純情系痴女
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僕も決して謙虚な人間じゃない、思い上がってしまっていると何度反省を繰り返していた事か。
そんな僕だけれど、流石に敵対している途中の相手をスカウトはした事は無いなあ……。
「うん? 聞こえなかったか? ああ、我に目を奪われていたのか。くっくっく、我は魅力的だからな。今も組み伏せ、欲望の果てるまで犯したいのだろう?」
「いや、別に?」
「遠慮せずとも構わんさ。ほれ、試しに触れてみるが良い!」
確かに美少女かどうかって聞かれればそうなんだけれど、戦いの最中に敵に欲情しないし、おっ始める性癖なんて持っていない。
だから普通に断ったのに何を勘違いしたのやら自信有り気に笑うと右手を差し出して胸を反らした。
「手を握らせてやろう! 頭を撫でても良いのだぞ? ふふんっ。嬉しいだろう?」
ドヤ顔で堂々と言うにしては妙にウブだな、この子。
手を握るのがまるで凄い事みたいに言ってさ……。
「まあ、良いか。どうせ敵だ」
手を差し出して僕が喜んで握るのを信じて待っているハティに近寄れば体をビクッと振るわせている。
目を泳がしてモジモジしているし、もしかして握手程度も恥ずかしいの?
「ひゃっ!?」
そっと肩に手を置けば体が飛び跳ねて目を瞑る。
その腹部に拳を叩き込んだ。
「がふっ!?」
ハティは体をくの字に曲げて後ろに飛んで行く……いや、咄嗟に後ろに跳んで衝撃を殺したのか。
口元を手で拭ったハティはその場で四つん這いの体勢になり、此方を見て歯を剥き出しにして唸る姿は狼を思わせる。
目も剣呑な感じだし、此処からが本番、茶番は終了って所だね。
「……ちっ」
背後に意識を向ければ海に投げ出された船乗りと、それに群がる人魚達の相手をしているポチとツクシが居る。
この辺を航海するって事は王国民か……王国民かぁ。
聖王国の民ならば何が何でも助けたいけれど、王国の民の為に危険を冒すのは少しやる気が下がる。
薄情なようだけれど貴族なんてそんな物だ。
只、貴族だからこそ気にせず戦う訳にも行かないし……。
「理由は分からんかったがミントの奴が言っていたぞ。貴様等は邪魔にしかならぬ弱き者を見捨てられぬから、巻き込むように戦えば良いとな」
「さて、それはどうかな? 死んでまで守りはしないさ。巻き込んで死なせた事への政治的な問題も後で考えれば良いしね」
「……そうなのか? 奴め、いい加減な事を教えたな」
実際は巻き込んでしまった場合、これ幸いと色々言って来そうな貴族が王国に、正確には僕の叔母である現王妃に反発する派閥に居るんだよな。
王子がその一人ってのが厄介だし……別に死なせて平気な訳じゃない。
ハッタリとは言えないハッタリをかまして見たけれどハティは信じたのか起き上がって腕組みをしながらリアスが居る方向を睨んでいるし、そのミントってのが居るんだろうね。
「しかしまあ、先程はやってくれたな。我を孕ませる気かと思ったぞ」
「まさか。こんな所で君を裸に剥いて犯す気なんて無いさ」
再び四つん這いになったハティは頭部の方を低くしてお尻の方を持ち上げ、今にも飛びかかって来そうで、僕は会話に応じながらも気は抜かない。
こんな事なら武器を持って来るべきだった、神獣がウロチョロしているのは分かっていたけれど、人魚の歌が聞こえ始めたからって慌て過ぎたな。
「裸? 何故孕ますのに裸にする必要が有る? 服のままでも……いや、成る程な。貴様、箱入り息子で知らぬのだろう? 下僕への教育だ、我直々に教えてやろうではないか」
うん? 裸にする必要が無いって、何を言っているんだ?
確かに着衣プレイってのは有るし、実際やってみたら裸の時とは別の興奮……は今は関係無いとして、何を教える気なのやら。
そもそも手を握ったり頭を撫でられるだけでも精一杯な純粋な子が教えられる事は限られているだろう。
「良いか? 我の今の肉体とて性能は兎も角、作りの基本は人間に似ていて子も宿せる。貴様が我の下僕になって働くのならば働き次第では貴様の子を孕んでやろう」
組み伏せる気だろうとか言いながら手を握らせるので限界を迎えている奴が何を言っているのやら……。
組み伏せて手を握るって、犬をひっくり返して肉球を触るんじゃ無いだろうに、何か話すのも馬鹿馬鹿しい。
……魔法を解除する攻撃?
