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メタネタの国から来たパンダ

マンガ載せてます


https://mobile.twitter.com/ei7untyev36owgl

 どうしよう、本当にどうしようっ!?


 ネーシャと僕が部屋に二人っきり、しかもさっきまでシていた事が事だけにネーシャの顔はほんのりと紅潮していて、服は乱れている上に更に言うなら部屋を外と完全に遮断していたんだから慌てるよね、普通。

 いや、そもそも盗み聞きしていたっぽいし、彼女……。



「はい、失礼しますね」


 なので普通は招き入れないんだけれど、アリアさんは喜んだ声で入って来るし、だったら間違いだから入って来るな、とか言えないよね……。


「え? 何?」


 アリアさんが部屋に入って中の様子を確認する寸前、僕の声真似をして彼女を招き入れた存在に責める視線を向けるんだけれど何時の間にかリンボーダンス、但し棒無しをやっていたよ、意味が分からない。


「何って、僕がどうして見ているのか分かっていますよね? アンノウン様」


「そりゃ分かっているに決まっているじゃないか。僕をなんだと思ってるのさ、君!」


「心外だって態度を取られるのが心外だよ!」


「あの、ロノスさん。その……」


 あっ、ヤバっ!


 アリアさんへの対応をする寸前に視線だけで抗議する予定だったのにアンノウン様の態度があんまりにもだったからアリアさんへの対応を遅らせてしまった。

 ネーシャはアンノウン様にそんなに反応せず、僕の醜態に”あ~あ”みたいな態度で、幸いなのはアリアさんの興味がアンノウン様に向かっている事だ。


 そりゃまあ反応するよね、喋って動くパンダのヌイグルミなんだから。

 しかも自由と悪戯とパンダを司る神なのを知ったらどうなるのやら……。




「可愛い! この子、ネーシャさんの所の商品ですか? 動くヌイグルミさんなんですね」


 え? 正気?


 アリアさんのまさかの反応、そんな得体の知れない相手を抱き上げるとか信じられずに僕は驚いた。



「え? いや、その様な物は扱っていませんが……」


「そうなんですか? ”帝国産喋って踊るパンダ人形”と名札に書いていますし、ヴァティ商会で売っていると思ったのですが……」


「いや、書いてあるからと何ですの? どう考えても人形じゃないでしょうに……」


「え? でも書いていますよ?」


 アンノウン様の名札について真に受けているアリアさんと戸惑うネーシャの様子の違いに僕は以前得た情報を思い出す。

 アンノウン様から教えて貰った事なんだけれど……。



『パンダは周囲に笹が無い場合、最大水深五メートルまで潜って水草を食べるんだよ』


 ……こんな記憶を僕は知らない!?



「そりゃまあ、言っていないからね。只の洗脳による記憶操作だよ」


「アリアさん、そのパンダ絶対に性根が腐っていますわよ。お捨てなさい」


「でも、名札に”善良な”と書き足していますし」


「うん、書き足したよね、今さっき」


 指の無い手でペンを持ったアンノウン様もを抱っこしながら不思議そうにするアリアさんの姿を見ながら本来の記憶を思い出す

 あの名札の洗脳能力が通じるのは”ボケ”の人のみ、”ツッコミ”の担当には全く通じない。



「そっか……」


 アリアさんってボケ担当だったんだ、ボケ担当とかツッコミ担当とか意味不明だけどね!



「それにしても可愛いですね、この子。私、お人形とか持っていないから」


 こうしてアンノウン様を抱っこする姿を見れば魔女とか言われているのが嘘みたいだ。

 


「まあ、この子って内心は冷め切っている子だし、お人形を可愛がっている演技をしているだけなんだけれどね! ……さて、そろそろ降ろしてくれるかい?」


 ……忘れていたよ。

 

 僕が自然と目の前の存在を神だと信じ、今だって自然と様付けをしている理由。

 アリアさんの腕の中から飛び出し、空中で手足を大きく広げて叫んだ。



「カモン! リゼリク!」


 ガンって何かにぶつかった音がベッドの下から、続いて手袋をした手が其処から飛び出して続いて黒子衣装が姿を見せる。

 頭をさすっているし、ぶつけたのかな?


