気まずさしかない
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「あ、あの……」
僕が急に押し倒したからかネーシャは戸惑いの表情を見せる、今まで受け身になりはするけれど受け流していたからね。
正直言って僕がこうしているのは昨日から色々あった事といきなり流れ込んで来た僕じゃない僕の記憶と感情によるもの、要するに目の前のネーシャじゃないネーシャへの物だ。
好きだと、そう告げられた事に付け込んだ行為だから止めろと理性が告げるが止められそうにない。
「宜しくお願いします……初めてですので優しくして下さい」
拒絶の意思は見せず、寧ろ受け入れる姿を見ると止まれない、服に手を掛けて脱がそうとするけれど脱がした事が無いから難しくまどろっこしい、でも破って無理に脱がす気にはならない。
どうしようと思った時、さっき倒した神獣の少女の姿が浮かんだ。
「脱がすよ?」
「……はい」
潤んだ瞳で向けながら頷くネーシャの胸元に指を当て、感触を味わうようにしてゆっくりと下へと這わせて行く、指が通った部分の布は急速に時間を進めて風化させ、その部分だけ肌と下着が露わになった。
「んっ……」
恥ずかしいのか目を閉じる彼女を引き寄せ、今度は僕からキスをしようとするとネーシャが僕の服に手を掛けて脱がそうとした。
「さっさと始めたいの?」
「……意地悪を言わないで」
「ごめんごめん」
少し怒った様子で脇腹を叩かれたから軽く謝り、上着を脱ごうとするけれど焦りから戸惑う。
……夜鶴達との時はこうはならなかったけれど……わっ!?
「今、他の女の事を考えましたね? ……家柄上、数人を娶るのは当たり前ですし、一人一人と仲良くするのは悪く無いのでしょうが、今は私だけを見るべきですよ? ……結婚したらその辺は学んで下さい」
「……はい」
また怒られた、恥ずかしそうな顔から拗ねた顔になってさっき叩いた部分を再び叩かれて今から尻に敷かれている気分だ。
「宜しい。……こほん。では、続きをお願いしますわ」
何というか既に主導権を握られた気分になりながらも服を脱ぎ捨て、そのまま表情を戻したネーシャにキスをしようと顔を近付けて……。
「はぁ~い! ちょっと良いかしら…ん……」
そして知り合いが急に現れた。
笑顔で飛び込んで来たトアラスは足取り軽く何時もの笑顔を浮かべていて、服を脱ぎかけの僕と、体は背もたれに隠れているけれど伸ばした手だけは見えているネーシャの姿に言葉が途切れる。
この瞬間、この場の時間が魔法を使っていないのに完全に停止してしまった。
「……」
「……」
「……」
三人揃って完全に沈黙、トアラスが何事も無かったみたいに外に出てドアを閉め、僕はネーシャの服を戻すと素早く服を着る、それを見計らったかのようにノックの音が響く。
「もしも~し、トアラスだけれど入っても良いかしらん?」
「えっと、良いかな、ネーシャ?」
「ええ、見られて恥ずかしい物も無いですし。強いて挙げればお風呂上がりの姿でしょうか? ……ロノス様にならどれだけ見られても構いませんけれど今は大人しくしましょうか。ええ、今は」
今のは互いに無かった事に、全部最初からやり直し。
僕は何とか平然と、ネーシャも慣れた様子ながら少しだけ目が泳いでいる。
まあ、”自分は何も見ていないし、其方も何もしていない”と言葉は交わさずともそれを理解した僕とネーシャが招き入れれば最初と同じテンションで扉を開けて飛び込んで来る、これで何の問題も無いんだ。
……まあ、流石に僕とネーシャの間は何も無いって訳には行かず、僕は意識しているし、彼女だって少し発言が大胆だ、今後は積極的に行くって言外に告げられている気がした。
「いや~、急に来て悪かったわねん。ちょっと相談したい事が有ったのと、若様にお客様よん。他の家の子も居るし、見られたら不味い物があったらって思いはしたけれど無駄だったわねん。一緒にくれば良かったわあ」
ついさっきまで見られたら完全に不味い光景を目にしたけれど流石はクヴァイル家側の家、完全に無かった事にしている。
うん、彼がリアスの味方で良かったよ。
僕が可愛い愛する妹と仲違いの末に一族内で派閥に分かれて敵対するなんて事が起きるか、彼の家が離反するかしない限りは頼もしい味方、此方が裏切らなければそれで良いだろう。
「お客様? まあ、ロノス様をわざわざ訪ねて来ましたのね。では、私も側室候補としてお知り合いに挨拶を致しませんと」
「……う~ん、確かにそうなんだけれど、本当に良いのかしら? 迷うからってあまり待たせる訳にも行かないし、困ったわん」
クヴァイル家との繋がりがある相手、それも拷問貴族と恐れられる一族のトアラスに案内やらを頼める程の相手だ、ネーシャは興味津々、将来の為に仲良くしたいって所だろう。
……でも、使用人は連れて来れない臨海学校で、助っ人を呼んで良いと知らされたのは今日の早朝だ、今が正午を少し過ぎた程度だし、そんな短時間で誰が来たんだろうか?
