前半
間違えて削除してしまった作品の再投稿です〜!!!!ひーーーん!!!
書き終わった話の、予備の下書き?みたいの消してたら間違ってしまいました…とほほ…!!!
またお邪魔させていただきます…よろしくお願いします!!ヽ(;▽;)
「ああああああああああ!!!!!!!!」
目覚めると見飽きた天井。十歳の自室。私アグリー公爵が娘マデリーンと申しますのごきげんよう。ぶち殺すぞクソが。
「お嬢様!お目覚めになられ……ぐは!」
駆け込んできた侍女を殴る。侍女は倒れた。
「何度も何度も何度も何度も同じ事言いやがってよおおおおーーーーー!!!!!!」
彼女はメリッサ。私付きの侍女で長い長い長い付き合い。とても優しい。
でも九十八回同じ事を言って入って来た。大抵目覚めて絶望している間にうかうかと同じ事を言わせてしまっていたが二度とゆるさん。
「あー!あー!あー!あー!」
怒りで全身が震え声が出る。もう嫌だもう駄目だなんだってんだ畜生がなんで私がなんで私が。
体内の魔力が膨らんでいくのがわかる。このままでは暴発する。暴発する?構わない。どうせ戻る。
「お嬢様!こ、これは一体……!?」
家令が駆けつけて来た。膨れ上がった魔力を彼に向けて放つ。爆発音とともに彼は消えた。壁も。
邸内がざわついている。少しスッキリした私は考える。
そうだ今回は全員殺そう。これはまだやっていない。
そしてざわめきの方向へと、足を踏み出した。
♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡
ごきげんよう世界、私アグリー公爵が娘マデリーンと申します。
私、時戻りしてますの。
目を覚ましていつもの寝台。腹筋だけで起き上がり速やかにドアに向かい、ガチャリと開ければそこにはメリッサ。
「お嬢様!おめざ…」
「ウニョラーーーーー!!!!」
「!?」
言わせねえよ!?
メリッサのお目覚め発言を封じ、廊下を闊歩する。殺したくないですの!
前回はちょっとストレスが限界突破してましたのよお恥ずかしい。でもまた言われたらやっちゃいますから…セルフコントロールですわ!さて今回はどうしましょう?
私は時戻りをしている。原因は不明。
死ぬたび十歳の自室、あの寝台に戻るのです。これで九十九回目。九十八回メリッサのあれを聞いたのです。ぶち殺したくもなりますでしょう?
ずかずかと廊下を歩き父の執務室に入ります。
「お父様ー。王子との婚約を解消してください。して下さならければ裸踊りで練り歩かせます」
「は!?なにを……病で気が狂ったか?できそこないが……え?は?あれ?なんだ!?」
お父様の精神に干渉し服を脱がせ踊らせます。
「わああ!私の体が!私の体が勝手に!」
「婚約解消できなければこのように国中を練り歩かせますわ」
「や、やめろおお!わかった!わかったから……!」
「ありがとうお父様」
今回の私は優しいのです。前回発散しましたからね!
そもそも一回目の死———その原因は、婚約者の第一王子クソアン……じゃなかった、ルシアンにあります。
一度目の私は清廉潔白な乙女でした。娘を駒としかみない両親に、いつか愛されたい役立ちたいと願う無垢な娘でした。
王家との繋がりを望んだお父様により結ばれた婚約、それでもいつか夫となるひとに愛されたいと願う娘でした。
五つで結ばれた婚約、顔合わせの茶会、花盛りの庭で、どんな花よりも美しい王子に私は心奪われました。
だけど王子は、私を愛さなかった。
望まぬ婚約者だと、権力を望む薄汚い女だと私を蔑み嫌いました。
どんな歩みよりもむげにされ、それでもいつかは——だって彼は、私と結婚するしかないのだから、いつかは——と。
けれどそれは叶いませんでした。それは。
——ビッチが現れたからです——……
……違いました聖女でした。いや違いませんけどもあのクソビッチが。死ねや。殺したけど。
辺鄙な村の平民の女が力——膨大な魔力と、稀有な癒しの力や結界術——に目覚め、神託により聖女となりました。
王宮にあがった聖女に、一目で王子は恋に堕ちました。
私はそれをすぐそばで見ておりました。王子の隣で見ておりました。
聖女はいかにもなたおやかで美しい少女で、平民らしくマナーはなっていませんが、野放図なところのない穏やかな娘でした。見かけ上は。
しかし聖女はすぐに王子を籠絡し、王子の側近や王宮の人々、あまつさえ国王陛下に王妃殿下の心もたらしこみました。
彼女が微笑むだけで皆が喜び、傷を癒せば涙を流して感激します。草木に手をかざせば物言わぬそれらすら彼女に応えるようにすくすくと枝木をのばすのです。
なにそれずるくない?
