21/29
決戦前夜
「準備はいいか!!!お前ら!!!!」
俺は右腕を勢いよく上げる。
「はいっ!!!!」
オーガ軍は俺の声に呼応し勢いよく拳を上げる。
「打倒、会長!!! 打倒、会長!!! 打倒、会長!!!」
オーガ軍の士気は最高潮に達している。
「いよいよ明日だね、芋助・・・」
隣に座った巨人の魔女が、優しく俺に語り掛けてくる。
「"はつえ"さん・・・俺、必ず戻るから・・・だからさ・・・俺が戻ったら葬式上げてくれ」
俺は空を見上げて、現世へ戻ることを誓う。
ガバッ
「芋助、アンタはよく頑張ったよ・・・7歳で両親亡くしてさ・・・よく頑張ったよ、ねぇ」
「ごめん、"はつえ"さん・・・勝手に死んでごめん!!!」
ザァーーーー
魔女の目から落ちた大量の水滴が、薩摩の全身を濡らす。
その水滴は人肌のように温かく、少ししょっぱかった。