男装少女への冤罪
総合1500突破! 漫画二回目発注しよう
「いや、僕の相棒であるタマだって居るんだし、ロノスの負担にならないように状況を見て二人を避難させるが?」
食事中に開始された痴話喧嘩や修羅場の類、それに呆れた僕がしたのは当然の提案だろう。
今の時点では誰が狙われているのか分からないし、標的がロノスだったなら守らずとも良い相手を守りながら戦うという危険を冒すのだし、複数を狙っているにしろ彼女達が狙いにしろ、魔法が通用しない相手なら避難させておいた方が良い。
「ロノス、そのモンスターは海面を移動していたけれど宙を走っては居なかったんだな?」
「うん、実際走れないかどうかは別として、海の上を走ってはいたよ」
「……ならば最悪走れると想定しておこう。なら、走れないにせよタマかポチに二人を乗せて逃がした方が得策か」
グリフォンであるポチとサンダードラゴンであるタマ、この二匹なら相手が宙を走れても逃げ切れる筈だし、相手の方が速いならどっちにしろ守りながらの戦いは厳しい。
なら、二人を逃がして残った者で戦うべきだと提案すれば、守って貰いたいと言いつつ実際はロノスにくっついている方が重要だった二人も納得はしたようだ。
「まあ、それが一番ですわね。もしもの時はロノス様のご迷惑にならぬようにお願い致しますわ」
「わ、私もロノスさんのお役に立てない所かお邪魔になるのなら……」
二人共ちゃんと分かっているな。
此処で諦めの悪さを見せてごねたとして、それが通ってもロノスの心証は悪い物になってしまう。
なら、せめて聞き分けの良さを見せる、それを瞬時に選んだのだから大した物だ。
……所で納得しつつも離れはしないんだな。
ちょっと動きにくそうだし、食事中なんだから離れてやれ。
「ほら、ロノスの両腕を拘束してたら何時まで経っても食事が出来ないだろう。羨まし……いや、何でもない」
思わず口が滑ったが、これは別にロノスに抱きつきたいとかではなく、彼女達のように女として誰かに甘えてみたいと思っただけだ。
好意を持った相手に対し(皇女の方は何やら魂胆が有りそうだが)、それを隠す事もせずアピールまで行う。
女である事を隠し、性別を偽るのを辞める事が許される年齢になれば気軽に誰かに甘えれはしない、そんな僕からすれば二人は心の底から羨ましい。
「そ、そうですわね。名残惜しいですが離しましょうか。ロノス様のお邪魔ですし」
「ですね……」
僕の言葉に渋々離れる二人だが、さっきより少し僕から距離を取っている。
……複雑な心境だが、大して親しくもない異性から好きな相手への好意からの行為を羨む発言を向けられれば少しは感じる物があるだろう。
この状況、胸を両側から強く押し当てるという、やっていた事がやっていた事だけに僕がドスケベ発言を平気で行う奴と思われてはいないか?
