表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

214/393

寝ぼけたアンリちゃん

総合1500!マンガ発注、とりあえず見積もりだけでも注文します Twitterに載せている第一段の人に

「あ~! この開放感が堪らない! 矢張り風呂は何よりの幸せだな」


 大きくなりつつある胸を締め付けるサラシも、喉仏の有無を隠す為のチョーカーも脱ぎ捨てた僕は生まれたままの姿で風呂を満喫していた。

 この前此処に入った時は水着だった上に泳ぎの練習という余計な要素があったが、今はたった一人で風呂を独占、ゆっくりと日頃の疲れを癒やせた。


 普段は特訓特訓と気が休まる暇も無く、性別を隠す為に人目を気にしなくてはならない毎日は本当に窮屈だ。

 だからこそ、ロノスという僕の性別を知る友人は貴重かつ有り難いのではあるのだが……。


「うっ。今更ながら意識してしまうな。落ち着け、僕。向こうは僕をちゃんと女の子扱いはしてくれるが、異性として意識している様子は無いだろう。変に気にしなくても良い」


 年頃の男女が一つ屋根の下、しかも軍の任務で同行している訳でもないのにだ。

 さすがの僕でも色々と考えてしまうものの、肝心の相手は僕の性別を隠すのには丁度良い程度にしか考えていないらしいのが少しだけ腹立たしい。


「いや、意識されても困るが、全くされないのは複雑だぞ?」


 自らの胸を持ち上げて揺らしながら体をマジマジと眺めれば、細身ながら筋肉質で傷跡だらけの女の子らしさが足りない体。

 これでは意識されない筈だと口元まで潜って泡をブクブク出しながら水練の時の様子を思い出していた。


「わわっ!? 離さないでくれ!」


「浅いんだから大丈夫だよそれよりもしがみついていたら練習にならないよ」


 可愛い水着は人前で着られないから、そんな理由から女の子らしい水着を彼奴に見せて、そのまま練習に付き合って貰った。

 まあ、途中で沈んだ状態から起き上がった時に紐が解けるってハプニングも有ったが、直ぐに目を逸らしたから見られてはいない……筈。

 裸を見られたのは初めてではないが、僕だって女の子だから一瞬だろうと恥ずかしいものは恥ずかしい。


「今思えば凄い事をしたものだ……」


 年頃の男女が二人きり、邪魔の入らない場所で水着姿だろうと混浴。

 いかがわしい事が起きそうなシチュエーションであり、ロノスが僕を組み伏せるのは有り得ない上に腕力的問題で無理だが、勢いに流された僕がどうかしてしまう可能性だってあった筈だ。


 虹色オオミミズの一件で体験した性的興奮、効果が切れた今でも時折疼きを覚える事がある。

 あの時、ロノスが迫って来て、僕が受け入れた場合、どうなっていたんだろうか。


 水着を剥がされ、胸を乱暴に触られながら唇を奪う事で黙らされる。


「……んっ! あぁ……うっ」


 彼奴の指が僕の体を這っている妄想をしながら指を動かし、一番刺激が強い所を集中的に力を込めた。


 ……もし今の想像通りの事態になっていた場合、家は弟が継ぐとして僕は何処かに嫁入りする事になるだろうし、だったらその先は……。


「その場合、今頃は女の子として……ひゃっ!?」


 快感が上限まで達し、暫く呆けながら呟いた僕は視線を感じて窓を見上げる。


「ピッ?」


 僕の変な声が聞こえて気になったらしいタマが心配そうにこっちを見ていた。


 ……見られたっ!? い、いや、大丈夫! 


 タマの言葉が分かるのは僕と同じ訓練を受けた龍騎士の面々だけだし、次に会うまでは暫くあるから話題に上る事も……あっ。




「タマ、何でもないからポチにも秘密にしてくれ」


 ポチはグリフォンで、グリフォンだからドラゴンの言葉は理解可能、つまり……。


「ピー?」


「ああ、本当だ。強がりじゃない。何かあれば君には話すだろう?」


 タマからポチに伝わり、それがロノスに伝わった場合、僕がナニをしていたのか知られてしまう可能性がある。

 それだけは避けなくてはっ!