「リゼリクとは彼でしょうか? ……登場シーンがグダグダですわね」


 ネーシャが呆れる中、リゼリクさんの頭に乗せたミニサイズの座布団に座り込むアンノウン様からは神だと信じるに値するオーラを放っていた。



「僕が部下の黒歴史を暴露したり、初対面の相手の心を読んだり洗脳したり、後は精々が悪戯で胃や精神にダメージを与えている程度の人畜無害なマスコットかと思ったでしょう?」


 それは人畜有害の間違いじゃないのかなあ……。



「メインヒロインなのに別サイトのヒロイン投票三位のアリアちゃんにメイン回貰っておきながら投票数0のネーシャちゃん、因みにネタで書いたサマエルでさえ一票入ってる。そんな君達に名乗ってあげよう。悪戯と自由と大熊猫を司る神アンノウン! そして僕の神獣でロリコンのリゼ君ことリゼリク君だよ!」


「!?」



「何故でしょうか? 全く意味不明にも関わらず腹が立つと同時に”メタい”という言葉が浮かんだのですが」


「私も何故かポチちゃんに三倍以上の差を付けられたという気分になりました」


 ……これも洗脳なのか?


 二人してアンノウン様の意味不明な発言に謎の電波を受信した発言をするけれど、ポチが一番って……何か有り得そうだと思ってしまう。

 リアス同様に恋愛対象外(当然!)何だけれど、ポチって最高に可愛いし、僕との絆の深さだってリアスに僅かに劣る程度で強く太いからだ。


「おっと、ロリコンってだけじゃ悪いね。ちゃーんと彼の優れた所を紹介しようか」


「!」


 頭を柔らかそうな手でポフポフと叩かれている彼の表情は黒子衣装に隠されて分からないけれど、ロリコン扱いを初対面の人の前でされた後だからだろう、期待した様子で……いや、違うな。


「多分ろくでもない事を言い出す前振りだって分かってるな、あれは」


 ソワソワしてるのは間違いないけれど、期待じゃなくって不安による物だ。



「なんと彼は笑いを司る神に認められた爆笑王なのさ!」


「!?」


 予想とは違った内容だったのか飛び跳ねそうになったリゼリクさんは自分を指さして慌てた後で手首を振って誤解だと伝えてくるんだけれど……。


「笑いの神が認めた爆笑王。……観客が連日満員御礼、チケットが飛ぶように売れそうですわね……」


 ほらぁ、神様の言葉を信じているし、謙遜しているようにしか思われてないよ。


「そ、そんなに凄いのですか!? 例えばどんなネタが……」


「おおっと! 実は敵対する神獣に一発ギャグ百連発を見せた所、止まらぬ爆笑の渦の中、悶え苦しみながらも最高の笑みで死んでしまったのさ。神の名の下に断言しよう。彼のギャグは思い出すだけで笑い転げ、一度思い出せば大好きな家族の葬儀の席でも声が枯れても尚笑い続ける程に危険な物だ。故に生半可な覚悟じゃ聞かせられない。神の境地の笑いだと覚悟するんだ」


 この時、アンノウン様の声は真剣そのもの、先程までのおちゃらけた様子は消え去って神が試練を望む人間に覚悟を問いただしているかのよう。

 神から直々に賞賛される程の笑いのセンスがどれだけの物か、最初は興味本位でしかなかったアリアさんとネーシャは固唾を飲んでリゼリクさんに視線を向けた。








 うん、本人が諦めちゃって”もうどーにでもなぁれ”って様子だし、此処ら辺で止めとくか。




「……それでアンノウン様、わざわざ何用ですか? そもそも何時から部屋の中に……」


 さて、あのタイミングで来た事には物申したい。

 幾ら相手の見た目がパンダだといっても……いや、最近まではパンダを司っていなかったし、パンダの姿の方が変なんだよ。

 つまり目の前のパンダを司るパンダのヌイグルミの姿をした神様は本当はパンダの姿なんてしていないって事だ。


 この偽パンダ、パンダの姿なんてしていない可能性が高いし、あのタイミングで現れるって事は……。


「あっ、その辺は安心して。流石にイチャイチャしている時にお邪魔しないよ、僕は。そんなに非常識扱いとか酷い!」


「酷いのは貴方の性根です」


「だね!」


「認めるんだ……」


「決まっているじゃないか、パンダだよ、僕」


 もう目の前の神に対して考えるのは止めよう、疲れるだけだ。









「え? パンダと何が関係有るんですの?」


「別に無いけれど? 変な質問するね、君」


 ……ほらぁ。

もう直ぐ二九〇〇突破 後二ポイント



挿絵(By みてみん)

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