ははっ、その程度ならどうとでもなるんだ、例え武器が無くたってさ。
数秒有れば良い、それで準備は整うだろう。
「聞いて驚け! 人の子は口付けをしながら相手の口に舌を入れれば子を宿すのだっ!」
「違うけれど?」
「なぬっ!?」
口をあんぐり開けて驚いているけれど、驚きたいのは僕も同じだ。
神獣の性教育はどうなって・・・・・・いや、別に良いか。
「目の前の相手は敵で、敵は殺す。巻き込まれそうなのが居るなら巻き込まない。状況に流され過ぎなんだよ、僕は。ああ、自分が腹立たしい」
「そうだな。今まで神獣を返り討ちにして来た貴様を言葉だけでどうにかしようなど無理な話であったか。打ち倒し! 心をへし折って下僕にすれば良いだけだ!」
叫びと共にハティは四つん這いの姿勢で指先と足に力を入れ、一気に体を押し出す。
爆発的な加速で僕の眼前まで迫った彼女の爪には魔力が凝縮され、防ぐ事も叶わず、一歩前に出て懐に潜り込むのも間に合わない。
魔法無効化の前では防御も・・・・・・無意味だ。
大きく振るわれた爪は攻撃範囲を一瞬で膨れ上がらせ、巨大な船を輪切りにした。
「・・・・・・貴様、何をやった」
確かに僕に向かって振るわれたのは回避困難な一撃、今まで戦った神獣の誰よりも速い、それこそ神獣将でさえもハティの動きには劣るだろう。
でもまあ、爪を振るった先に僕が居ないのだから傷なんか僅かも負ってなんか居ない。
腕を振りきったばかりのハティの横、大きな隙を晒した彼女が驚愕の混じった横目で睨む先に僕が居た。
「種を明かしたら手品は面白く無いだろう? もっとも、直ぐに気付くんじゃ君には二度と通じないだろうけれど、この場で倒すなら問題解決だ」
向こうに届く光と臭気の時間を操作して、だなんて言わない。
手の内明かして勝利宣言とか格好良いとは思うんだけれど、直前に気付かれたって事は違和感がって事か。
その辺、敵でなければ詳しく聞くんだけれど・・・・・・。
「”エアボム”」
ハティの周囲にを取り囲む黒い球体、空気の流れの時間を超高速で操作し一カ所に留めた物。
以前は一個展開にするのに数秒掛かった物だけれど、時の女神ノクスに力を底上げされた今ならより多くをより早く展開可能だ。
「愚かな。何をする気は知らぬが、この程度何かをする前に霧散させるだけだ」
そうだね、君なら全て破壊可能だろう、それが狙いなのだからさ。
足元を踏み締めてその場から離れると同時にハティの周囲の空気に意識を集中させる。
エアボムは空気を圧縮して解放させた時の衝撃を叩き込む魔法、要するに元から解除するのが前提だ。
「ぬっ!?」
何かが起きると見抜いたのだろう、同時に周囲を囲まれて逃げ場は無い事も。
腕で防御を固め防御に徹しようとする中、衝撃を周囲に逃さない為に空気の檻を作り出して・・・・・・。
「きゃっ!?」
「ぐぬっ!」
檻を展開し終わる寸前、栗毛の女の子が鼻血を流しながら飛んで来て、取り囲む僅か前に空気の檻の中からハティを弾き飛ばしてしまった。
コンマ一秒程の差で檻が閉じ、二人は海に落ちて水柱を上げる。
「今のは・・・・・・ノーパン神獣?」
そうだ、間違い無く僕が後ろから串刺しにして倒した筈だ。
空気の槍で心臓を貫いて、槍を消して風穴開けて海に落とした筈なのに。
「いや、ノーパン神獣って認識はちょっとアレか」
「お兄ちゃーん! そっちにノーパン神獣飛んで行かなかったー?」
リアスの方もそんな認識なんだね、うん・・・・・・。
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