……って言うか、トアラスがネーシャを見ながら言いよどんでいるし少し嫌な予感がするんだけれど。
「皇女様が居る事は姫様から聞いたけれど……ねぇ、若様。流石に貴族令嬢が素潜りで大型の獲物を狙うとか、流石に控えさせた方が良いんじゃないかしらん? 私からじゃ言い辛くってね……」
頬に手を当てて深い溜め息を吐く姿からして普段はリアスの元気な所に振り回されているのが分かる、けれど行動力はあの子の魅力なんだし、受け入れさえすれば大丈夫さ。
「うーん、多分通じていない予感。そうね、そうよねぇ。若様だものねぇ……」
「あの~、それでお客様をお待たせして宜しいのですか?」
「あっ! そうね、怒られちゃうもの、お呼びするわん。もういらしても構いませんわよーん!」
話が客人から逸れつつあったのに気が付いたトアラスは慌てた様子で立ち上がり外に向かって声を掛ける。
うん、本当に一体誰なんだろう?
僕が来客の名を気にする中、その相手が入って来る様子は全然無い。
「あらあら? 変ねぇ、ログハウスの近くに繋げるって仰ってたのに」
「繋げる? ……ああ、成る程ね」
来客が誰なのか分かった時、不意に肩に軽く触れられる感触を覚え、続いて不機嫌そうに鼻を鳴らすのが聞こえる。
もう誰なのか目で確認する必要も無い、声だって聞かなくて大丈夫さ。
「レキア、一体どうしたんだい?」
そう、レキアだ。
僕の問い掛けに不服そうな声色で、でも顔は嬉しそうに彼女は答える。
素直じゃないなあ。
「……ふんっ。偶々……そう、偶々海で遊ぶのも悪くはないと思っていた時に早馬で知らせが届いてな。過ごす場所を用意するのも面倒だし、リアスと貴様の魔力を座標にしてこの地と妾の家を結ぶ門を造ったのだ。ロノス、妾の夫候補であるならば相応の歓待をしてみせよ」
僕の肩から飛び上がったレキアはその場で一回転、何時もの緑のドレスから花柄の競泳用みたいな水着になり、麦わら帽子まで被っている。
「わあ! 凄く可愛いね、新鮮な感じで魅力的だよ」
「……はんっ。ありふれた言葉だが臆さず言えた事に免じて及第点はくれてやる」
そんな風に言うけれど、既に表情だけでなく声にも嬉しさが現れていた。
本当に素直じゃないんだよな、この子。
実は嫌われていなかった事を知った後から分かるようになったんだけれど、これがツンデレって奴か。
丸分かり過ぎて可愛いとしか思えないね。
「妖精……」
「……ん?」
ついつい蚊帳の外にしてしまっていたけれど、そう言えばサマエルと最初の遭遇をした時に会ったと思っていたけれど、思い出してみれば基本的に姿を消していたっけ?
「ああ、そうだ。妾の名はレキア、妖精の姫にして……」
珍しい事もあるもので、レキアから人間相手に名乗るなんて驚きだ。
そんな彼女は僕の胸の前にまで来ると指を鳴らし人間サイズになる……何故か僕の膝の上に座った状態で。
「此奴の正妻になる者だ。覚えておけ、側室候補」
僕の顎を撫でながら挑発的な声で告げたレキアは得意気に鼻を鳴らした……。
あ~、トアラスが言いよどんだのって成る程……。
総合二千間近!
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一度絵をまとめようか 順繰りに乗せていく感じで