「あらん、ヒージャちゃんったらロノス様みたいにモテたいのね。でも、名門一族の跡取りなのだしモテるんんじゃないのかしらん?」
僕の性別を知っているのはロノスだけなので女性陣からの視線が少し冷たい物に変わった時、隣から楽しそうに茶化す声が聞こえる。
拷問貴族ことルルネード家の嫡男、助け船を感謝しよう。
「いや、訓練訓練で女性と接する機会は少なくてな。女性軍人も居るには居るが、風紀の問題で軍内部で異性と堂々と親しくは出来ない」
「職場恋愛禁止なのね。大変よねえ、軍のお仕事って」
「……ああ、大変さ。だから嘘かどうかは知らないが、共和国の軍部内には同性のカップルが多いらしい。禁止はあくまでも異性間だからな」
この状況、そのまま放置される方が辛い物があり、無理に話題を変えようにも頭の片隅には残ってしまうだろう。
ならば冗談を交えつつ話題を変えるのが一番で、彼の言葉はその切っ掛けとなってくれた。
ウインクを飛ばす彼に僕もハンドサインで感謝を伝える。
「恋愛と言えば君は大公家の次期当主の婚約者なのだろう? 彼は呼ばなくて良かったのか?」
「一応呼びには行ったんだけれど、あのアホ、相部屋になった奴と猥談で盛り上がってたのよ。ベッド同士の間を遮るカーテンを開けて寝転がって体を休めながらね。余りに酷いから誘うの止めたわ。……それにリアス様と仲が悪いし」
「仕方無いじゃない。彼奴がアンタを王国の方に連れて行くんだし、何か気に入らないのよ。仲が良いから婚約に反対はしないけど、友達を取られるみたいで嫌なの」
嘆息しながら婚約者を誘わなかった理由を話す彼女に対し、ロノスの妹は拗ねた様子で語る。
家同士の関係で幼い頃から付き合いがあるとは聞いていたが、上下関係が有っても、それ以上に友人として随分と仲が良い事だな。
……僕の場合は同性の友人は居ても実の性別は知らない。
女同士で気軽に付き合える相手は羨ましいな。
「あっ、そうだ。ご飯食べたらお風呂に入りましょう! 潮風で髪がベタベタするし、お互いの背中を流しましょう」
「いや、私と貴女のログハウスは別じゃないですか。確かご一緒の方は……」
少し甘える態度を向けられた彼女が視線を向けるのは皇女だ。
本来は特に関係が無い家同士で組む事になっていて、僕とロノスの場合は事情が事情だけに仕方が無かったんだが、急遽転入が決まった彼女の組み合わせに教師陣は悩んだとか。
彼女が入って来るまで女子生徒は偶数人だったのだが、二人用のログハウスを三人で使わせる訳にも行かない。
ならば一人だけペアが無しになるのだが、誰が適切かと言えば……。
「あっ、じゃあ私の所に入りに来ませんか? 他に誰も居ませんし、気兼ねしなくて良いですよ」
まあ、闇属性であるアリア・ルメスしか居まい。
忌み嫌われている闇属性な上に入学早々に王子から敵視される姿を目撃された彼女と同じログハウスに自ら志願する所か割り当てられるのもごめん被るという生徒は多い筈。
まさか脚の悪い皇女を一人部屋にも出来ず、その結果がこれだ。
そんな彼女からの提案だが、既に交友のある二人は受けるらしい。
友人同士で一緒のお風呂、か。
僕も水着姿で泳ぎの練習をする時に風呂場を使ったが、あの時と違ってワイワイキャイキャイ騒ぎながら入るのも楽しそうだ。
何せ貴族の入浴なんて使用人の世話付きが当然で、リラックスするにしても横からあれやこれやと手や口が出ていては出来やしない。
それが当然という生活を送っていれば平気なんだろうが、僕の家は自分でやっているからな。
使用人に世話されながらの入浴なんて想像も出来ないな。
「まあ! 皆様でお風呂なんて素敵ですわね。私もご一緒願いたいですわ」
当然、その輪に皇女も加わりたがる。
ロノスの妹であり、聖女と称されるリアスとの繋がりも強めたいのだろう。
「……私は行くとは言っていないけれど、これって行く流れですね。じゃあ、お流ししますけれど、リアス様のゴリラパワーで現れたら皮膚が不味い事になるので私は自分で洗いますから」
「ちょっとっ!? ゴリラパワーって流石に少しだけ失礼じゃないの?」
……いや、ちょっとで済むレベルじゃないと思うのだが、当人が良いなら大丈夫……なのか?
「……僕もさっさと風呂に入って休むとするか」
夜中に行事があるとは伝えられてはいるものの、詳しい内容は秘密になっている。
だからこそ軽いレクリエーションと思って日中から遊び回っている連中が居るが……それと強制的に筋トレをさせられているのも若干名。
「皆、分かっているとは思うが油断無きように」
一応忠告だけ済ませ、僕はひとまず先にログハウスに戻らせて貰う。
……一度眠ろうとした所を食事に誘われて来たからか少し眠いな。
風呂で眠らないようにしなければ……。
この時、少し寝ぼけた頭でいたせいでハプニングが待っているのだが、この時の僕は想像すらしていなかった……。
クーポン割と頻繁に出るからどのシーンにするか考えておきます 焼き肉一回分にはなるんで
応援待っています!!