おいしい空気。
びゅびゅんっと降り立ったのは北海道の札幌というところ。
広い、広いね!
新鮮な空気がおいしい。青い空にもくもくした雲。目的地に着けば、もっと人でにぎわっているはずなんだけど、ちょっと離れた場所に来ちゃったみたい。
スールズに乗って移動したら大変なことになるから、ここで待っていてね。
「ぎゃふん(札幌味噌ラーメン……)」
「オイラが感想を聞かせてあげるよ」
レントの言葉にスールズは大きなため息をついた。
しかたないよね。
でも、ドラゴ族の一番のごちそうは空気だから、ここの味が気に入ったみたい。
君も深呼吸して吸ってみて!
うん! おいしいね。
じゃあ、大精霊様のお墨付きの札幌味噌ラーメンを食べに行こう!
特殊なパーカーは被ってる?
これで、全ての言語や方言が標準語ってやつになるんだ。
便利だよねー。
あ。道端に半袖のおじいさんが立っているよ。
声をかけてみよう!
えーと、えーと。この辺りで有名なラーメン屋さん。
君も一緒に質問してほしいな。
「札幌味噌ラーメン? こんな暑いのによく食べようと思うねぇ」
「おかしいことか! 暑い時に札幌味噌ラーメンはおかしいか!」
ヴィヴァーチェが真っ先に反応したよ。バカにされたと思ったみたい。でもおじいさんはニコニコしてる。ポコポコおじいさんの胸を叩くヴィヴァーチェ。
それでも、怒らない。
おじいさんからとったら、ぼくたちの質問は面白かったのかなぁ。
ずっと笑顔だ。
「わかった。行きつけの店に連れて行ってあげよう」
「やったぁ!」
レントの嬉しそうな声が爽やかな風と一緒に鳴り響く。
行きつけの店……。お店って、どこでも同じものが食べられるんじゃないの?
え、違う? 君。詳しいね。
もしかして、レントと同じく食いしん坊だな!
ぼくたちが歩くに連れて次第に遠のいていくスールズ。
札幌味噌ラーメンを食べたら戻ってくるからね。
「ぼくちゃん、早く行こう!」
楽しそうな二人。
おじいさんの行きつけの店の札幌味噌ラーメン。どんな味だろう。