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第9話 卒業後の私 (完結)

 公衆の面前でバッサリとお前らの愛に応える気はないと宣言し、マリア様にお願いして私だけ早々に公爵邸へ帰還した。

 やることがいっぱいあり過ぎて、授業なんか受けていられないんだもの。

 私の暴露で、三バカの処遇は大凡(おおよそ)の通りになった。

 アーサー皇子は、皇位継承権を剥奪されお飾り皇族になった。彼の後ろ盾になろうと思う貴族はおらず、外交政略の道具として生きることが決定した。

 この国のどこかの貴族へ降下させようにも、あのプライドの高さと傲慢で人の話を聞かないバカを引き取りたいと思うはずもなく、受け入れ先の貴族にとって不良債権を抱えるようなものだと公爵様を筆頭に多くの貴族が直談判したそうな。

 リカルドは、未遂とはいえ公爵令嬢を公然の場で陥れる計画をした事で立場を無くし、次期当主の座は次男のマリオンへと移った。

 アーサーの側近にも関わらず愚行を止められなかった責として、分籍されて一応一代限りの貴族ではあるものの、これから手柄を立てて爵位を得られなければ、子供は平民となる。そんな男に嫁ぎたいと思う女性はおらず、人気の高かったリカルドの周りから女性がさざ波のように引いて行った。

 ジェームズに関しては、私の予想通りに勘当されて家から追い出されたらしい。あのブローチ、大昔に皇女様から下賜された由緒あるものだそうだ。

 ビアンキ家から正式に返還要求のお手紙が届いたが、公爵様を通して拒否させて貰った。

 ブローチは、一度分解して魔法陣をこれでもかって描き込み、カメオにも色々と削って掘ったりしたので元通りに返還出来ない。

 その上、検索君0号のパーツの一つなので機密事項がいっぱいある。仮に返還しても、自動的に私の手元に戻るよう設計してしまっているので事実上無理なのだ。

 公爵様も私の作る検索君シリーズの秘匿性は十分承知しているようで、ばらされて魔法陣を解読されたくない。

 利権が絡んでくるもんね。

 無事に卒業して私が宮勤めが始まったのだが、配属された場所が税務会計所である。

 人選間違ってませんかね?

 通知を思わず二度見してしまったよ。

 公爵様にどういうことかと問えば、私の計算能力の高さと検索君の有効的に活用できるからと嬉しくない評価を頂いてしまった。

 仕事をしていると、色々と壁にぶち当たる。

 計算だけしていれば良い仕事ではないため、必然的に過去・現在に至る資料を探したり、予想をしたりして予算を組んだりしなければならない。

 勿論、知識は必須だしコミュニケーションが取れないと仕事にならない。

 野猿だった私が、漸くおバカな人間になったところで配属ミスでしょうと思わずにはいられなかった。

 結果、仕事の能率を上げる為にこんな便利物があれば良いな~と思い付きで作った魔道具は、同僚や上司が使いたがり、噂を聞いた他部署の耳に入ると公爵様が颯爽と現れて現物を回収していくのが、毎回の流れである。

 公爵様経由で上官を通して各部署に配置する魔道具の作成を依頼されることも増えた。

 魔道具に掛かる費用は、経費で落ちる。

 素材も国が出してくれるので懐は痛まないが、低コストで良品を要求されるのは非常に困る。

 低コストなら低品質の物しか作れないと言い張り、魔道具作成に掛かる予算で毎度喧々囂々(けんけんごうごう)と公爵様と揉めている姿が場内で見られるようになった。

 5年宮勤めしたら、さっさと実家に戻って魔道具師になるつもりだったのに、悲しいかな。そうは問屋が卸してくれなかった。

 いつの間にか公爵家縁の人間と結婚していて、今では立派な子爵婦人である。

 魔道具の功績で自分自身の爵位も持っている。

 私は魔術具師とは別に働く女性の先駆けとなった女として後世の歴史書に載ることになるとは、この時の私は知る由もなかった。

 私の今世は、ギリギリでバッドエンド回避のハッピーライフだと信じたい。

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