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4,幼馴染み

 私は、知ってる声がラジオから流れてきて、驚いた。


 ショウって、(かける)だよね?


 幼馴染の寺内翔(てらうちかける)。中学までは家が隣同士で、仲の良い幼馴染だった。中学卒業と同時に寺内家が引っ越すことになり、疎遠になった。


 高校三年の時、通学で使っていた電車内で翔によく似た男子生徒を見つけた。でも身長も伸びていたし、大人っぽくなっていて、面影はあったけれど自信が無くて声を掛けられなかった。


 ――それから、あれ?


 私は高校を卒業して――どうなったんだっけ。

 記憶に靄がかかったようだった。


 わからないことに、不安になりながら。それでも走り続けた。声の出所を探した。


 電車で声を掛けられなかったことを、後悔したのは覚えている。


 声を掛けたかったけど、自信が無くて。

 でも、声を聴いたら――わかる!


 声のする方に走っていたら、商店街に戻って来てしまった。柱の上に拡声器が付いているような形の、町中によくあるスピーカーを見つける。


 ノイズは少しずつ収まって来ていた。パーソナリティーの話はよく聞き取れるようになっていた。


『さて、このコミニティFMラジオ、皆さんチャンネルを合わせて聴いてくださってますかね?』


『ホームページからネットでも聴けるから、電波が悪かったりしたらスマホやパソコンでそっちに切り替えると良いかも』


ハルさんの問いかけに、翔がアドバイスを加える。


『ネットだと全国どこでも聴いて貰えますから、ちょっと緊張しますね』


『おっと、ハル君今更?』

『いや~。意識すると無駄に緊張しちゃいますね』

『無駄に』


翔がハルさんをいじるように笑った。


『適度な緊張は集中できて良いんですけど、行き過ぎるとリスナーさんに伝わっちゃうほど緊張しちゃうので』


『緊張したハル君もリスナーさんは可愛いと思ってくれてるんじゃないかな』


『お恥ずかしい…』

『ここで丁度、お便りが届いてますよ』


翔が言った。


『読み上げる前に、宛先を言っておきますね。ファックスとメール、それからホームページのメッセージフォームからメッセージを送っていただけます』


ハルさんがファックス番号とメールアドレスを読み上げていく。


『ではでは、頂いたメールを。緊張したハル君可愛い~! ラジオネーム夏さんから。ありがとうございます~』


『めっちゃリアルタイム!? 夏さん聴いてくださってありがとうございます』


ハルさんが照れながら言い、翔は少し流れを変えた。


『じゃあ、今日のオープニング曲行きましょうか。スピードスターで、”夢を探して”』

 

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