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overlap   作者: 山咲
Encounter
4/7

真珠の眼をした女の子。4

『ここがジュンの家かぁーー!

意外にイイ感じじゃん!』



『お前なぁ……。

今夜だけだぞ。

それに、親も寝てるから静かにしろ!』



『分かってるって、ジュン!』



『それと、ジュンじゃ無くて「ジュンさん」だろ?

どーー見ても歳下じゃねーーかよ。』



『あ、ごめーん。

まだ言って無かったっけ、17歳よ!』



『じゅ、じゅうななぁぁぁーー!?

(俺、犯罪じゃねーーか……。)』



疲れがどっと出る純。



取り敢えず、部屋へと案内した。



『へーー!

殺風景かと思ったけど、高っかい服とか時計とか、意外と物に溢れてるんだね。』



『まあな……。』



『こんなんじゃ、いつまで経っても奥さん貰えないよ??』



『余計なお世話だっ!

俺だって、色々有ったんだ!』



『へぇ……。』



暫く二人を沈黙が支配する。



パールはソファーに座りながら、下を向いて脚をパタパタさせていた。



『お前も、何が有ったんだよ……。』



パールは、そのまま下を向いて無いも喋らなかった。



『泊めてやったんだぞ??

その位は話せよ。』



『うん、そーーだね。』



パールは顔を上げて、天井を見上げた。




『私はね、ヨーロッパのとある国で生まれたの。

お父さんが、日本人の女の人と不倫した。

そして、私の国では戦争が始まった。』



『お、お前……。

あの国の避難民なのか??』



『そうよ。

お父さんとお母さんは、戦争で死んでしまったけど、日本人の女の人が私を難民として引き取ってくれた。

だけど……!』



『だけど??』



『それは、宗教的に地位が上がる為。

私への扱いは苛烈だった……。』



純には、あの宗教集団だと直ぐに認識出来た。



『学校へ行っても、日本人とはまるで違う容姿でしょ??

毎日の様に、イジメや嫌がらせばかり。

ずっと一人ぼっちだった。

こんな事なら、私も祖国の為に戦って死にたかった!!』



想いをたぎらせて、パールは顔に埋めてズボンの裾を強く握り締めて泣いていた。



『そうか……。』



純はそう呟くと、パールの頭を優しく撫でた。



『俺達、似た者同士なのかもな!?

勿論、パールの方がもっと大変なのは間違い無いけどな。』




『ジュン……??』




『俺も、子供の頃から学校の連中に無視され続けて、付き合った女性にも、俺では無く何か理想を求められていた。

挙句の果てに、癒しを求めて結婚したけど、知り合いと不倫されちゃったよ。

離婚してから15年間、もう、どうでも良いやって生きて来た。』



『ジュン……。』



『ま、パールに比べれば大した事は無いけどな!』



そうして純は、優しい眼差しでパールを見つめた。



『私達、似た者同士ね。

ずっと、一人ぼっちだった……。』



そう言って笑顔を純を見つめるパール。




『そうだな……。

俺、分かり合えたのは初めてだ。』



手を差し出す純。



『私も……。』



パールも手を差し伸べた。


©︎2023 山咲

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