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事が終わって

漫画乗せてます


https://mobile.twitter.com/ei7untyev36owgl

 空を覆う闇の蓋が中心からジワジワと消えて行く中、僕とアリアさんは海に浸かって色々と洗い流していた。

 地面に寝転がったし、土やら草やらくっつくし、夏だから汗だって……。


「……凄かったです。本で読んで妄想……想像してみたのよりずっと……」


 解けやすくなっていた水着の紐を結び直したアリアさんは汗やら何やらが溜まった物を念入りに流している。

 普段から汗が溜まって肌が荒れやすいらしく慣れた手付きで洗いつつ、うっとりした顔で僕に話しかけて来るんだけれど、さっきまで何をしていたのかを考えると目を合わせられない。


「……ロノスさん、実は初めてじゃないですよね」


「あっ、うん。実は……」


「良いですよ、別に。……途中までで終えましたけれど私は気持ち良かったですし? ロノスさんはどうでした?」


「け、結構な胸をお持ちで……はい、黙っていてすいません」


 事の最中、僕が慣れた様子だったから経験者だと気が付いたらしく、指摘する時の彼女は何処か拗ねた風に見えるし、暗黒のオーラを纏って見える。

 ……うん、夜鶴達に”私達が女体の扱いを学ばせて差し上げます”とか言われて色々としたけれど、それを彼女で試したのは失敗だったか。



「……だから良いですって。じゃあ、そろそろ帰りましょう。あっ、お姫様抱っこで運んで下さいね?」


「……はい」


 ヤバいな、暫くは頭が上がりそうにないぞ。


 体を洗い終えたのか海から上がった彼女は持ち上げやすいようにする為か手頃な大きさの岩に座って僕に向かって手を伸ばしている。

 暗黒のオーラは既に消えていて目の前に居るのは何時ものアリアさんである事にホッとするんだけれど、要求通りに抱き上げると首にしがみついてほっぺにキスをされ、耳元で囁いて来た。



「またの機会に宜しくお願いしますね。お嫁さんになる前に最後までやっても私は構いませんし、ロノスさんが望むなら何でもしてあげますから」


「それでアリアさん、これからどうする? 未だ時間はあるし、したい事があったら付き合うよ。ほら、デートだし」


「し、したい事ですかっ!? あの、その……」


 汗やら土やら体に付着したあれやこれやを海水で洗い流し、その海水も僕の魔法で取り除いたから島から浜辺を目指す途中、僕の問い掛けにアリアさんは何を誤解したのか真っ赤になってゴニョゴニョと口ごもる。

 成る程、したい事って聞いて何の事か勘違いしているのか察しが付いた。

 それにしても前から思っていたんだけれど……。


「アリアさんって髪の色は黒だけれど、頭の中は割とピンクだよね」


「うぅ……。意地悪です……」


 抗議の意を込めてポカポカと叩かれたけれど痛くはないし、笑いながら謝っていると浜辺に到着した。

 アリアさんは未だ拗ねているのかそっぽを向き砂で山を作り始めている。


 砂遊びか、前世の記憶が戻る前はしなかったよ、服が汚れるからってさ。

 リアスも僕の方も記憶が蘇ったと知るまでは暗かったし、明るくなってからは付き合って遊んだけれど、もう少し早くしてやれる事があったと思う。


 だから同じ過ちを繰り返さない為にも僕はアリアさんの正面に回って砂山作りを手伝い始めた。

 空気をスコップの形に固定すれば楽に作れるだろうけれど素手で作る醍醐味ってあると思う。

 暫く無言で作業して、最後はトンネルの開通だ。

 何も言わずとも二人揃って真ん中を目指して掘り進めば土にまみれた手と手が触れ合い、ギュッと握られた。


「これで良かった? 他にしたい事はある?」


「……このまま暫く手を握っていて下さい」


 砂山で顔を隠しながらした返事の声は仮面を脱いだ時の彼女の物、きっと反対側では本当の彼女の表情が見えるんだろうけれども、敢えて隠れているのなら見るのは野暮って物だろう。


「うん、良いよ。じゃあお話でもしていようか。この辺には満潮になると水没する洞窟があるんだけれど、海賊の宝の伝説があるんだ」


「海賊の宝?」


 少し興味を引かれたらしい彼女に話し始めるけれど、僕もチラッと聞いただけの話で真偽は不明。

 実際、洞窟には伝説を聞いてやって来たトレジャーハンターが数多く居るんだけれど、実際に宝を発見したって話は聞かない。


 だから嘘だとは思うんだけれど、話としてはそこそこ面白い。



 この伝説の元になったのは散々悪事をやらかした上に最後は部下を囮に逃げ出そうとして、その挙げ句に部下に捕まって囮にされた馬鹿な海賊船長の手記、彼が見習いとして乗っていた海賊一味での話だ。


 その船長の名は”キャプテン・シャーク”、海賊からのみ略奪を行う変わり者……結局は一般市民から奪われた物なんだろうけれど、そんな彼はとある種族と恋に落ちた。

 それは命懸けの恋、何せ相手は人魚だからね。

 人魚ってのは美女ばかりって言われているし、言葉だって通じるから心奪われる船乗りは多かったけれど、問題なのはその生態。

 他の種族とも恋をして子供を作る、それで終えれば恐れられはしていない、簡単に例えるならばカマキリと同じなのさ。


 本能として交わった相手を殺して食べる、性的興奮が途端に補食本能に変わって自分を抑えられず、恋した相手を殺した事に絶望してなのか自殺率がダントツで高い難儀な種族さ。

 まあ、あくまでそれは他の種族が相手の場合、だから人魚の掟で多種族との関わりは制限されていて、それでも恋は燃え上がる。


 ある日、襲った海賊船に捕まっていた人魚を助けた彼は一目で恋に落ち、人魚だって彼に恋をした。

 掟は厳しいし、本能の恐ろしさを知っているからキスで終わりの恋を続けた二人だけれど、前々から彼に不満を持っていた船員……例の手記の海賊の裏切りで深手を負った彼は命の終わりを悟ったのさ。


 手下の裏切りでなく、恋した相手の手に掛かりたい、向こうからすれば残酷な願いを受け入れた人魚はシャークと交わり、子供の為にと渡された財宝を洞窟の何処かに隠した。



 この時、手を貸したのは古在の船員だったらしい。

 海賊家業に奇麗事を持ち込んでいると他の船員が不満を持つ中、彼だけは最後まで手を貸して、家族を人質に取られても人魚が逃げた頃まで時間を稼いだ。



 その後、蟻の巣みたいに入り組んだ水路が数多くある洞窟を探し回った海賊だけれど、人魚は独自の魔法で仕掛けを用意し、愛しい男が残した宝を隠し通した。


「人魚の魔法で厳重に隠された財宝を探すのを一旦は諦めた海賊だけれども、何時の日か見つけようと手記に残し、それが伝説になったと、そんな訳さ」


 ああ、確か宝の中でも最も価値があったのは二本で一対の武器だとか。

 ……ゲームではどうなってたっけ?


面白いなら下の☆☆☆☆☆から評価お願いしますm(._.)m

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