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時の女神は露出狂?

小金手に入ったのでブクマ目標達成でTwitterのマンガ新規発注予定です

「あれで全盛期は既に過ぎているのでしょう? 旦那様は恐ろしいお方ですね」


 お祖父様の圧倒的勝利の光景にレナは呟き、その表情は彼処までやるとは思っていなかった様子なんだけれど、成人している孫(陛下)が居る年齢だし、十年前に一度大病を患って倒れた事も有るから当然か。

 レナは僕の力が半分以下に抑えられているのも、常時魔力をガリガリ削られている理由、”ライフリープ”の事は知らないからね。

 まあ、知らなくて良い事だって言うか、知らせたくないって個人的な我が儘なんだけれどもさ。


「若様と同じく時属性の魔法の使い手、それも持って生まれた若様と違い、使い手としての能力を与えられて創造された存在、身体能力だけでも私よりも上では? ……全裸ですが」


「うん、それは言わないであげて、レナ。多分そんな風に創られたんだろうからさ」


 神獣クリア、僕の目測ではリュキの創造した神獣将にやや劣る程度、それも僕達が戦った時は様子見だったり戦う気が無かったりの状態だったのに、あの神獣は間違い無く本気で殺しに来ていただろう。

 只、全力かどうかは別としての話だけれども。



 しかし、本当に何故全裸なのかは気になるけれど、多分創造したノクス様の趣味なのだろう。

 神獣将にも裸マントから下着エプロンに替わり、最終的に水着コートに落ち着いた馬鹿が居るし、神の価値観では肌を隠すのはそれほど重要じゃ無いのだと思う。

 予想でしかないが、お姉ちゃんが混じっているのにテュラも砂漠の踊り子みたいな薄着だったし、深く追求すべき問題では無いのだろう。



 ……矢っ張り記憶のぬけ落ちは問題だな……全裸の理由じゃないよ?

 あのクリアって神獣、今朧気に思い出した記憶の中、お姉ちゃんの話に出て来ていた”無理ゲーボス”だ。


 ”魔女の楽園”には負けイベント……理不尽なまでに強く、時間を掛けて鍛えて運も合わさって勝ったとしても負けたと見なされるボスが存在する(途中で戦うリアスや神獣将とか)らしいけれど、負けたらゲームオーバーなのに負け確定な強さを持つのが”ラスボス戦で先にリアスを倒した時のロノス”と目の前にいるクリアだった……筈、多分。


 何でも回り道をせずに邪魔な茨を切り開いたり焼いたり、野宿の為に木を切り倒して簡易的な小屋を作ったり(作れば全回復)するとマジギレ状態で現れるボスらしく、今の僕では使えない完全時間停止(プレイヤー側の問答無用での一ターン休み)やら未来予知(選択したコマンドに対応する行動をしてくる)等々、嫌な予感がして森の時間を戻して正解だったって訳だ。

 

 ……マジで良かった、本当に。


 てかキレたら無理ゲーボスって、時使いは怒りでリミッターが外れるのかな?

 ノクス様自身がキレたら人格が様変わりするタイプだったりして。

 全裸趣味もそうだけれど、神様って本当に神様なんだって思うよ。



「彼、どうして全裸なのでしょうか? まさか女神ノクスは全裸の中性的な少年を侍らすのが趣味だとか?」


「レナさん、御館様の尋問中です。お静かに」


 そんな彼は何か情報を持っていないかとお祖父様が尋問中、ルルネード家が居れば後は任せて居たんだろうけれどさ。

 僕は離れた所からお祖父様の尋問を見学して勉強中、相手は曲がりなりにも神獣だって言うのに他の神獣の情報を僅かだけれど聞き出していたし、今後は”知っているけれど知るはずのない知識”をこれで一部保管出来た。


 ……問題は僕の表情から知っていたって事を表情で見抜かれているって事だけれど、お祖父様なら無駄な事だからと聞き出しては来ないだろう。


 それでも僕が焦る中、レナはお祖父様の前で猫を被っているのに疲れたのか飽きたのか気が抜けたのか本性が出ているし、視線は股間に注がれていた。


「成る程、虚偽ではないか。虚言を吐いていると判断すれば今度は股間を潰してしまう所だったが」


「うぇっ!?」


 そう、あれだけ散々痛めつけていると思ったのに股間は攻撃していなかったお祖父様、それは恐怖を植え付けた上で最後の脅しに使うためだった。



「しかし……若様に比べて同年代の時でも小さいですね。創造した神の趣味でしょう」


「断言しますか、貴女は。そもそも全裸なのはきっと元の姿は人間とは違ったのを人間にしたからですよ……多分」


 パンドラ、レナが僕のサイズを知っているのにツッコミを入れようか?

