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最悪の組み合わせ

昨日短編追加です!

 貴族社会ってのは面倒な物で(それは貴族以外でも同じだけれど)、ぶん殴って地面に叩き付けた後、馬乗りになってラッシュをお見舞いしたい相手であっても表面上は愛想良くし、裏では足を引っ張り踏みつけにするチャンスを窺っているものだ。

 勿論それは相手も同じだから余計に厄介な話で、僕も両親を暗殺した上に自分達兄妹を必要とあらば始末する(確信!)お祖父様が好きじゃないけれど敵対したら手痛い所じゃない反撃を受ける。

 レナスが味方をしてくれる可能性は高いとして、ゲームでの過去設定として存在するマオ・ニュとの相討ちだって可能性が高いし、正面戦闘より暗殺とかの不意打ちを得意なあの人相手じゃ僕達が殺される可能性の方が高いか。

 

 未熟な子供じゃなく、経験を積んで力を手に入れた今だからこそ、正面戦闘でもキツい厄介な相手が本来のスタイルで命を狙って来るんだからさ。


 ……僕達は”最強のラスボス”じゃなかったのかって?

 いや、ゲームで最強だったのはリュキの悪心の力を吸収したからで、ゲームよりも鍛えていたとしても経験が段違いだ。

 使える魔法や装備には自信があっても相手は倍以上の年月を生きている戦闘の本職、何時かは勝てるだろうけれど、今はその時じゃない。



 勝てる勝てない以前に敵対しないのが一番なんだけれどさ。





 まあ、此処までは”身内だけれども敵でもある”ってパターンの話で、僕の目の前に今存在する男は立場的にも個人的にも味方ではない、寧ろ敵寄りの相手だ。



「ロノス、お前が俺のパートナーか。……リアスが良かった」


 相変わらずのクール系の顔を少し残念そうにするのは僕にとって気に入らない同級生の中でもトップに入る男だ。

 よくもぬけぬけと言うもんだよ、全くさ!

 嫌われているのに気が付いていないの?


「君が妹のパートナーで無いって点では僕が君のパートナーで良かったよ、ルクス」


 そう、僕と今回限りとは言えパートナーになったのはアース王国第一王子であり、初日からリアスに喧嘩をふっかけた男でもあるルクス・アース。

 陰口でマザコン王子って嘲り笑われている奴で、アリアさんとは非公式ながら腹違いの兄妹でもある。


 ルクスと僕は互いに嫌そうな顔を隠そうともしないけれど、敵対感情を今更隠す必要の無い相手だから別に良いだろう。

 いや、隠しても無駄だって話か。


 何せ入学初日から僕の可愛い妹に叔母上様の身内だからと喧嘩を売り、それに負けたら付きまとうって奴だし、大勢の前で暴力を振るう程に敵意を送っていた(今は違うみたいだが周囲からすれば同じ)アリアさんと僕達は仲良くしている。


 大体、此奴の母親の駄目っぷりと現在王国の実権を握っている叔母上様が比べられて貶されるからマザコン男からすれば気に入らないし、王子派からすれば僕達は現王妃派みたいなものだろう。


 ……政争を避ける為に叔母上様は王との間に子供を作らない方針だろうけれど、あの人が気に入らない連中が信じる筈もない。


 結果、今現在リアスを除くクヴァイル家の人間が気に入らないルクスと僕は政敵だと認識されている訳で……。




「え~! お兄様達と一緒じゃないの~? って言うか私だけ一人かあ……逆に楽しそう! じゃあ、張り切って行こうっと!」


 そんなリアスがまさかのパートナー無しで少し心配。


 いや、後先考えず居眠りで時間オーバーとか有り得るし、それ以外にも周りの被害を考えずに暴れて木をなぎ倒したり魔法を放ったりとか……。


「ロノス、君の妹も心配だが、僕は君達が心配だ。喧嘩して共倒れは避けてくれよ? 確かに暴走したゴリ……暴れ馬を放置するのは心配かも知れないが彼女だって一流の戦士だ。信じてやったらどうだ?」


「うん、そうだね。あの子は自分の力の使い方を心得ている。心配も度を超せば侮辱だった。ありがとう、アンリ。じゃあ、お互い頑張ろう。競争する?」


「ああ、順位が知らされるかは分からないが互いに撃破数を覚えておけば良いだけだ。悪いが負ける気はない。この勝負、僕の価値だと先に言わせて貰うよ」


 アンリが突き出した拳に向かって僕も拳を出してぶつける。

 ふふん、後で赤っ恥を掻くぞ、その言葉は。

 勝つのは君じゃなくて僕なんだから。


「じゃあ、僕は行くよ。……パートナーが即座に動けなかった生徒なのは心配だが、軍属の僕ならハンデに丁度良い」


 アンリの腕輪と同じ数字の物を装着しているのは先生の説明後に即座に動けなかった生徒の一人、但し眠そうにはしていないから体をちゃんと休めたグループか。

 チラッと見ればフリートは半分眠っている女子生徒に頭を抱えているし、チェルシーは直ぐに動けた相手と既に森に入ろうとしていた。

 アンリも駆け出して居て……。




「所でアンリ、リアスを暴走ゴリラって言わなかった?」


「……言い間違えだ。暴走した暴れ馬と言い直しただろう。では、お先に!」


 これ以上は不味いと思ったのか去って行くアンリ。

 ……いや、馬やゴリラってのは別に良いんだけれど、”暴走した”とか”暴れ”ってのは酷いからね?


「あの子は滅多に暴走しないし暴れ回ったりしないのにさ……」


 偶にするのかって? するよ。

 あの子は決断力と行動力が盛んだし、それが長所なんだから、時には行き過ぎてしまうものさ。

 周りが助ければ良いだけだし、直す必要は無いんじゃないかな。



「……アリアのパートナーは誰だ? 妙な真似をしなければ良いが……」


 ルクスが心配そうに呟きながらアリアさんを探すけれど杞憂とは言い切れないのが闇属性である彼女の現状だ。

 この機に闇討ちを狙う者、そこまで物騒でなくともモンスターとの戦いを邪魔して今回の臨海学校から早期脱落をさせようとする者。

 ちょっと考えただけで思いつくし、他にも居るだろうね。


「まあ、問題は相手が誰かで……うげっ!」


 当初は敵意だらけだった癖に、ルクスは急に兄貴面で彼女を心配している。

 ちょっと虫が良すぎるとは思うけれど、アリアさんの味方が増えるのは悪い事じゃないとは思うんだ。

 彼の僕らへの敵意は母親への……身内への愛情を拗らせた結果であり、根本的には身内への愛が強い奴なんだろう。

 ……ゲームでは腹違いの妹と知りつつ愛の逃避行を選ぶ程の拗らせっぷりだけれど。


 だから今回は彼の言葉に反発の意思は示さずにアリアさんを探し、パートナーを見つけたらしい彼女を発見、それが誰かを認識するなり声が漏れ出た。


 だって……。





「あら? 私のパートナーは貴女ですのね。運命の悪戯って恐ろしいですわ」


 今日修羅場になっていたネーシャが彼女のパートナーだったのだから……。

マンガ、12月には出来るそうです 4pに収まって良かったよ


応援待っています

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