真珠の眼をした女の子。4
『ここがジュンの家かぁーー!
意外にイイ感じじゃん!』
『お前なぁ……。
今夜だけだぞ。
それに、親も寝てるから静かにしろ!』
『分かってるって、ジュン!』
『それと、ジュンじゃ無くて「ジュンさん」だろ?
どーー見ても歳下じゃねーーかよ。』
『あ、ごめーん。
まだ言って無かったっけ、17歳よ!』
『じゅ、じゅうななぁぁぁーー!?
(俺、犯罪じゃねーーか……。)』
疲れがどっと出る純。
取り敢えず、部屋へと案内した。
『へーー!
殺風景かと思ったけど、高っかい服とか時計とか、意外と物に溢れてるんだね。』
『まあな……。』
『こんなんじゃ、いつまで経っても奥さん貰えないよ??』
『余計なお世話だっ!
俺だって、色々有ったんだ!』
『へぇ……。』
暫く二人を沈黙が支配する。
パールはソファーに座りながら、下を向いて脚をパタパタさせていた。
『お前も、何が有ったんだよ……。』
パールは、そのまま下を向いて無いも喋らなかった。
『泊めてやったんだぞ??
その位は話せよ。』
『うん、そーーだね。』
パールは顔を上げて、天井を見上げた。
『私はね、ヨーロッパのとある国で生まれたの。
お父さんが、日本人の女の人と不倫した。
そして、私の国では戦争が始まった。』
『お、お前……。
あの国の避難民なのか??』
『そうよ。
お父さんとお母さんは、戦争で死んでしまったけど、日本人の女の人が私を難民として引き取ってくれた。
だけど……!』
『だけど??』
『それは、宗教的に地位が上がる為。
私への扱いは苛烈だった……。』
純には、あの宗教集団だと直ぐに認識出来た。
『学校へ行っても、日本人とはまるで違う容姿でしょ??
毎日の様に、イジメや嫌がらせばかり。
ずっと一人ぼっちだった。
こんな事なら、私も祖国の為に戦って死にたかった!!』
想いをたぎらせて、パールは顔に埋めてズボンの裾を強く握り締めて泣いていた。
『そうか……。』
純はそう呟くと、パールの頭を優しく撫でた。
『俺達、似た者同士なのかもな!?
勿論、パールの方がもっと大変なのは間違い無いけどな。』
『ジュン……??』
『俺も、子供の頃から学校の連中に無視され続けて、付き合った女性にも、俺では無く何か理想を求められていた。
挙句の果てに、癒しを求めて結婚したけど、知り合いと不倫されちゃったよ。
離婚してから15年間、もう、どうでも良いやって生きて来た。』
『ジュン……。』
『ま、パールに比べれば大した事は無いけどな!』
そうして純は、優しい眼差しでパールを見つめた。
『私達、似た者同士ね。
ずっと、一人ぼっちだった……。』
そう言って笑顔を純を見つめるパール。
『そうだな……。
俺、分かり合えたのは初めてだ。』
手を差し出す純。
『私も……。』
パールも手を差し伸べた。
©︎2023 山咲