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2.夢の始まり

この感覚...俺はまた夢を見ているらしい


(ここは...学校の体育館か...?)


周りには椅子が沢山並べており、まるで入学式がこれから始まるかのような雰囲気を感じる。


しかし、沢山並べられた椅子には少し大きめな学生服を着た、わかな、やよい、モザイクのかかった男しか座っていない。


モザイクのかかった男はこちらを認識してるように見つめてきていることに俺は気付いた


何故だか恐怖は感じず、そのモザイクの奥には悲しみのようなモノを感じ


___違和感を覚えた


(あの男...前から夢に出て来てるよな?)


そんな事をふと思った瞬間、視界が歪み眩しい光が全てを包み込む___





...ピピピピピピ


顔の横でなる機械音で目が覚めた


五月蝿い機械に目を向けると7:00とデジタル時計が時間を表示している


「...今度は入学式か、てか俺はどんだけわかなの夢を見れば気が済むんだ?」


と、何かを忘れた気がしたが夢の詳細を忘れる事は決して珍しくない


考えるのを辞め、機械を黙らせた


「さあ、やよいが来る前に身支度しないと今度こそZ技決められそうだ」



俺は充電器に繋がれているスマホに通知を知らせる文字が画面に表示されていることに気がついた


見るとやよいからメールが来ていた


一通は昨日の夜に来てたものだ


(...何の用だ?)



1:34 寝てて行けなかったなんて、無いよう家の鍵は開けておきなさい!


6:40 ちゃんと起きた?



「こいつ、ちゃんと寝てんのか...?」


そうしてスマホを布団の上に投げ、風呂場に向かうが


(いや...風呂上がって寝落ちなんてしたら、それこそ怒られそうだな...)


(一応開けとくか)


カチッという音と共に施錠が解除されたのを確認し


(これで大丈夫か...)


俺は玄関入ってすぐ横にある風呂場に入る





____少し時間を空けて、成瀬家では


「ご馳走様、お母さん今日少し帰ってくるの遅くなるかも」


空になった食器を運び、朝食を作り終わって今から食事しようとするお母さんに声をかける


「あら?部活始まるの?」


意外そうな声を出すやよいの母親は若々しく見え20代と言われても誰も疑わないであろう美人に見える


「うん!今日からまた部活だから明日以降も、時間遅くなりそう」


お母さんは安心したような顔をして


「じゃあ、ゆうだいくんも学校行くのね、良かった」


ガタッ!


「なんでゆうだいの話になるの!」


私の顔が熱くなっていくのを感じる


「あらあら〜、だってそんなに嬉しそうな顔してたら分かるわよ、昔から仲良いんだから今日は一緒に行くんでしょ?」


お母さんは私の顔を見ながらにやにや楽しんでいる


「〜〜〜〜〜〜っ!」


母親に図星を突かれた私は言葉ならない声を上げ


「もうママなんて知らない!」


なんていい玄関まで早い足取りで行き、靴を履いて玄関から飛び出しだ


「やよい、気をつけてね〜、あと興奮した時ママ呼びになってるの治さなくていいの〜?」


お母さんは笑顔で煽ってくる


「お母さんのバカ!!」


なんて捨て台詞を吐いて、私は隣の家まで逃げ出した


「まったく...お母さんはそうやっていつも私をバカにする!」


そう言いながらポケットにしまったスマホを取り出す


時刻は7:40と表示されていて、やよいのスマホには余分なアプリは入っておらずアプリのアイコンは綺麗に並べられている


私はメールアプリを開き既読が付いているかを確認した。



1:34 寝てて行けなかったなんて、無いよう家の鍵は開けておきなさい! 既読


6:40 ちゃんと起きた? 既読


(既読は付いてるけど、返信来てないじゃん...もしかして二度寝した?)


これはZ技の出番が来たか?と思いつつ、ゆうだいの家の前で電話をかけてみる


プルル〜プルル〜プルル〜プルル〜プルル〜


と、五回コールした所で通話で起こす事を諦めた


(ゆうだい電話して出なかったらだいたい寝てるんだよな...)


私は先程のお母さんの煽りもあり、悪魔的考えを思いついた


(ゆうだいを起こすという口実でZ技で八つ当たりしてやろうか...)



