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怖い女の人達

職場でPCR検査した影響で仕事が面倒に


暫くは執筆遅れそう

 妖精が一体どんな種族かと問われれば、僕が最初に挙げるのは人とは隔絶した魔法の使い手、続いては基本的に他の種族と積極的に関わらない少し排他的な生活だろうね。


 女王を頂点とした妖精の領域で生活し、女王の子供である王女達(尚、女王は女の子しか生まない)は成長後、次の生活拠点候補を管理する。

 複数の領域の中から選ばれるのは次の女王に選ばれた王女が管理する領域で、ラキアみたいに才能があると管理が難しい場所を任される辺り、生まれ持った才能に胡座をかいて居ちゃ駄目だって事だ。


「さて、貴様も知っての通り、我が治める妖精の国と聖王国は良好な関係を結んでいる。それこそ貴様達からすれば貴重な品を唯一取引してやっている程にな」


 ああ、忘れて居たよ、最も重要な”義理堅い種族”だって事をさ。

 ゲームではお馴染みの体力を回復させるアイテムだけれど、この世界にも”ポーション”ってのが存在する。

 只、作れるのは妖精だけで、その妖精も数百年前に陥った危機から救ってくれた聖女の興した聖王国のみと取引をしてくれている。


 ……因みにその危機に王国が関わってるせいで”王国に売る際は他国の相場の倍の値段”って契約が数百年間続いているから”恨みを忘れない”って所も特徴だよねぇ。怖っ!


「……何ぞ言いたい事でも有るか?」


「いえ、何でもありません、女王様」


 ヤバい、余計な事を考えたのを読まれた……。


 微笑んでいる女王様だけれど目が笑っていないって言うか、ラキアが花をモンスターに変えて操ったり妖精の領域と外界を隔絶してたりとか、妖精の魔法って人間が使う基本四属性の魔法とは全く違う物も有って得体が知れないんだけれど、”時”なんて物を使う僕が言ってもブーメランでしかないんだよね。

 

 つまりは怒らせれば何をされるか完全に予想出来ないし、僕のみに何かあるだけじゃなくって、リアスや祖国に何かあると怖いし、怒らせる案件に思い当たる事が。……今回の訪問はその件かも。


「えっと、以前お受けした”ラキアが困っていたら助ける”って依頼に関しての事で来られましたか?」


 共和国の一部の戦士が長い間の訓練によって相方にしたモンスターの言葉が分かる様に、僕がポチと言葉が通じるのは女王様が報酬の先払いとして使った魔法の力のお陰だけれど、何の目的が有ってか彼女の管理する領域の異変は他の奴が解決していた。


 しかも話からしてシアバーンで間違い無くて、其奴はかつて人間を滅ぼそうとした光の神の悪心と一緒に封印された筈の存在で……契約不履行だって怒られても仕方無いし、娘に危機が迫ったかもという心配を晴らす八つ当たりをされても仕方が無い……。


「阿呆が。我をその程度の器量が狭い小物だと思うたか。寧ろその事に関して怒りをぶつけるぞ、ロノス」


「も、申し訳有りません。……所で絶対心を読んでますよね?」


「ふふふ、さてな。当てずっぽうかも知れんぞ? まあ、安心せよ。依頼の内容は”困り事の手助け”であって”領域の異変の解決”ではない。故に報酬を奪いはせぬが……ちゃんと仕事はして貰おう。友の孫であっても仕事は仕事だ」


「……あっ、これって面倒事を押しつけられる奴だ」


「おい、”どうせ心を読まれるから包み隠さず口にしよう”等と開き直るな、その図太さは好ましいがな。まあ、それ程の面倒な事は言わぬさ」


 女王様は呆れつつも感心した様子で窓の外を指し示す。

 窓の外にはポチの小屋があって、その近くには塀……じゃなくて冬の森が広がっていた。


 ……はい?


