第四章 第十節 ~ 再戦の地へ ~
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翌朝は晴天だった。
ポカポカと暖かな初夏の日差しが、緑の生い茂る平原に燦々と降り注ぐ。
優しい風が肌をくすぐり、真っ青な空に白い雲が漂うコントラストは、まるで絵に描いたような絶好のピクニック日和を演出していた。
だが、彼女達の目的は断じてピクニックなどではない。
穏やかな気候に似つかわしくない険しい表情を浮かべた二人は、いつかと同じく、聳え立つ純白の塔を見上げていた。
「……戻って来ましたね……」
「ああ」
「ダンジョンのモンスターはリポップするのに暫く時間がかかりますから、前回倒したボスやモンスターハウスはスルーして、真っ直ぐ第20層まで進めるでしょう」
「壊れたダンジョンの地形はどうなる?」
「モンスターのリポップと同様に自動で修復されますが、修復には凡そ1カ月の月日を要すると言われています」
「つまり、第30層の床はぶち抜かれたままってことか」
「ええ……。尚且つ、ダンジョンボスはボス部屋から出られないという制約を負っていますから、ウォーリアも第20層に居座ったままでしょうね……」
戦わずに済むならそれに越したことはなかったのだが、そう都合良くはいかない。
仮にリィが第20層に留まっているのであれば、ドモスとウォーリアを正面から打ち破らない限り、救出は難しそうだった。
「ま、オレとしてはその方が面白そうでいいんだけどな!」
「……あの、リオナさん」
「ん?」
躊躇い気味に、ミラがおずおずと口を開いた。
「……やはり、今からでもパーティーを組みませんか? 数日後には、ハイドさん率いる救助隊も……」
「何だ、怖気づいたのか、ミラ?」
「い、いえ! そういうわけでは……」
ミラを茶化すように、リオナがケラケラと笑う。
それから、今度は肩を竦めて、彼女を鼓舞するように言った。
「安心しろ。危ねえところは全部オレの受け持ちだし、オマエはオマエのやるべきことだけに専念すればいい。そこまでの段取りは、オレが整えてやる。……それに、この〝策〟は味方まで巻き込んじまう。他のパーティーメンバーなんざ、逆に邪魔なだけだ」
「ですが、それではリオナさんが……!」
「ハッ! テメェがオレの心配なんざ、一億光年早えっての!」
ケラケラと笑ったリオナが一転、鋭い視線を塔の入り口に向けた。
「さ、ここでアレコレ言い合ってても始まらねえ。……ミラ、準備はいいな?」
「……はい」
短く言葉を交わしたリオナとミラは、どちらからともなく足を踏み出し、≪ランブの塔≫の入り口をくぐった。
協調性0を貫く廃人ゲーマー




