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あにまるせらぴぃ

漫画、下書き届きました

貴族ってのは面子が命、家や領地は勿論の事、余所に嫁いだ身内の事も侮辱されたなら面子が傷付くし、黙って耐えてても相手が格上で逆らったら不味い以外は黙っている訳には、って事……要するに黙っていたら相手に頭を垂れて侮辱を受け入れるって事さ。


 だからまあ、今回はちょっと面倒なパターンだったかな?


 ”あの女”とか何処の誰かは何となく分かっていても明言はされていないし、侮辱らしい侮辱をされて居ないけれど敵意はビシビシ感じていたし、睨んだ睨んでいないの論争は難しいからスルーした方が良いけれど、こんな状況で睨む馬鹿は調子に乗るだろうから面白くない、要するに僕の気持ちの問題なんだ。


「貴様! 殿下を侮辱するのか!」


「むっ? 妙な事を言うのだな、君は! 俺はルクス王子が自分より強い相手を守れないと心配していたから安心させようと思っただけだ! 言い掛かりは止めて貰おうか!」


 うーん、この話の通じなさ、だけれども敵意が僕じゃなくってルート先輩に向けられたから都合が良い、寧ろよくぞ言ってくれたと褒め称えたい!

 だってルクスってリアスより弱いのは本当だし、使い捨ての壁にしかならないし、それで怪我したら面倒な事になるって言うか、反応速度からして……おっと、思考が逸れちゃった。


 自分達の地位を脅かす可能性があるからか、はたまた他国から嫁いだ王妃が自分達の親より国に貢献しているって事実が気に入らないのか、兎に角取り巻き達は本当の事だけれど侮辱と言えば侮辱と言える発言にお怒り、本人は自覚があるのか黙り込んでいる。


 只、その懸念は杞憂では無いんだよね、だって馬鹿だから。

 現在のアース王国は先代王妃の圧政で陥った危機からの建て直しの真っ最中、大きな腐敗箇所を切除して、今は全体を立て直しつつ末端に残った小さな腐敗箇所を潰している最中だ。

 今は毒にも薬にもならない連中は放置されているし、学年も同じで王宮へ出入りが可能だから取り巻きになれているけれど、将来的にどうなるか分かったもんじゃない。

 少なくても感情を格上の、それも政敵の前で露骨に表情に出すんじゃ駄目だよ、王子の取り巻きなんだからさ。


「じゃあ、僕はこの辺で失礼させて貰うよ。ああ、それと……」


 どうやら矛先は僕から移ったみたいだし、他国の貴族通しの争いに首を突っ込むのも不利益にしかならないし、僕はルクスが僕に何か言いたそうにしているのに気が付かない振りをして横を通り過ぎる。

 リアスには挨拶をする腹積もりだったみたいだけれど、僕にはアリアさん関連で警告でもする気って所だろうね。


「会話中はもう少し感情は抑えてくれたら嬉しいな」


 それはそうと舐めた態度を取ったのなら見過ごせないし、笑顔のまま取り巻き連中に殺気を送れば竦み上がり顔を青ざめる

 おや、本気じゃないのに臆病な事だね。


「どうしたんだい? 気分が優れないなら早く馬車に乗って休むべきだ」


 ルクスには向けていないから気が付かずにいるし、ルート先輩は気が付いて少し何か言いたそうにしていたけれど、言葉が通じないタイプの人であっても全くの馬鹿って訳でも無いからか何かあったのかと察してはくれたようだ。


「程々にな!」


「何の事かは分からないけれど了解しました、先輩」


 おっと、叱られちゃったよ。

 ……それに僕の所だって優秀だからと将来的にパンドラが実権を握る予定で、僕の仕事は当主としての顔を使ったり軍務や裏の仕事が中心だ。

 その裏仕事だって僕だけじゃなく部隊が存在するけれど一員って立ち位置だしさ。

 これじゃあ他人の事をあれこれ言うべきでは無いのかな?