「面倒なのと関わったらしいからな。この屋敷とラキアの管理する領域を繋げておいた。まあ、事後承諾だが容赦せよ。まさか容赦せぬとは間違っても口にせぬよな?」


「……まさか」


 ポチは急に現れた森に驚いて居るけれど、森の中から庭に雪が吹き込んでいないから冷気は遮断されているみたいだから問題は無いし、問題があっても口に出来る筈も無い。



「ふふふふふ。まあ、あれだ。近々ラキアにも体の大きさを自由に変える魔法を教えてやるし、その時は街を案内してやってくれ。奴も喜ぶだろうて」


「いや、ラキアって基本的に僕を嫌っているから……」


 思い起こすのは会う度に向けられる言葉の数々で、僕としては友達として仲良くしたいんだけれど、全然仲の進展が無いんだよねぇ。


 そんな僕の考えを読んだのか女王様は盛大に溜め息を吐いてる。

 あれかな? 娘が曲がりなりにも交流がある国の顔見知り相手にあの態度だからね姫君がさ。



「……何だ、あの意地っ張りは相も変わらずか。馬鹿馬鹿しいが親心として教えてやる。あの馬鹿娘は無駄に気高さを演出してるだけで貴様を嫌ってはおらぬ。妖精が人の子より優れているのは事実だが、親しき仲にはなれるだろうに。……実際、彼奴を貴様に嫁がせても良いと思っているぞ?」


「またそんな冗談を。あの子が素直になれないのはそんな冗談が恥ずかしいからでは?」


「……詰まらぬ奴だ。此処は”是非娘さんを嫁に下さい”とか言っておけ。そうすれば我は”ウチの娘に結婚はまだ早い!”と返答するものを……」


 腰に手を当てて呆れ果てる女王様だけれど、これって僕が悪いの!?

 しかも自分から言い出しておいて結婚に反対する気だったし、妖精の特徴で一番重要なのは”気紛れで悪戯好き”だったよ!



 この女王様、見た目は若いけれど実は結構な年れ……睨まれた。


「貴様、本当に奴を嫁がせた時は覚えていろよ?」


 ……その冗談、何時まで引っ張る気なんだろう。

 冗談……だよね?

 いや、妖精と聖王国の関係を考えればクヴァイル家の家柄的にも妙な話じゃないんだけれど……。



 思い起こせば婚約が決まってたり、決まりそうな相手って本当に個性的だったり我が強い子ばかりだよねぇ。

 会ったその日に押し倒しに来た子とか、天才のパンドラとか……うん。



「絶対に将来尻に敷かれるな、貴様は。さて、我はそれなりに忙しい身だ。娘の驚いた顔を見たいが……帰るとしよう。……アレは意地っ張りだが値は悪い奴ではない。母として言うが、宜しく頼む」


「まあ、それは分かっていますよ。ラキアが良い子だって事はね」


「なら良い。……ああ、それと気になっていたのだが、あのメイド長だが、どうも普通の人間とは……いや、止そう。藪蛇はごめんだ。まあ、貴様の敵にはならんだろうさ」


 何か凄く気になる事を口にしたけれど、それを途中で区切って女王様は姿を消す。

 それを見計らった様にドアがノックされて飲み物と軽食を乗せたカートを押すメイド長が入ってきた。


「おや、お帰りですか。……では、これは次のお客様にお出ししましょう」


 相変わらずの真面目そうな顔のメイド長が視線を向けた窓が外から叩かれ、困った様子のラキアの姿。


「おい! 領域の接続先が急に変わったのだがどうなっているのだ!?」


 ……あれぇ?

 女王様がした事なのに何も知らない?


「あの様子では母君から何も聞かされていなかったらしいですね。私も放任主義でしたが、それで大いに失敗しまして……失敬。個人的な事ですのでお忘れ下さい」


 有無を言わさない圧力を感じ、僕はそれ以上の追求をしない事にした。

 本当に何者何だろう、メイド長って……。



「若様、女には秘密がつき物ですよ? それは詮索する物ではありません。前回の時も……さて、お客様をお迎え致しましょう」


 前回? 僕、メイド長からそんな事を言われた記憶が無いんだけどなぁ。


「さて、ラキア様には蜂蜜たっぷりのアイスクリームでしたね。紅茶はアイスのレモンティーで……」


 本当に謎だらけだよね、メイド長ってさ。

 確かお祖父様が若い頃から……あれぇ?



「若様、お教えしたばかりですよね?」


 ……怖っ!

応援待ってます


漫画 線画が届きました   完成したらtwiccaに乗せるよ

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