むしろ、なぜかプールの例え話をしてる。


「大きなプールに行けばいいわ。そこにはお局さんの変な縄張りなんて無いわ。そうよ、アメリカに住んでるおばあちゃんの所に行きましょ! おばあちゃん家には大きなプールあるんだから」


 なぜかそんな事になり、家族全員でアメリカ旅行に行くことに。


 うちの両親はフリーランスで比較的時間や場所に制限はないが……。


 でも、おばあちゃん家の広いプールにぷかぷか浮かんでいると、日本でのいじめもどうでもいいかと思う。


 もっともこっちのアジア人差別の方の話も聞いたが。いじめっ子達もここに来たら、全員目が細い吊り目のアジア人になるのか。面白い。大きなプールに入らないと見えない世界もあるらしい。

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