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優雅で可憐?な聖女様

一昨日短編書いてます

……格好良い勝ち方とは何かしら?


 少し武術を習ってるっぽいカンガルーを山積みにして、その上に座りながら考えるけれど座り心地が悪いから頭が働かない。


 強い相手に正面からステゴロで?


 大逆転勝利とかも主人公っぽくって良いわよね……。


 でも、圧倒圧勝大勝利! とかが好きなのよね。



「何時かレナスとの正面戦闘で勝ってみたいのよねー。子供は親を越えてこそだし?」


 前世ではお姉ちゃんが親代わりだったし、今の人生じゃ直ぐに死んじゃったからレナスがお母さんだし、越えるならレナス、それもリュキの悪心の力を吸収してのドーピング勝利とかじゃなくって、私自身の才能と努力での殴り合いよ。

 ほら、ドーピングで勝って喜ぶってお嬢様として失格じゃない?

 私だって貴族のお嬢様の上に聖女の再来って称えられているし、貴族令嬢らしく優雅に可憐に殴り合いで大勝利しないと駄目だもの。


「ポイントどの程度貯まったかしら?」


 モンスターとは結構な頻度で出会しているし、鼻くそが気になるけれど結構順調に進んでいるからと今は休憩、疲れていないけれど。

 足をブラブラ動かしながら空を見上げると星が綺麗だった。


「あっ、流れ星!」


 まあ、お姉ちゃんとは再会出来たし、レナスとは自分だけで勝ちたいからお願いは無いんだけれどね。

 ……お姉ちゃんって今は神様だし、お願い事が出来たらどうにかならないかしら?


「取り敢えず明日こそウツボダコが食べたい。今日食べ損ねたから明日は二匹捕まえないと。それなら皆食べ放題だし」


 この森のモンスターだけれど一年生が入っても良い学園ダンジョンをちゃんと探索して体を鍛えていたらギリギリいけるって感じだし、時々風に魔力が流れているのを感じるから先生が様子を見ていると思う。


「あっ、発見」


 少し離れた崖の上に先生が立っているのを見つけた私は手を振るけれど反応無し。

 あれって寝てない?


「もー! 仕方無いわねー」


 先生が安全確認をしているなら、エンゼルウイングで飛び上がって空の上から絨毯爆撃って手を選らんでも大丈夫だと思ったのに、これじゃあ発見するなり殴り飛ばすってのを繰り返すしかないじゃないの。


「レナに土産話で私の活躍を話そうと思ってたのに想定外ね。どうせなら森の主っぽいのが出て来ないかしら?」


 お姉ちゃんがやっていたゲームでは登場しなかった森だし、これで出て来たダンジョンならボスモンスターを探せば良いんだけれど、この森も一応ダンジョンとはいえ全く事前の知識が入っていないから面倒だわ。


 此処で何時までも休んでいるのも時間の無駄だし、さっさと次に行こうかとカンガルー達から飛び降りた時、木をかき分けながら巨大な猪が姿を現した。


「あら、メタルボアね。しかも鋼鉄っぽい」


 私が少し前に相手をしたのはレキアの魔法で創り出した偽物な上に青銅だったけれど、此奴はその時のよりも大きいし重そう。

 鋼鉄だってんなら強いんでしょうね。


 ノッシノッシと巨体を揺らしながら私の前に現れたメタルボアは鼻先を地面に擦り付けるようにしながら後ろ足で地面を掻く。

 出会って早々に突進して来る気らしい。


「前回は受け止めてから蹴り上げたのよね。うーん、ワンパターンってのも面白くないし……」


 私はメタルボアに構わず腕組みをしながら土産話に相応しい勝ち方を考えるけれど、既にメタルボアは軽トラックみたいな大きさで鋼鉄の塊みたいな堅さと重さの体で馬みたいな速度を出しながら突進して間近に迫っている。