私がしたどんな努力も、誰も喜んではくれないのに。寝る間もなく詰め込まれた王妃教育、王子の代わりにやらされる仕事、成功したとて全ては王子の手柄で、私は常にゴミムシ扱い。
それでも、それでも——と、痛む心を抑えてどうにか日々をこなしていたところで婚約破棄です。
しかも聖女をいじめただなんだ難癖つけられて。
やってねえっつうの。あの時はどうしてなんでと絶望しかなかったけど今になったらわかります。あのクソ王子のニヤついた顔。あいつの仕掛けた冤罪です。クソが死ね。殺しましたけどね何度か。
側近どもに抑え込まれ、最下層の地下牢に押し込められ、父にはもはや娘ではないと損切りされ鞭打たれ、散々拷問された挙句牢屋にのこのこやってきたビッチとアホに「なぜこんなことに…」「悪女に心を割くなんて君はなんてry」なんつー茶番を見せられあまつさえお友達になりたかった〜とか寝言こかれて煽られ倒し、裸で処刑台まで歩かされこの悪女めと国民に汚物を投げつけられ首を落としたのです。
そして目覚めたらあの寝台。
正直一度目の死ではやっと終われると言う気持ちが強く、戻った時の絶望ったらなかったです。またあれを!?またあれをやるの!?
結果恐慌状態に陥り、こいつは駄目だと早々に見切りをつけられ婚約は解消、修道院に入れられました。
そこで数年過ごすうち、我にかえり、どうも時が戻ったらしいと知りました。何故とは思いましたが、修道院での生活は穏やかで、かつて愛を求めて叶わなかった日々よりもはるかに幸せなものでした。これでよかったのかもしれない——……。そう思っていたころ、聖女と王子が修道院に視察にきやがりました。
婚姻したのはしっていましたが、なるべく耳に入れないようにしていましたのに。くそむかつくので。
当然視察も遭遇しないよう、部屋にこもっていました。
しかし聖女は言うのです。
「王子の以前の婚約者の方がこちらにおられると聞きました。お小さい頃のお話など、お聞かせ願えたらと…」
「しかし聖女よ、彼女は心を病んでいるのだぞ。君に何かあっては」
「ではせめて、縁のあるものとしてお力になれたらと…お友達になりたいわ」
「おお、なんと美しい心だろう」
殺すぞ!!!!
とは思いませんでしたわ当時。もう真っ白でした。怒りが頂点超えるとああなるんですのね。無ですわよ。
何も知らず何も犠牲にせずただただ神に選ばれたというだけの女。
私の孤独も屈辱も知らず、私の懇願も絶望も知らない女。
ただ世界に愛されただけの女。
そんな女に—————!!!!
「あ、あぶないー!!!」
全身の魔力が瞬時にして高まる。血が沸騰する。頭蓋が内側から爆ぜるような怒りが体を満たしーーー……
そして私は、爆死したのです(多分)。
そして三回目。
目覚めた私は誓いましたあの女絶対殺す。
許せないのは侮辱です。
あの女はただ神に愛されたというだけで、なんの努力も苦労もせず、ただ愛されているというだけで、私の孤独も屈辱も知らず、ただ無神経に甘やかに同情し、私の矜持を踏みつけた。
それは、侮辱だ。
必ずぶち殺す。
………まあ前回魔力暴走で爆死したので、巻き添えで殺している気はしますけど。
やるったらやるのだ。
そう決意し起き上がると、メリッサ入室。
「お嬢様、お目覚めでーー…」
私はニッコリ笑う。
まだ三回目だからね!!
