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絵面は最悪

マンガ、支払いしました リテイクの余裕入れて十三日までです

 不味い不味い不味い!

 この状況、凄く凄く不味い!


 異性の友人に毛布を掛けようとしただけなのに、その友人の上に覆い被さった状態で腰を足で締め上げられている状態で目が合った状態の上、敵幹部が同じ建物内に侵入中、馬鹿でなければ更に不味かった!


「えっと、これはだね……」


 裸で寝ていた女の子に覆い被さっている(誤解)状態なんて何処からどう見ても問題な状況、幾ら友人であっても誤解されるのは間違い無さそうだ。

 ど、どうやって弁明するべきか……。



「いや、分かっている。何も言うな……」


 あれ? もしかして大丈夫なパターン、かな?

 僕の顔を起き抜けに見た時には戸惑った様子だったけれど、何やら考え込んだ後で悟った顔だ。

 よっし! 日頃の信頼が物を言った!


「……君のベッドに裸で寝ていたのだろう? 誘っていると思われても仕方が無いさ……。うん、ロノスは僕を親友と思いつつも、傷だらけで筋肉質な僕でもちゃんと女としても見ていたからな。戦いの後で高ぶってしまうのも知っているさ。じ、実は僕もそんな時が……ある」


 ご、誤解のままだった……。

 そして友人の話したくなかったであろう事まで聞いちゃったよ。


「だが、ちょっと恥ずかしい。顔を合わせるのが無理だ……」


 アンリは顔を紅潮させて目を逸らし、其処には嫌悪感は見て取れないから嫌われてはいないみたいで先ずは安心、だけれども問題は多しって感じかぁ……。

 この誤解を即座に解かないと……。


「あ、あれだ。誤解だからな? ぼ、僕に誘う気なんて無かったし、お互いこの事は事故って事で済ませよう……」


 僕が襲ったってのも誤解なんだけれど……。


 って言うか、腕を掴んで腰を足でホールドしたままだから離れたくても離れられないんだけれどさ。


「えっとさ、寝冷えしたら駄目だと思って……」


「む? 誰か来たみたいじゃな」


 弁明の途中に被さったサマエルの声、僕に襲われたのだと誤解し、嫌悪ではなく羞恥を浮かべいた顔が瞬時に戦場に赴いた戦士のそれへと変わり、視線で二人の間の黒い板、そしてベッド端に視線を向けるなり体を傾けた。

 僕も瞬時に停止させた空気を停止から解放、アンリに身を任せてベッドから転がり落ちると解放された手を使って落下の衝撃を殺し、落下音を和らげた。


 それでも僅かに鳴った床の軋む音、それは内側から扉が弾け飛んだ音によって掻き消され、扉の破片は壁や床に突き刺さり、カーテンを貫いて窓を割る。

 扉が破壊された奥の部屋にベッドの影から視線を向ければ姿を見せたのは矢張りサマエル、靴は室内だからか履いていない所が少しだけ見直させる。


「……むむ? 誰か居た気がしたのじゃが私様の気のせいじゃったか。完全無欠の潜入テクによって気が付かれはせぬじゃろうが、居たら居たらで厄介じゃから……なっ!?」


 あんなに大きな音と声で存在をアピールしておきながら完全無欠の潜入テクとはこれ如何に。

 しかも不用心に足を踏み込んだ先には自分が破壊した扉のノブが転がっていて、滑って転んで後頭部を強打、なのに大きなタンコブが出来たのは頭の天辺だ。


「……僕の気のせいだろうか。頭の上に星が出て回っている上にぶつけていない部分にタンコブを作って目を回しているみたいだが。……と言うより、タマに悟られずに入り込んだ方法は兎も角、あの子が本当に敵なのか?」


「疑わしいけれど敵なんだ。……ああ、それと君の上に乗っていた理由だけれど、毛布がちゃんと掛かっていなかったから被せようとしたら腕を掴まれて引き込まれたんだよ」


「……心の底から申し訳無い。そして、あの子は本当に敵で良いのだな?」


 目を回している隙に小声での情報交換、僕の行動については信じてくれたけれど、僕でも疑う、あのアホが敵だなんてさ。


「人間ではないのは確かだよ」


「……分かった」


 僕の言葉にアンリが頷いた時、サマエルが涙目になりながらも起き上がる。

 頭をぶつけた部分は頭の形にへこんでいて、それがアホの少女だけれど人間じゃないって証拠になっていた。


「強いよ。流石に武器が無いと……」


「武器なら……有る!」


 アンリはベッドの端を持ってひっくり返しながら飛び起きる。

 その時に見えたのはベッドの下に仕込んでいた二振りのナイフ。こっちは僕のベッドだって事は忘れるとして、アンリはナイフを引っ剥がすなりベッドをサマエルに向かって蹴り飛ばした。



「ふん。ネズミが居ったか。ベッドから落ちておったのじゃな」


「いや、お前から一旦身を隠しただけだ」


 蹴り飛ばしたベッドは片手で簡単に止められたけれど、間髪入れずアンリはベッドを更に蹴って壁にまでサマエルを押し込む。


「ぐぇっ!?」


 蛙を潰したみたいな声がサマエルから漏れる中、アンリはベッドを飛び越して切っ先をサマエルに向けたナイフを振り下ろした。

 敵と僕が言ったとはいえ、顔面を貫こうとする容赦の欠片も感じられない一撃、でも聞こえたのは刃が肉を貫く音じゃなく、真横からの一撃でナイフが両方ともへし折られた音だった。


「人間如きが私様を侮るでないのじゃっ!」


 右腕を横に振り抜いた姿勢のまま叫ぶサマエル、間髪入れずアンリが蹴り飛ばした時の数倍の勢いでベッドが反対側に向かって吹き飛び、途中でバラバラになると次々に壁や床に突き刺さった。

 そんな中、アンリは間一髪真上に飛んで避けていたけれど、サマエルは日傘を彼女に突き出すべく構えていた。


「させるかっ!」


「なぬっ!? 貴様まで居たのかっ!」


 停止した空気に日傘が止められる中、僕の存在に漸く気が付くサマエル。

 その隙にアンリは僕の真横に着地した。


「成る程、強いな。……しかし、さっきから思っていたのだが、あの服装は君のだろう?」


「うん、僕のお気に入り、何せポチの羽毛を使っているんだから」


 さっきから裸のまま飛んだり跳ねたりしているアンリの格好もだけれど、サマエルはサマエルで服装が気になるって言うか、袖も裾も捲ってはいるんだけれど落ちて来て余った状態、要するにブッカブカ。

 そんな小柄な少女の背丈に合わない服は僕の服、夏になって生え代わりの為に抜けた羽毛の魔力によって微弱な風で夏でも涼しいって特注品。

 サマエルが出て来た部屋に置いてあったんだけれど、盗まれたのか……殴り倒してでも取り返す!


「それにしても、なんであんな格好なんだ?」


 ワイシャツ風の服だけれど、サマエルが小柄なせいで襟の辺りもブッカブカで肌が見えているんだけれど、もしかして素肌の上に直接着てる?

 うへぇ、彼シャツならぬ敵シャツ状態だけれど、取り戻したら念入りに選択しなくちゃな……。



「お気に入りなら取り返すとして……見た目が犯罪的だなしかも頭に性が付く」


「言わないでよ……」


 素っ裸のままの君に言われたくないんだけれど、指摘したら駄目かな?





「……の、のう。お主、何故裸なのじゃ?」


 あ~あ、敵に言われちゃったよ……。

 しかもドン引きしてる様子だし……。


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