君も“ぼくちゃん”って呼んでね。
びゅびゅーん!
スールズが、ドラゴンのような翼で、空を仰ぐように大空を進んでいるよ。天鉱飴が固まって出来た大きな山のようなものや、小さな村が点々としている。
ぼくの友達は、そんな村の一つに住んでいるよ。
そこには、レントっていうのんびり屋な奴と、ヴィヴァーチェっていう元気な女の子がいてね。
二人はぼくのことを、“ぼくちゃん”って呼ぶんだ。君もそう呼んでくれると嬉しいな。
大切な友達だよ。今から会わせてあげるね!
「レント! ヴィヴァーチェ!」
――ヒュン!
あわわわ。
危ない危ない。ヴィヴァーチェの矢が飛んできた。
空からはぼくの姿は見えない。けれど、ドラゴ族のスールズを見ればぼくが来たことがわかる。彼女はいつも、「やぁ元気?」の一言を弓を使って知らせてくる。
いい子なんだけどなぁ……。
スールズが下りられる場所に移動する。たいてい川の近くに停留所のようなものがあるんだ。足の速いヴィヴァーチェと、その後を追うレント。まるでウサギと亀っていう童話みたい。
どっちが勝つかなー……。
「――やぁ元気? ぼくちゃん!」
ヴィヴァーチェだった。
重そうな弓矢を持っているのに、軽やかなステップで元気そうに走ってくる。ボーっと見ていたら、もう目の前にいた。
レントは、のっそりのっそりとマイペースに、ぼくたちへと追いついた。
食べることが大好きなレント。彼は、天鉱飴を桶いっぱいに貯めて、がぶがぶ飲むのが好きなんだ。
でも、決して他人の物を取ろうとはしない。
「ぼくちゃん。その子だぁれ?」
二人が聞いているよ。さぁ、君は誰かなぁ。
自己紹介してね!
――うんうん、そうなんだ。地球に住んでいるヒトなんだね。
ぼくたちのことが気になってついてきちゃったのかなぁ?
まぁいいや。話を続けるよ。
「ぼくちゃん。オイラその子の言う地球に行ってみたいな」
「あたしもー!」
あれれ。二人が君の住む地球に興味を持ったみたい。どうしよっか。
うーん。
「どうする、スールズ」
「ぎゃふん(答は決まってるくせに)」
なんて意地悪なスールズ。
じゃあ、必要な準備をしてから、少しだけ、地球に遊びに行こう!
ちょっと待っててね♪