というわけでさっくり殺しました。
まだ聖女として覚醒してない農民のうち。
私子供ですけどお金があれば人を雇えますのよね。
両親には毒をもり弱らせて早々に実権を握りました…が何の因果か王命により王子の婚約者に。なぜですの!!
まあ私の魔力量のせいでしょう。国一番なのですわおほほ!
ただ逆に多すぎて上手く扱えなくて舐められてたんですわ……。
とはいえ聖女もおりませんから私の魔力量は貴重です。
くそ冤罪ひっかけられることもないでしょうし王妃としてこの国支配しますかと冷遇放置しておりますと、あの馬鹿新規の女にこれまた真実の愛を見つけ婚約破棄してきやがりました。
お前の真実の愛ってなんですの?わかりませんわ。
冤罪もひっかぶせてきましたけど浮気に気づいた時点で対処してたんで無事やり返して馬鹿廃嫡。側近もまとめて屑籠入り。ざまあですのよ。
クソ家継ぐのもだるくなりましたので勝手知ったる修道院へ。
ちなみに聖女は神のきまぐれとして時たま現れるものなので、今回不在なげえなーと言われつつ、幾度の天災も干魃も、国が滅ぶようなこともなく無事でした。
あれ必要ですの?と修道院にいながら神を疑いつつ老衰死亡。
そして四回目。
………。
まじか〜…。
まじか…。まだやりますの?わりと満足なんですけど?
この時戻りって、なんですの…
というわけで金と権力で調べた結果、時を戻ったという者の証言は各地に残るも、本人の意思でのことではなく、時を操る魔法を扱えるものは存在しない。
よって神のみわざと考えられ、皆なにがしかやり残したことがあり、その為時を戻され、それを解消することで終わりとなったということがわかりましたの。
私膝ポンです。
復讐が足りませんでしたのね!!!!!
思えば聖女はあっさり殺して王子は自滅、家族も一応生きてて私にゴミ投げやがった国民どもは無傷です。
私深く反省いたしました。
控えめな性格と言われておりましたがいけませんわね……
あの憤怒にそれではまるで足りない!!!
深く反省した私は、時戻りで手に入れた情報をもとにあの手この手でより強い権力を手に入れ、家族を貶め王子を引き摺り落とし国民を苦しめんと頑張りました!聖女は特に念入りに拷問して辱めて一生懸命殺しましたの神よごらんあれ!
というのを三十回ほどやってみて、違うかもとなりました。
これもうオーバーキルでは?私自身にやられたこと(身分剥奪不当な蔑視冤罪拷問処刑など)は全てやり返しましたし、契約魔法で奴隷にしてみたりもしましたの。幸せなった(させた)とこを引き摺り落としたりわりとあの手この手で貶めぶち殺してみたのです。
けれど終わらない……では、前提が間違っている?
復讐ではないかーと、今度は自分が幸せになってみようと頑張りました。復讐したところで戻ると全員ヘラヘラしてやがるのであまり幸福は感じなかったのですわ。ぷんぷん。
というわけで手始めに留学してみたり(その為家族に毒を持ったり王子を暗殺したりはしましたが。あとついでに聖女も殺しましたあいつ嫌い)商売してみたり冒険者してみたり、世界職業一欄網羅する勢いであれこれ試していきました。
その中で生まれて初めて友人ができ恋人ができ夫ができ子供も生まれ、それなりに楽しく生きていましたがーーー…
だめでした〜。
わりと心の底から幸せだと思える人生もあったのです。でもだめ。そしてそれだけに虚しい。
うーんと悩み、はたと気づいて「初志貫徹」へ舵切りました。
つまり王子と結婚して国を支える当初の人生をまっとうする。
…………嫌なんですけど〜。
とはいえあの時やり残したことといえばこれほどのこともありません。というわけで家族王子含む国民全てに強制契約魔法をかけ奴隷化し自身には魅了をかけ彼らを愛するようにして頑張りました。だめでした。
ですよねー。
うすうす思ってました。さすがに人形遊びがすぎるかと。
ちなみにもともと莫大だった魔力量の私ですが、時戻りの中で経験を積んだ結果この国全体の精神支配くらいはちょろいのです。ぶち殺すだけなら世界いけます。聖女が生きたまま覚醒してるとどうかなと思いますが。
しかしどの道時戻りには役立たず。くそ。
というわけで日和った自分を反省。次回は魅了全開で頑張りました!
