カニとカニカマ、君ならどっち派?
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私の名前はミント・カロン、今朝増えたハティを入れて三体しか居ないネームドの内の一体、ネームレスを少し弄くってネームドっぽくしたのとは別物、何処かのパンダっぽい神には”カニとカニカマの違いだね! 安いカニは臭くて水っぽいからカニカマの方が好きだな、僕は”と意味不明な事を言われたのだけれど、カニカマって何かしら?
「さてと……どう仕掛けようかしら?」
予定以上に集まった闇の力によって私達に掛けられたリュキ様の封印は大幅に解け、予定以上の力になっている……らしい、その辺は神獣将の方々が詳しく知っているけれど語ってくれないのよね、
「流石に私だけで勝てるって思う位には自信が無いし、正面からの戦いはちょっとキツいから策を練って向かわないと。……いや、もう神獣将の方々にお任せして他の人間を殺して回った方が良いわね。勝てない相手に正面から挑むとか何処の馬鹿よ」
何度も挑んでは毎回酷い目に遭っている上司の事は一旦忘れ、この場から退く理由を自分に言い聞かせるけれど、これは敵前逃亡じゃなくて戦略的撤退で、”今直ぐ倒せ”とかは命じられていない。
……捨て駒として命じられる可能性が存在するのは確かだけれど、それは今じゃないし。
「はあ。……そもそも重すぎるのよ、神獣将様達の忠誠って」
大きく溜め息を吐く私だけれど、一応はリュキ様に忠誠心はある、だけれども将たるお三方の兵士として生み出されたネームレスの中で偶々段違いの力を持っていたからネームドという名称と地位を与えられたに過ぎない私が当時滅多に地上に姿を現さない……いえ、現せなかったリュキ様と面識がある訳もなく、生まれ持った忠誠心で従っているだけ。
神が不用意に力を振るえば地上に悪影響が出る、そんな理由から創り出され実際に行動していたのが神獣だし、だからこそ人間を守ろうって神々も直接的な手出しは控えていた、それこそ自由を司る神さえも遊び場が壊れるのは困るとして……。
そもそも、人間は確かに嫌いだけれど、嫌いになる理由が思い当たらないんだし、積極的に滅ぼそうって気にはならないのよね。……そんな事を口にしたら殺そうとする連中多いだろうけれど」
リュキ様は人間を滅ぼすべく私達神獣を創り出し、憎悪を本能として埋め込んだのだけれど、それって要するに人間を憎むに値する出来事とは無縁って事で、なんかダラダラと惰性で憎んでいる気がするのよね、正直言って。
「あ~あ、上の方々は直接お会いしたから良いけれど、私達は封印された時に声を聞いただけだってのに」
どうもやる気が出ない、だって動機が理由無き憎悪ってだけじゃ原動力に欠けるから。
故に私には”女神が一度決めた事を人間の為に変更すべきではない”とか”切り捨てた悪心だろうとリュキ様の一部には変わらない。故に復活させるべき”だの賛同はしても積極的に思ったりはしないわ。
これで人間を殺すのが楽しいとかなら変わって来るのだろう、そんな風に思いながら私は木の上から飛び降りようとジャンプをして、それが生死を分けた。
「え? きゃかああああっ!?」
木の枝から跳躍、体の位置が足場にしていた枝から僅かに前の場所に移動した時、乱気流を引き起こしながら槍のように巨大な矢が私が先程まで居た場所を通過した。
直線上の木々は尽く粉砕され、僅かに逸れた場所にあっても高速で飛ぶ矢によって引き起こされた荒々しい風は容赦無く襲い掛かる。
なすすべなく吹き飛ばされ風に弄ばれる中、私が見たのは幾つもの木を粉砕しながらも一切勢いを衰えさせずに王都の方向へと飛んで行く矢に手紙らしき物が結ばれている事。
「矢文? 一体誰が……くっ!?」
空中で上下左右に振り回され、背中からへし折る勢いで木に激突した所で漸く止まる。
それでも残った余波を木に腕を突き刺して耐えた私の中に芽生えた物、それは怒りだった。
「ふざけんなっての! 癖毛だからセットするのが大変だし、何より手紙を届けるのに攻城兵器みたいなのを使ってどうするのよ!」
お気に入りのコンパクトは風に振り回されている時に落としたけれど間違い無くセットは乱れに乱れているだろう、帰ったらロザリーが何か言いそうね、悪気無しに天然で。
それもこれも矢文を放った奴のせい、要するに人間の仕業。
……って言うか、ハティがビビりながら語った人間が同じ事をしていたらしいし……本当に人間なのかは疑わしいけれど。
八つ当たり? 理不尽?
それで結構、人間を滅ぼすべく為に積極的になる理由を手に入れたわ。
「ふふ、ふふふふふふふっ! 上等! 売られた喧嘩は百倍にして……あれ? まさか……」
何かスカートの中がスースーすると思ったら、ラドゥーン様から贈られた紐パンが何処かに消えていた。
……絶対に殺してやる。
「先ずはパンツ! パンツを探さなくちゃっ!」
私とロザリーは拠点の一つとして使っていた塔、通称”バベル”と一緒に封印されていたんだけれど、封印されていた場所が泥沼の真ん中だったから大変大変、しかもせり上がる感じだったせいでガラスなんて無い窓から泥やらが入り込んで復活早々に大掃除、ラドゥーン様が気を利かせて服を差し入れてくれなかったら汚れた服を着たまま掃除やら洗濯をしなくちゃいけなかったもの。
……ただ、あの方が下さった下着ってどれも派手なのよね、露出狂だからかしら?
その中で一番地味だった紐パンを穿いて鏡に映ったけれど恥ずかしいにも程がある。
更にノーパンで戻ったり脱ぎたてパンツを誰かに拾われるとか顔から火が出そうだわ。
ハティなんか昨日まで狼だったから下着も服も必要性を理解していないけれど、元々人型だった私の羞恥心は人間に近い。
パンツは何処か必死に探すわよ、そりゃ!
「見つけたっ!」
幸い、一番地味でもキラキラ光るラメ入りだったから太陽の光を浴びて直ぐに発見出来た。
魔力を練り上げランタンを軽く振れば青白い炎が吹き出して小舟を形作る。
「行っけぇええええええええええええっ!」
船首に足を乗せ、トップスピードで空を飛ぶ。
……この時、私は羞恥心と焦りで我を忘れていたのだろう、周囲に気を配る事を忘れていたのだから。
速度を上げる度に強くなる前方からの強風をも物ともせず、私はパンツに向かって手を伸ばす。
そして……。
「パンツゲット!」
私の手は脱げてしまったばかりで少し体温が残っているパンツを掴み取った!
「……あっ」
「……え?」
風で翻るスカート、目の前には私の方を見た後、直ぐに顔を背けた時使い……つまり男。
見ら…れた……。
「キュイ_」
「こら! 露出狂の痴女とか言っちゃいけません」
……殺す!
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私はカニカマ! 天ぷらが好き