表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
overlap   作者: 山咲
Encounter
1/7

真珠の眼をした女の子。1

俺の名前は、鳴鐘純。



42歳、独り者のバツイチ独身。



まあ、俺にも結婚と言うものに憧れて、一緒になった人がいた。



もう15年前の話だ。



あの頃の俺は、まだ若くて世間を知らなかった。



自分で言うのも何だが、何もせずとも子供の頃から目立つ存在だった。



それを嫉妬する奴等は、何処にでも必ず現れた。



そして、小学校から中学まで続く、過酷な集団での無視。



それでも悔しさを堪えて、笑顔で登校した。





自然と、高校は遠い場所にした。



新しい場所で、まっさらになって、自由になりたかったからだ。



しかし、高校、大学と新しい仲間と知り合い、それなりに友達付き合いはしていたけど、結局は自分から過去の事を恐れて、何処か距離を置く様になってしまっていた。



孤独は一段と深まって行く。




だが、そんな俺にも彼女もそれなりに出来た。




だけど、惚れた人達は、理不尽な要求ばかりを繰り返して、それが満たされないと分かると、直ぐに俺のもとを去って行った。



また一段と、孤独が深まる。




そんな時に、孤独な俺に手を差し伸べてくれた、少し歳上の優しい女性。



それが、昔の妻だった。




だけど、その妻にさえ知人の妻子持ちと不倫された。





俺の心は、この時なにか音を立てて崩れ落ちて行った。





『人は信じてはいけない。』




それが、答えだった。






『では、今日はお先に失礼します。』



『お疲れ様。』



『おお、早いな。

今週は後半戦がハードだからな。

ゆっくり休めよ。』



『はい。 では、お疲れ様でした。』



『しかし、オマエは一人身で気楽で楽しそうだよな〜〜。

羨ましいよ〜〜。』



『ま、まあ。

欲しい物を買って、好きな様に生きる!

それが、独身の醍醐味ですから!』





鳴鐘純、バツイチ独身42歳。



周囲からは、自分の好きな様に生きていると思われていた。



だが純は、それを否定する気は無い。



しかし、周りが思っている程、決して楽しくは無い。



夜になると、孤独が自分の身体を包み込むからだ。





『取り敢えず、コンビニでコーヒーでも買って帰るか。』




呟きならがら車のエンジンを掛ける。




そして、車のフロントガラス越しに、真っ暗になった星を眺めた。



『楽しい……か。』




含み笑いを浮かべながら、車を走らせた。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