両親と王子と、もちろん私自身にも魅了魔法をかけ仲良し家族のラブラブカップルに。
素面でやるの無理ですから。殺っちゃいますから。
聖女も殺しません。王宮にあがった聖女、しかし王子見向きもせず(魅了ぱわー)ざまあ!
自ら茶会に招いて上位者の余裕を見せつけたりもしましたわ。困ったことがおありでしたらなんでもおっしゃってね、なんてーーー
「ありがとうございます、よければお友達に…」
殺した私悪くない!!!地雷踏んできたあいつが悪い!!
ぎーーーー!!!つってやり直し。
仲良し家族ラブラブカップル。聖女は殺す。
平和に結婚国を豊かに賞賛され惜しまれ死亡。
目覚めれば寝台。
こなくそーーー!!!
やり直し、やり直し、やり直し、やり直し、
やり直し、やり直し、やり…
より良い国チャレンジで最終世界統一して諦めた。あ、魅了か?魅了があかんか?真実の愛がいるのんか?
というわけで魅了使わず調教へ。
これが困難。ゴミクズどもの性根を叩き直す術を学ぶのに十回ほど。飴と鞭で叩き直し、今まですまなかったと奴らに反省させることに成功しかしそれより汚物を愛せるよう自己錯誤させる精神修養に時間がかかりついに三十回ほどの繰り返しで仲良し家族ラブラブカップル国家安泰国民万歳われやりとげたりーーーーー……
目覚めて寝台。
というわけで世界を滅ぼしたのが前回ですの。無理ないと思いません?
どうせ壊したところで変わらないのだ。
そして現在。はーーーーとため息をついて考えます。
目の前には身体中からでる液体全てを垂れ流して踊っているお父様。汚物っぽくてかわいいですわ(精神修養のたまもの)
なぜ、私だけがこんな目に……
そう思い、愕然とします。
一度目から、変わらない。
私は孤独でした。家族に愛されず、共に歩めると思った王子に裏切られ、国に見捨てられる。メリッサはよくしてくれましたが、しかし彼女だって自身の家族や友人がいるのです。
私だけ、何もない。
それだけが変わらない。
繰り返しの中友人を得、家族を子供を仲間を手に入れても彼らは時が戻れば消えてしまう。
かつて語り合った友も抱き合い愛した人もその記憶はなく、両手で足りない子供たちは存在しない。
私だけ、たった一人。
どうして。
どうして、私だけ。
私だけ
私だけ?
なら
同じにすれば、いいのでは???
♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡
「わはははははははは!!!!いざゆかん刑台へ!!このルシアンの火刑とくとみよ!!!」
ルシアン王子が全裸で縛られ馬に乗せられ処刑場へひったてられていきます。
民衆はくそがー!元凶しねー!などと汚物をなげつけ笑います。
私はそれを屋敷のバルコニーから眺め手を振ります。バルコニーには両親の首。
王子が気づいて「クソ女ーーー!」と叫んできたので手を振って答えました。
王子も民衆も慣れたものです。何度かに一度、このような光景は見られるのですから。
我々は、時戻りをしています。
私が彼らに時戻りの魔法をかけたわけではありません。それはできません。
私がしたのは、巻き込みです。
かつてゴミクズちゃんたち(精神修養の結果)を奴隷化したり、国民を支配したのと根本は同じで、彼らの魂を私の支配下に置くことで、私の死により彼らも一緒に時戻りをするようにしたのです。
結果、すごかったですわ〜。
これは想定外だったのですが、これまでの百回の繰り返しが彼らの魂に残されていたのです。要はこれまで私以外皆記憶を失っていたということですね。なので戻った瞬間百回分の人生を彼らは思い出したのです。
まーーーー三回ほどどうにもなりませんでした。
二回目の私があの様だったのですからさもありなん。私と直接関係ないものなら影響もすくないのではと思われるかもしれませんが、長年の間に戦争も紛争も全滅も奴隷化もありましたから。私頑張りましたから。