 矢っ張り受け止める? それがベターとは思う……いや、違うわね。


「わざわざ受け止める必要無し! 可憐に優雅に……真っ向勝負!!」


 突進して来るメタルボアの脚が地面から離れた瞬間、私は背中を後ろに剃らし、瞬時に頭を前方に突き出す。


「どっせい!」


 巨大なハンマーを振り下ろしたみたいな音と共に私の頭突きはメタルボアの顔面に叩き付けられ、突進の勢いを殺すに止まらず反対方向にぶっ飛ばした。


「うっしゃっあ! 私の可憐で優雅で素敵な勝利ね。真っ向勝負こそ華のある戦いってもんだわ。いえーい!」


 何本も木をへし折りながら飛んで行くメタルボアを見ながら私は嬉しさのあまり飛び跳ねる。

 ふふん! 普段私をお嬢様らしくないって言ってる連中にこの真っ正面から相手の得意分野を叩き潰す貴族らしい戦いを見せたいわ。

 きっと言葉を失うでしょうね。


「うん? 誰か向こうに……げっ!」


 倒木の向こうに見えるのは如何にもチンピラ系とかって感じの俺様フラフープことフリート……何とか。


「彼奴の名字ってなんだっけ? まっ、別に良いわ」


 お兄ちゃんの友達でチェルシーの婚約者だけれど、そのせいでお兄ちゃんが構ってくれる時間が減るし、チェルシーだって王国に行っちゃうんだから。

 あー、でも獲物を横取りしちゃったっぽいし、こんな時は声を掛けるべきよね?


 確かレナスから習った戦士の流儀にそれっぽい事が有ったもの。


「……悪…いわね。獲物を横撮りしちゃって」


「心底嫌そうな謝罪だな、おい。苦虫を噛み潰したみてぇな顔じゃねぇか。まあ、テメェが大人しく謝る姿なんざ想像もしたくねぇんだが」


 こっちが折角歩み寄ってやっているのにこの態度、だから嫌いなのよ。

 もう謝ってやったし次に行こうと思ったのだけれど、視界の端に気絶した同級生が映り込む。

 え? まさかやられちゃった?


「そのゲロ塗れで気絶している奴、まさかアンタが巻き込んで攻撃しちゃったんじゃないの? 馬鹿っぽいからやりそうよね」


「いや、テメェが言うな。テメェにだけは! 言われ! たくない!」


「はいはい、めんごめんご。私が悪かった……あっ!」


 流石に巻き込み掛けた手前、それほど強く抗議出来ない私は顔を見たくもないのも相まって先生が立ち寝していた崖の方に顔を向ける。

 俺様フラフープが呆れたように溜め息を吐き出すのが聞こえてムカついた時、崖が崩れた。


 月明かりに照らされて見えたのは血を吐きながら落ちていく先生と逃げて行く半壊した仮面の男。

 彼奴がお兄ちゃんを二度も襲ったって奴。


「って、助けなくちゃっ! ”エンゼルウイング”!」


 あの高さから落ちたら多少鍛えている程度じゃ洒落にならないし、私だって寝ている状態だったら怪我しちゃうかも!


 最高速度で木の上をかっ飛んで先生の方へと向かう。


「間に合え間に合え間に合え……間に合えっ!」


 必死に手を伸ばして接近する中、先生は地面に向かってどんどん落ちて行って今のままじゃ間に合わない!


 ……駄目。もう二度と目の前で助けられないって事は嫌なのっ!


「掴……んだっ!」


 地面まで一メートルもない所で指先が触れ、咄嗟に掴んで引き寄せる。

 目の前には岩壁、上からも崩れた崖から石やらが降り続けて、急ブレーキは間に合わない。



「だっ……らしゃぁあああああああああああああっ!!」


 私は咄嗟に先生を庇うようにして反対側に向け、そのまま……全力で岩壁を殴りつける。

 拳が岩壁を砕いて私の体は反作用で止まり、更に蹴りを叩き込んで下がれば完全に崩壊して大規模に崖が崩れていった。


「良し! 優雅に可憐に余裕を持って解決ね! 後は先生に回復魔法を使うだけよ」


 流石ね、私! 凄いわ、リアス!


 結構な重傷みたいだから回復魔法を使っていると先生方が何か言っている。

 えっと、何々?



「助け…て貰っていて言い辛い…のです…が、”優雅”と…”可憐”を…辞書…で調べて…おいて下さい」


 え? なんで?


 先生は何でか理由は分からないけれどそんな事を言った後で気を失ってしまう。

 ……うん?



「誰か落ちて来た……」


 崩れ続ける崖に巻き込まれたのか誰かが落ちて来るのが見えて、助けようと思ったら先生と戦っていた奴だった。



「取り敢えず岩を投げてぶつけましょう。敵だし」




 


 

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