 そしてレナ、どうして知っているの!?




「話は終わりだ。帝国に向かうぞ」


 女神リュキの神獣についての情報を多少、中には僕の知らない物……忘れてたって感じも一切しない物も聞き出し、満足したのか(満足って顔はしていないし、一切見た事無いけれど)背を向けるお祖父様。

 じゃあ僕達も乗り込もうとした時、クリアが急に自分の心臓を引き吊り出して握り潰す。



「ああ、そんなドン引きした目で見るのは止めて下さい、神殺し殺し。時属性の先輩として君にレクチャーと……プレゼントです」


 彼の胸に開いた穴の奥では今し方握り潰した心臓が再生を始め、なのに時間が戻った筈の潰れた心臓は彼の手の中からはみ出したまま。

 僕が何かの時間を戻した場合、映像の巻き戻しみたいになるんだけれど、彼が心臓の時を戻した場合は別だった。


「全体ではなく限定された空間の巻き戻しかな?」


「おや、見抜きましたか。ええ、先程引っ張り出した心臓の時を戻すのではなく、空間を限定して時を戻し、後は微調整で周囲と合わせる。そうすればこの通りに一つしかない物が二つになる。……もっとも、切り離した物を残したまま再生する時にしか使えない技術ですが」


 苦笑するクリア、彼の意見はもっともだろう。

 ズラした空間の時間を周囲と合わせるなんて高等技術、自分の体にしか使えない。

 ……そもそも今の僕じゃ自分の体の時間を再生させる事すら無理だけれど。


「それで若様にプレゼントとは? まさか自分のハートを受け取って欲しいという求愛ですか? 露出狂の上に同性愛とは個性的ですね」


「レナ、本当に落ち着こうか。……違うよね?」


「違いますけれど!? ええっ!? 私、そんな風に見られていたのですか!?」


 正直、同性愛は兎も角として露出狂は思っていたけれど、ショックを受けているみたいだから黙っておこう。

 潰れた心臓をニギニギしているクリアは顎に手を当てて考え込んでいるし、パンドラの予想通りに元は服の要らない異形の見た目だったのかも。

 そして心臓を渡そうって狂気の沙汰な発言だって何か意味が……。



「男の姿になったけれど、女の方が良かったのでしょうか? あっ! 全裸の女の子の姿ならさっきみたいにボコボコにされる事も無かったのでは?」


「服は着ろ。それとお祖父様は性別で対応を変えはしない」


 割と本気で悩んでいたらしいクリアの姿に僕は確信、此奴は露出狂なんだって。

 ホモじゃないだけマシだけれど、関わりたくないから僕もさっさと馬車に乗ろうとした時、クリアは両手で押しつぶしたのかはみ出た部分すら無いほどに小さくなった心臓を握った腕を無造作に振るう。


「……うぇ」


 何かが飛んで来るのを感じ、咄嗟に空気の壁を形成して防ぐけれど、それが触れるより前に時間が進められて空気に戻り、僕の手の中に血塗れの懐中時計が飛び込んで来た。


「独学だけで極められる程に時の力は容易じゃない。ゼース殿に使っている魔法、君への制約を考えても見事だが、今後はそれを開けば私の分身を出せるから授業をしてあげましょう」


「……どうも」


 正直有り難い、例え相手が露出狂だったとしても……あっ、嫌になって来た。

 でも、独学だけでは確かに足りないし……。



「所で分身は全裸の男の子と全裸の女の子のどっちが良いですか?」


「どっちでも良いから服を着なよ、変態が」


「全裸で過ごす事の何処が変態なのですか!? きっと私を創造なされたノクス様とて実は人前で裸になりたいに決まって……おや?」


 突如クリアに絡まる鎖、嫌な予感がした僕が数歩下がると空から巨大な鳩時計が彼の上に落ちて来た。

 悲鳴も上げずに押し潰され、衝撃で土煙が起こる中、耳に届いた人工的な鳥の鳴き声。

 

「鳩が手紙を咥えている。……”この変態と一緒にしないように。変な噂流せば神罰です”、か」


 苦労していそうだと、僕は生まれて初めて女神に同情した。

評価待ってます


挿絵(By みてみん) 女神二人

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