10月18日 00時08分 神谷 稔
10月18日 現在時刻 00時08分
あと数メートルだった。
だが視界に現れたのは彼女が手に持つ黒い塊。
どうしようも出来なかった。
俺は広軌とは違ってそんな危険を察知できる能力ではないし、銃弾を避けることなんて絶対できないだろう。
急に発砲されても困るし、とりあえず沈黙は何かとまずいと思ったので語りかける。
「・・・・・・この死体の山はあんたが殺ったのか?」
手を上に挙げて俺は話す。
このまますり足で距離を少しでも詰めようと一瞬考えたがあの女から発する威圧感は半端なく足が地面に貼り付いたような感覚でその場所から動くことができない。
「半分は私かな、害虫は殺さないとね」
俺は唇を噛み締める。
「害虫なんかじゃねぇ・・・・・・俺の昔の大切な友人だ、こいつらがお前に何かしたのか」
女は俺や広軌に拳銃を突きつけたまま一言。
「神無村出身者・・・・・・だから殺した」
「なっ」
驚くほど淡白な答えだった。
「そしてお前達も神無村出身だね」
女の眼つきが変わる。
「後は引き金を引けばそれでお終い、最初は#08から殺らないとね、#07が人質になっていないとまたかわされるだけだしね」
広軌の方に目線がいった。
その一瞬を見逃さず飛び掛ろうと思ったが素早く俺の耳元で風切り音が聞こえた。
その一発の銃弾は広軌ではなく俺の右足に命中していた。
俺はうつ伏せのまま崩れる。
「お前は#08が逃げないための足枷だ、下手に動くな・・・・・・といってももう動けないか」
その女の言ったとおり俺の右足に力が入らない。
右足からは面白いように血液が流れている。
痛みを受け入れている暇など無かった。
「ただこの施設がGAME中にばれるとは思いもしなかった」
女の拳銃の指に力がこもる。
そして女は広軌に狙いを定める。
「能力を使ってかわそうとは思わないことね」
「わかったよ、お嬢ちゃん・・・・・・最後に名前だけでも聞かせてくれないか」
「・・・・・・時間かせぎ」
「いや、そうゆう深い意味は無いんだけど、どうせ死ぬなら誰に殺されたか知りたいなと思って」
「#01 神乃伊 卯月」
「卯月ちゃんかいい名前だね、職業とかは」
「・・・・・・」
「あれ、卯月ちゃん」
「さよなら、害虫」
「・・・・・・いい時間かせぎができたわ」
「えっ」
一発の銃声が響き第六感で広軌は鉛球をかわす。
すかさず銃口が俺の方に向く。
俺は右足を負傷しているため満足に動くことができない。
俺は広軌を見てアイコンタクトをとる。
「分の悪い賭けだったがどうやら勝ったな」
俺達がやって来た入り口から足音が聞こえパララッと軽い連射音がこの死体フロア全体に響いた。
卯月はすぐに退避したが銃弾の一発が足に命中し体勢を崩した。
俺は広軌と合流し肩を借りて身を潜めた。
辺りは静まり返り卯月は入り口に二丁拳銃を構える。
「GAMEの参加者?よくこの場所がわかったね」
「グゲゲ、カ、カミヤハドコダ、カカカカ、カミヤハ」
見なくても声ですぐわかった。
#09 桐嶋 悠斗の姿がそこにはあった。
10月18日 現在時刻 00時35分