というわけで発狂してるみなさんを眺めつつスローライフで過ごしていると、みなさんぼちぼち正気にかえり、私の死により時が戻ることが周知され(というかしました。私が)ーーー初回死の原因たる王子が暴徒に殺されたり混乱や暴動やいろんなことがありました。過去での人間関係での混乱(それも百回ともなれば同じ人物に対し良好だったことも不仲だったこともあったりします)で最たるものは、やはり子供でしょう。この先生まれる子供は今いないのです。
この件でメリッサに殺されました。妊娠中時戻りをし腹にいた子がいなくなってる回を強く思い出したそうでして。
申し訳ないけど私のせいじゃないです〜〜!!で大喧嘩して今では以前よりいい関係だと思います。
そうこうするうちどうにかできないかという風潮になり、王家も貴族も神殿も平民も皆一丸となり時戻りの解除方法を探すようになりました。
今生でなんかヘマした人が私を殺そうとしたり、でなくともやけのやん八で殺そうとすることもありましたが、次回あるし!ということが骨身に染みるうちなくなりました。あと私無敵ですし。
逆に時戻りすると子供が消えるのが辛すぎるということで、長生きチャレンジさせられたこともありますが、それも結局辛いので、子供を作るのをやめる風潮ができました。
時戻り時点前に生まれた子供達には基本的に時戻りは知られることのないようにされていたのですが、大々的に周知されなんかすげー子供がいたもんでせめてもと大人を虐殺しようとし、双方涙ながらに争い合うなんか変なジュブナイルみたいなこともありました。
そのうち国民から不満があがりました。他国は巻き込んでいなかったので、時戻りチート目当てで他国へ行き成功するものなども多かったのですが、(ちなみに我が国は突然閉鎖的になったわりにやたら有能なやつがやってくるわからん国とみられてます)こっちばっか戻っててあいつら呑気でずるい!というのです。
ふーむ、と私考えました。
世界全体を私の魂の下に置くには、この私といえどもいささか魔力がたりません。
というわけで、全国民の魔力を吸い上げ、世界中の人類を支配することに成功。大時戻り時代の到来です!みんなで力を合わせたのです!みんなで!!
みんなで!!
忘れることはできませんわあのコールアンドレスポンス。
「時戻りにーまきこみたいかーー!!」
「「「「「おーーー!!」」」」
感動でした!!
勿論他国は記憶復活しばし打ち上げられた魚状態ビチビチ。そして激怒からの混乱、動乱、戦争、なんやかや。
いろんなことがあってーーーー……
「いやー燃えた燃えた!やっぱきついな火刑!!」
王子が朗らかに笑っています。
「まあたまにガス抜きを受けるのもノブレスオブリージュというものですな」
お父様がヒゲを撫でながらのたまいます。
「それにしても首を切られたあとっていうのはみっともなくて恥ずかしいわね」
お母様が扇であからんだ頬を隠します。
「しかしマデリーン様、こたびはいかがしますかな?」
王子の側近が聞いてきます。
「さあねえー、どうしたもんかしら」
「やっぱ聖女が怪しいじゃないかと思うんだけどなーみつかんないんだよなー」
「さんざっぱら殺したからねえ。即逃げされるのよねー。あいつやっぱ強いわ」
「えっマデリーンを殺せるくらい!?殺せるくらい!?」
「殺されても戻ります〜〜〜」
「わーんちくしょー!!」
「ざまあwww」
世界は穏やかに繰り返しています。
何度も何度も繰り返す人生で、人々は穏やかになりました。各々がこの回の人生を好きに過ごし、一度の人生ではおいつかない技術の探究や研鑽に励みます。
天候に大きな変化もなく、技術はどんどん上がるので収穫も安定、人口も増えません。
緩やかな繰り返しの中、たまにあいつのせいでよーと王子が処刑されたり、なんでまきこんだんすかー!と私が処刑されてみたり、戦争してみたり、誰もが一度きりの人生だと必死に生きることを忘れ、殺し殺され賑やかに、だれもが、だれもがーーーーすべての人が、いつか終わる時戻りを願い、心を一つに、終わらない祝祭を過ごしています。
誰もが、同じ気持ちでーーー
私と、同じ気持ちでーーーー…!!!
かつてのゴミクズちゃん、ルシアン王子が頬をふくらませて私に言います。
「も〜!!これはやく終わらせろよな〜!!」
「できるならやってるわ!」
私とっても、幸せです!!!