(ゆうだいがいけないんだからね...起きない自分を恨むんだな)


ニヤニヤした顔でドアノブに手をかけ、玄関を勢いよく開た、その目に映った物は____


ゆうだいの裸体だった


「「......」」


一瞬何が起こったかお互い理解できずにいたが、1番最初に口を開いたのは、やよいだった


「キャーーーーーーー!!!」


「おい待て!落ち着け!」


という二人の声が響き、やよいの蹴りが股間に向かって全力で蹴り上げられ


男の大事な部分に直撃する


股間にかつてない衝撃を受けたゆうだいは


白目をむき、内股で股間を押えながら


目の前が真っ暗になった______



すぅすぅっと自分以外の寝息で目覚めた俺は


顔を上げると見知った部屋のベッドの上で横になっていた


辺りを見回すと綺麗になった部屋と、全裸だったはずの体には服が着せられていて


そして何故か、俺のベッドに顔だけ乗せて腕を枕にしながら寝ている幼馴染が目に入る


(なんでやよいが寝てんだ...)


どうせ夜遅くまでゲームしてて眠くて寝たといったところだろう


(...さっきの仕返ししてやろう)


ベッドにあるスマホの写真アプリを起動して俺はやよいの顔にフォーカスを合わせる


カシャッ


撮れた写真を確認すると我ながらよく撮れていた、被写体が美人だからだろうか


(コイツこんなに可愛かったか...?)


そんな事を考えていたら


「んんっ...?」


やよいの声が聞こえ、俺は手に持ったスマホを速攻で枕の下に隠した


(バレたら何されるかわからん...)


そんな恐怖を感じていたら、やよいの瞳が開き寝ぼけているのかこちらを見つめてくる


数秒見つめあっていると状況を理解し始めたのかやよいの顔がみるみる赤くなっていくように見えた


「おはようございます」


無断で写真を撮った罪悪感と気まずさでぎこちない挨拶になってしまった


「え、えっと...おはよ〜...?」


まあ、それはいいとしてまずは


「とりあえず聞きたいことがふたつある」


やよいは何を質問されるのか分かっているのか耳まで真っ赤になっている


「まずひとつ、なんで俺の部屋がこんなに綺麗になっているんだ?」


やよいはすかさず答えた


「そ、それは部屋が汚くて...ゆうだいの事、蹴っちゃったからお詫びのついでにと思って...」


最後の方はもはやなんて言ってるか分からない


「じゃあふたつ、なんで俺は...服を着てるんだ?」


「そ、それは...風邪...引いちゃうから、できるだけ見ないよう...着せたんだよ...」


その質問には先程の素早さは無く、それでも少しづつ正確に伝えようとしてることが分かる


「ご、ごめんなさい!」


やよいが深々と頭を下げて謝罪してきた、


「...今回は俺も悪かったしな...素直に返信していればこんな事にはならなかったかもだし」


しかし、まだ蹴られたところが痛い...


「今何時だ?」


俺は時計に目を向けると11時頃だった


「大丈夫、お母さんに事情説明して学校に遅れるって連絡してくれたから」


あたふたしながら説明している姿がどことなく面白い


「なるほどね、じゃあわかなも心配する事だし学校行こうぜ」


股間に痛みを感じるが動けない程では無いしな


「蹴った私が言うのも何だけど、大丈夫なの?」


やよいが心配そうな顔でこちらを見てきた


「...大丈夫じゃないって言ったら何かしてくれるのか?」


「いや...それは...うん、私に出来る事なら...」


モジモジしながら、俯いてて表情がよく見えない


「いや、もう十分もらったしいいよ」


「え?なんかあげたっけ??」


...つい口が滑ってしまった


「いや...ほら、あれだよ...部屋の掃除してもらったし...ね?」


少し言い訳にしては苦しかったか...?


「なるほどねー、まあそんなのでいいなら」


とりあえず写真はバレずにすみそうだ


「ああ、とりあえず学校行くために制服に着替えたいから玄関で待っててくれ」


「分かった、早くしないと置いてくからね〜」


さっきの申し訳なさなどの欠片を見せずに部屋から出て行った


「...着替えてさっさと行くか」


俺は股間の痛みに耐えながら着替え、玄関へと向かった____

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