 まあ、それはそうとして、侮られたままには出来ないけれどさ。



「……守れ」


「何の事かは分からないけれど、守るべき相手なら守るさ」


 去り際で結局ルクスから言葉が向けられたけれど、この場では僕以外は理解出来ていなかった。

 まあ、アリアさんを……公式に認められない腹違いの妹を守れだなんて王子の立場から言える筈も無いし、ボカシで正解、そうした事と身内を頼むってお願いが言いたい言葉だった所は見直してあげるさ。


 僕は顔を向けず手を軽く振りながら場を去って行く。

 さてと、本当に疲れたから少しだけ眠らせて貰おうか……今日は熟睡出来ると良いなあ。


 夜中は森の中を駆け回った上に相手にするだけで疲れる神様と出会い、昼の仮眠は途中で素っ裸のアンリが抱き付いて眠っていたからおちおち眠れもしなかった。

 だから今からはゆっくり休みたいんだけれど……。








「キュイ! キュイキュイキューイ!」


 僕とアンリのログハウスが見える位置まで来た時、甘えた声と共にポチが突撃して来たんだったら直ぐに休むとかは有り得ないよね、仕方が無いさ。

 だってポチが可愛いんだもの!


 僕の接近を察するなり地面スレスレを最高速度で突っ込んで来るポチを両手を広げて受け止めれば、勢いが強過ぎて足が地面から離れるし、結構衝撃が体の芯まで響くんだけれど、それはそうとしてポチの羽毛はフッカフカのモッフモフで気持ちが良い。

 両手で抱き締めれば夢見心地だし、狩りでもしたのか少し血生臭いけれど低空飛行の真っ最中であっても寝てしまいそうだ。

 ポチが動きを止め、僕は勢いのままに飛んでいきそうになるのをグッと堪えると全力で撫で回した。


「ほ~らほら、ポチは此処を撫でられるのが好きでちゅよね~。ほらほら、此処もモフモフでちゅね~!」


「キューイキュイ!」


「そうでちゅか~。リアスみたいなのが襲って来たから返り討ちにしたんでちゅね~! 偉いでちゅね~。凄いでちゅね~。……その事、もっと詳しく」


 一頻り撫で回した頃にポチからもたらされた何者かの襲撃の情報、ポチを襲うとかサーチアンドデストロイ案件なんだけれど、先に情報を集めないと。

 リアスみたいな……うーん、可愛さは唯一無二だから違うとして、ゴリラ的な奴?


 え? 金髪で馬鹿で貧乳?


「も~! リアスをそんな風に言ったら駄目だからね。めっ!」


 ああ、それにしても一晩の疲れでもポチと過ごせば秒で癒えていくんだからグリフォンは、いや、ポチの放つ癒しのオーラは魔法級だ。

 温かいし寝心地良いからポチをクッションにして眠りたいんだけれど、心なしか海の方を見てソワソワしているから海で遊びたいのかな?


「他の家のペットには手を出さないようにね~」


 名残惜しいし寂しいけれどポチから離れてログハウスに入る事にした。

 一緒に遊びたいみたいだけれど、起きたら遊ぶと約束すれば快く了承してくれるポチは矢っ張り世界で一番可愛いペットだ。


「しかし金髪で馬鹿で貧乳……サマエルだよね」


 今までお間抜けな姿しか殆ど見ていないから忘れそうになるけれど、あれでも神獣将の一員、油断は禁物だ。

 入り口付近ではタマが番をしているし、アンリは既に戻っているみたいだね。

 じゃあ厄介な敵が来る前に僕も休んでおきたい……けれどさ。



「アンリ、大丈夫かなぁ」


 昨日、苦しさを覚えて仮眠から目覚めると裸のアンリが寝ぼけて僕のベッドに潜り込んで来た上に抱き付いて……おや、締め上げながら眠っていたからなぁ。

 彼女が恥を掻かない為に起こさず抜け出したけれど、少し刺激が強いから勘弁して欲しい。


 ……ちょっと良い匂いだったとか、筋肉質でも柔らかい所は柔らかかったとかは墓まで持って行くべき秘密なんだよ、友達だから。



「まあ、流石に二度目は無いだろう。カーテンも有るから裸で寝る習慣があっても気にならない…し……」


 カーテンが閉めてあったので僕の方のベッドに向かえば横向きに眠るアンリの姿、当然のように裸で、毛布を掛けていたみたいだけれど寝返りの時にずれたのか小振りで引き締まったお尻が……って、見てんじゃない!



「こっち、僕のベッドなのに……」


 二日続けて寝ぼけている友人の睡眠の質が少し気になる僕だった。

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