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初期レベ廃人ゲーマーと獣人少女の異世界終焉遊戯<ワールズエンド・ゲーム>  作者: 安野蘊
第二巻 第四章 「その異世界人、消息不明につき」
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第四章 第五節 ~ 無力感 ~


     ☯


 結論から言うと。


 ≪ランブの塔≫までの道のりで、リオナを見つけることはできなかった。

 周囲は平原で見晴らしが良いし、他に分かれ道や隠れられる場所も無い。

 真っ直ぐ道を進んでいれば、見落とすはずがないのである。


 それでも彼女は見つからなかった。


(……間に……合わなかった……?)


 愕然(がくぜん)とした表情を顔に貼りつけ、塔の麓で膝を突くミラ。

 彼女の心中を嘲笑うかのように、(そび)え立つ塔は無言でそこに(たたず)み、彼女を見下ろしていた。


 揺れる瞳で塔を見上げる。

 普段は太陽の光を受けて美しく輝く純白の塔が、今は悪魔が憑依(ひょうい)して、ゆらゆらと(わら)っているように見えた。


(……リオナさんは、この中に……?)


 ゴクリと息を()み、彼女の後を追って塔の中に踏み入ろうとする。

 が、ドモスファミリーの存在を思い出し、身が(すく)んでしまった。

 彼らは第20層から動いていないはずだが、万が一道中で出くわしてしまったら、自分一人では対処し切れない。

 そもそも、昨日()くした分の装備も整わないうちに突入するのは、無謀過ぎる。


 言い訳じみた理性的な思考がミラの脳に絡みつき、身体を押さえつける。

 どれだけ恐怖を押し殺して立ち上がろうとしても、四肢に力が入らない。

 気付けば、砂を握り締めた拳がプルプルと震えていた。


(……私だって……私だってリオナさんを守りたいのに……! 私はあの人に追いつくことさえできないと言うのですか……!)


 リオナがウォーリアの攻撃から自分を(かば)った場面が脳内にフラッシュバックする。

 彼女がそうまでして守ってくれた自分は、彼女を助けに行く勇気も持てず、ただこうして地に()いつくばっていることしかできない。

 それが悔しくて悔しくて、頭がどうにかなってしまいそうだった。


「……う、うぅ……」


 懸命に(こら)えてきた涙が(せき)を切ったように(あふ)れ出す。

 目的が(つい)えたことで、感情が抑えきれなくなってしまった。

 皮肉にも穏やかな風が吹く平原に、枯れかけたウサギの鳴き声がか細く響く。


 ひとしきり泣き腫らしたミラは、そっと立ち上がり、胸が締めつけられる思いで≪ランブの塔≫に背を向けた。

 こうなってしまった以上、救助隊が結成されるまでの間、リオナの帰りを待つ以外にできることは何もない。

 震える足を懸命に前へ動かし、塔から遠ざかる。


(……せめて、リオナさんが生きて帰って来てくださいますように……!)


 そう切に願いながら、ミラは重い足取りで≪サンディ≫に帰還した。



失踪した猫はまず見つからない



……猫飼ってないけど

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