「そろそろ出よう。頭がボーッとするしな……」


 息が少し荒くなったし、体も熱い。

 夜に備える為に風呂から上がり、体を拭いたバスタオルを体に巻いて脱衣室を出た。

 寝間着は持って来ていない。

 いや、そもそも寝る時は全裸派の僕は屋敷で風呂場から部屋に移動する時のみ着る服こそ持っているが、部屋に戻って寝る時は下着すら脱ぎ捨ててベッドに寝転がるんだ。


「ロノスは……居ないな。出ているのか?」


 ドアを少し開いて部屋を見れば既にカーテンでベッドの周りが仕切られた部屋が目に入るが彼の姿は見当たらない。

 バスタオル姿でも……ああ、眠くて頭が働かな…い……。


 半分寝た状態でフラフラとベッドまで向かい、バスタオルを脱ぎ捨てて飛び込む。

 ……あれ? こっちが僕のベッドだった?


 まあ、良い…や…。

 持って来た覚えのない抱き枕が有るけれど、多分忘れていなかったのを忘れて……。



「すぅ……」


 少し暑いから邪魔とばかりに掛け布団を投げ捨て、何時もみたいに腕と足を抱き枕に絡めて眠る。

 少し抱き心地が変な気もするけれど眠気が勝ったから僕は……。




「キュイキュイキューイ!」


「ピーピーピー!」


 ……何だ、もう起きる時間なのか。

 二匹の腹時計を当てにし、夕食の時間少し前に起こすようにしていたので可愛い鳴き声に起こされたのだが、どうも訓練の時と違って瞬時に頭が働かない。

 起床の掛け声と共に起きる時とはリラックスしているかどうかの違いがあるからだろうが……。


「うん?」


 あれ? 僕のベッドに何故ロノスが……。


 頭がハッキリして来ると目の前にロノスが居るのに気が付き、徐々に寝る前の事を思い出す。

 僕、間違ってロノスのベッドに潜り込み、その上で先に寝ていた彼に抱き付いた?

 しかも全裸で……。


「ひゃ、ひゃわわわわわっっ!?」


 思わず大きな声が出たけれどロノスが起きる様子は無い。


「……無かった事にしよう」


 このまま起きる前にベッドから去って何食わぬ顔で接すれば良い、そんな風に考えた僕は移動しようとし、緊張でバランスを崩す。

 そのまま僕の顔はロノスの顔に向かって行き……。\


「あ、あう……」


 咄嗟に腕を出して顔面衝突は避けたけれど、それでも唇が僅かに触れてしまう。

 事故ではあるが、キス、それも生まれて初めての物となれば乙女として少し複雑な物がある。

 何せロノスは親友ではあるが恋人ではないのだから……。


「うん。少し慌てるのが馬鹿馬鹿しくなって来たぞ。考えれば此奴にそこまで意識してやる必要は無いじゃないか。しかし起きないな。乙女のファーストキスを奪っておきながら目覚さえしないとは」


 普段の此奴ならポチが鳴いて起こそうとした時点で目を覚まし”よく起こしてくれまちたね~。ポチは本当に賢い子でちゅね~”とか言うはずだ。

 まあ、過去現在未来において世界一可愛いタマには劣るものの可愛いのは理解出来るし、ペットなんだから溺愛して当然だろう。


 そんな彼が起きない所を見ると余程疲れているのだろうか?


「……もうちょっとだけ」


 今の僕は全裸で彼のベッドにいる訳だが、直ぐに服を着るべきと分かっていても興味が湧いて顔に手を伸ばす。

 頬を引っ張ったり耳に息を吹きかければ反応はするが起きはしない。

 此処まで来るとどのタイミングで起きるのか気になって来たな。


「……ほら、今直ぐ起きたら好きに触らせてやるぞ」


 彼の上に座った状態で腕を掴み、胸の近くまで持って行く。

 ……そこで正気に戻った。


「僕は何をやっているんだ……」


 今の状態で起きてしまった場合、両足の間が丸見えな上に事故で本当に胸を触らせてしまうだろう。

 ……うん、ちょっと寝ぼけが過ぎたな。


 慌てつつもロノスを起こさないようにベッドから飛び降り、慌ててパンツを穿きサラシを締める。

 また締めるのが大変になって来たな……。


「……どうにか小さくならない物だろうか」


 さて、着替えは更衣室に置き去りにしていた筈。

 ロノスが起きる前に着ておかんとな。


 さっきまでの事は忘れて何時も通りに接しよう。

 向こうは寝ていたから態度が変わっても理由が分からないだろうし……。












「……うん、ベッドに入り込むとか恥ずかしいだろうから寝たふりをしていたけれど、これなら拘束から抜け出した方が良かったかも。でも、アンリって力が強いから無理にしか引き剥がせないんだよな……。それにしても寝ぼけにしても暴走していたし、疲れているのかな?」」

応援待っているよ! マジで!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