真珠の眼をした女の子。3
純は、何かとてつもなくいても立っていられなくなった。
『ど、どうしたんだ? あの子。』
気持ちが意思を上回って、女の子の基へと脚が動いて行く。
気づけば、女の子の前に立っていた。
『(えぇ!? 俺、なに勝手にこの場に立っているんだよ!
面倒な事は大嫌いな筈なのに!!)』
Yシャツが途端に汗ばむのが分かる。
たじろぐ純。
すると、女の子が涙で腫れた顔をゆっくりと上げた。
『あ、あのな……。
もう暗いから、お家に帰りなさい。』
棒読みの裏返った声で、必死に大人の威厳を取る。
すると、女の子は鋭い眼で純を見つめた。
『オッサン!
お前には関係ねーーだろ!?
早く消えろっ!!』
その言葉で、純は我に返った。
『お、オッサン!?
俺はこれでも、歳の割には若く見られるんだよっ!』
『うるさいっ!
お前みたいな鳥の巣頭なんて消えろ!』
『と、鳥の巣だとぉ〜〜!?
って言うお前も、俺と似た様な髪じゃねーか!』
必死にに指を指して反論する純。
それが、大人の行動としては可笑しかったのか、途端に笑顔になる女の子。
『アハハ!!
アンタ、大人の癖にバカみたいだね!?』
『う、うるさいっ!』
その時、純は眼に入った女の子にハッとさせられた。
コンビニの光に照らされた女の子は、真珠色の眼をした、ブロンド色をした強いウェーブが掛かった髪をしていたからだ。
絵に描いた様な、美しい女の子だった。
『お、お前……。
外国人なのか?』
『そーーだよ! 悪いっ!?』
『いや、お前の瞳、真珠の様だな。』
『ああ、だから私の名前もパールなんだ。
パール=ティーナ=クリストファー。
アンタの名前は?』
『俺は、鳴鐘純。
って、そんな事はイイから、とっとと家に帰れ!』
『帰りたく無いって言ったら??』
『はぁ!?』
『ねぇ、アンタん家泊めてよ!』
『は、はぁ!?
お前、何言ってんだ!?』
『ここで会ったのも何かの縁だ!
よしっ! 決めたっ!』
『勝手に決めるなっ!』
『何だぁ、彼女でもいるの??』
パールは、不適な笑みで純を見つめる。
『余計なお世話だっ!』
『だったらイイじゃん?
さ、行こう〜〜!』
無理矢理手を引っ張られる純。
その足取りは、重かった。
『(俺、何かとんでも無い奴に声を掛けてしまったのでは……。)』
©︎2023 山咲