003 牢獄生活
竜の牢獄生活
ははは……さすがに1000年も魔法術が掛ったまま、閉じ込められるとは思ってなかった。
というか、現在の王族の伝承って何なのよ!
何日も暴れたりしてないから!
せいぜい数時間だし?
魔法使い100人とか本当に、あの場に居たかしら?
伝承って怖いわー。
だんだん真実が脚色されてるんだもの。
それに、贄って何だよ!
私は元々、人間だ!
魔女も人だからな!人間なんか食うわけないからなコラッ
そもそも、時縛りの影響で飲み食い不要になってるから!!
にしても、贄ねえ。
何となく予想はつくけど、良い気はしないわね。
時縛りの魔法術には多くの魔力と少しの血が必要な為、禁術扱いになっている。
昔、若さを求めた魔女が、近隣の魔力の高い人間をさらっては殺しを繰り返し術を施行していた事があったんだとか。
膨大な魔力を血で補って1人で術を施行していた事が判明し禁術指定扱いとなったのだ。
だから、贄については竜が求めているという名目で、この時縛りを維持するために人間を使っているのだろう。
胸糞の悪い話だよ、まったく。
この牢獄は、永い年月をかけて増築され、今では地下に位置しているらしい。
天井は地上まで吹き抜けになっており、高い位置に空の見える鉄格子の窓がある。
ここでの生活は、とても退屈で、私は何百年か前から生じ始めた首輪綻びから、わずかに使えるようになった魔力を使って遠視の魔法で外の情報を得ていた。
遠視は人の目を借りて景色を見ることが出来る、少ない魔力でも使える魔法だ。
時々、首輪の魔術を上書きしに来る魔法使いや、王族の目を借りて外の情報を得るのが私の楽しみ。
人化出来るほどの魔力は使えないし、通常は魔力切れでも人に戻るのだが時縛りの影響で時が固定されているせいで魔力切れにもならず、竜のまま現在に至っている。
贄については、ここに来る魔法使いと違う術者が行っているらしく、未だ現場を見たことは無い。
時折、ここに来る人に念話で話しかけた事はあったけど、いつの事からか怖がられた挙句に魔法を上書きされる頻度が上がるだけになった。
念話がスキルで魔力を使わず使えるというのが、途中から伝わらなくなったものと思われた。
別途、魔法としてある伝心の方が後世に残って、念話は廃れたのだろう。
時縛りは現在では古代魔術になっていて、使える人が少ないらしい。
魔法が弱まるのを恐れて、現在では毎日誰かが魔法をかけに来るようになっていた。
ただ、魔法を掛け直すにも私に食われそうだとかで怖がってしまって、志願者はおらず王の勅命で無理矢理やらされているようだった。
っと、噂をしてれば、お客さんが来たようだわ。
本当は、もう少し長めに記載予定でしたが猫の妨害にあい(家に猫がいます)、途中で投稿することにしました。