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第7話 学園生活再び(1)

 ロゼット女傑と一緒に魔物狩りに勤しむ傍ら、放置された素材を使って新しい魔道具をこっそり作っていたのがバレました。

 マーサのマジギレは、おしっこチビるかと思うくらい怖かった。

 公爵から汎用性のマジックバック量産と試作で作った検索君1号(3点セット)の改良版の依頼を受けた。

 汎用性マジックバックは、機能を拡張と重量軽減の2つに絞れば誰でも使えるものにした。

 魔力量で入る容量が変わるので、魔力量が少ない人間が持っても意味はないし、盗まれても追跡できないと注意事項で伝えておいた。

 後で責任追及されても面倒だしね。

 検索君1号改良版は、複数の装飾品ではなく一つに纏めるようにとお達しがあり、難易度の高さに

頭を悩ませる事となる。

 出来ないことはないが、コストが高くなる。

 使う人間は、金を持っている貴族か大店の商人あたりが買いそうだ。

 検索君1号と同等の機能をつけるなら、素材は値の張る物となってしまうだろう。

 潤沢な予算で好きに作っていいと言われたので、気合い入れて作りましたとも。

 ループタイの土台にビッシリと細かい字で魔法陣を書き込み、高純度の魔石をはめて使う本人が血を一滴垂らせば完成だ。

 検索1号君と同じ機能だが、小型軽量化した要望通り一つに纏めてみせましたとも。

 一個作るのに一週間かかったので、暫くは検索1号君の改良はやりたくないなぁと思っていた時期がありました。

 公爵に試作品・検索君2号と研究で使った費用の請求書を渡したら、思いっきり苦虫を噛み潰した顔をされてしまった。全く解せぬ。

「注文通りだが、何故こうも研究費が高いんだ?!」

「品質を落とさず、一つの装飾品に集約せよと仰せだったので頑張りました! 3つ揃わないと使えないものより、2号君は1つに機能が全部盛り込まれている方が使い勝手が良いです。私が欲しいくらいですよ」

 そう零すと、ハァァァと大きなため息を吐かれた。

「予算を多めに渡したのが裏目に出たか。低予算で作れないのか?」

「用途に合わせて、個々に作ることなら出来ると思います。一番容量を食うのがAI(人工知能)なんですよ。次に映像や音声・静止画を記録媒体。その2つを繋ぐ検索機器。AI(人工知能)と検索機能を搭載した魔術具と映像・記録媒体の魔術具の2つに分けて、検索したいときだけ繋げれば予算は抑えられると思います」

 頭の中でそろばんを弾いて、一つ作るのにかかる大凡の金額の概算を算出させる。

「幾らくらいになる?」

「一つ辺り金貨10~20枚くらいです。画質や音質が粗くても良いなら、金貨5枚前後で手鏡サイズの物は作れます。検索画面は小さいので、老眼には辛いと思いますけど」

と調子に乗って要らんことまで喋ったら、ベシッと頭を叩かれた。地味に痛い。

「検索3号君作りますか?」

「そのネーミングセンスは何とかならないのか?」

「一番わかり易いと思うんですけど……」

 なにか気に入らないことでもあっただろうか?

 疑問に思っていると、

「3号の開発と、品質を落として良いから手鏡サイズのも開発してくれ」

「わかりました。3号と3.5号君の開発ですね。予算いっぱい下さい」

 Please give me moneyと手を出せば、ベシッと思いっきり叩き落とされた。暴力反対でござる。

「予算は、レイヴァンを通せ。それから、来週から復学することになった」

「予算の件は了解です。復学は分かりますけど、何でまた急に? 成績は赤点ギリギリでしたけど、私ここに来るまでは皆勤賞でしたよ?」

 学園に毎日通えば美味しい昼食が食べ放題だし、お菓子も食べられる。

 寮食は不味くはないけど、学食と比べると味が見劣りするのだ。

 お菓子も出ないし……。

「男子を侍らせるしか能のない駄目女だが、授業態度は真面目だったと聞いている。提出物も遅れたことはないらしいな。それなのに成績は悪かったが」

「出席日数も足りているはずですし、卒業できるだけの単位は一応取れてますよ?」

 前世の記憶が生える前までは、確かに男を侍らせ好き放題していた記憶がある。

 ただし、特待生という肩書もあって卒業出来なかったら色々問題が出てくるので、提出物と授業は真面目に受けていたのだ。

 このまま学校にいかなくても、確実に卒業できるのに何故?

 そんな疑問を私の顔から感じ取ったのか、公爵は重い口を開いて言った。

「どこから漏れたのか知らぬが、貴様がクロウ家に滞在していることを知ったそうだ。扱いがマリアの専属侍女ということもあり、日に日に殿下の当たりがキツイのだよ。他にもロドリゲス家・ビアンキ家の子息達から、どういうことかと苦情じみた問い合わせが来ている。叩き潰すのは容易いが、要らぬ敵を作るのは得策ではない」

「要するに、色々面倒臭いから自分で対処してこいってことですね?」

「……うむ、そういうことだ」

 要約すると、そうなっちゃうのかー。

 何であんなバカ男達を引っ掛けたんだろう、今生の私! おバカにも程があるでしょう。

 嫌だと言いたいが、自分で巻いた種だ。刈り取るのも自分しかいない。

「了解しました。3号君と3.5号君の試作はどうします? 復学するとなれば、完成するまで時間取れませんけど」

「給与に特急料金上乗せするが?」

「もう一声! 花の乙女の貴重な睡眠時間を削るんで、休日手当と時間外労働の賃金も下さい」

「来週の復学までに3号と3.5号の試作が完成したら給与とは別に諸々含めて金貨20枚出そう」

「やります!」

 お金につられて乗ってしまった深夜徹夜突貫残業確定コース。

 まだ十代だもの。試作品が完成すれば、思う存分眠って英気を養える。そう考えれば、案外悪い話ではない。

 ただ、また復学するとなれば三バカと顔を合わせることになる。

 マリア様の従順な侍女ですアピールして、三バカから庇護して貰おう。貰えるよね?

 復学に対して若干心配になったが、まずは直近の仕事を片付けなければならない。

 そう、私の働きに大金がかかっているのだから!

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