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初期レベ廃人ゲーマーと獣人少女の異世界終焉遊戯<ワールズエンド・ゲーム>  作者: 安野蘊
第二巻 第四章 「その異世界人、消息不明につき」
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第四章 第四節 ~ 届かない背中 ~


     ☯


 ≪サンディ≫の北門から伸びる平原の道を飛ぶように駆ける。

 遠くに見える純白の塔を目指し、力強く地面を蹴飛ばす。

 獲物を狙う(たか)の如き鋭い視線を周囲に張り巡らせ、リオナの金髪の頭を探した。


(本当にもう! あの人はいつもいつも問題ばかり……!)


 心の中で悪態を()く。

 リオナが現れてからというもの、彼女の悪戯(いたずら)や蛮行や問題行動の数々に心を乱す瞬間が後を絶たなかった。

 全く、自分が何度方々に頭を下げ、彼女のフォローをしたと思っているのか……


 だが、今回ばかりはそれらの文句を飲み込んだ。

 今回の件は、自分が弱かったことも一因にあると思ったからだ。

 自分が弱いばかりに、彼女は自分を巻き込まないよう、たった一人で決着をつけに行ったに違いない。


(……悔しい、ですね……)


 彼女にとって、自分は守るべき対象でしかない。

 対等な仲間でありたいと願っているものの、彼女の横に並び立つには、もっと技術と経験と実力が必要である。

 今のままでは、共に戦うことも、彼女に頼られることも夢のまた夢だ。


 (ある)いは、既に見限られて、見捨てられてしまっているのではないか……


「っ!」


 ふと零れ落ちそうになった涙を懸命に(こら)える。

 様々な思考が胸を()くが、今はそんなことを考えている場合ではない。

 一刻も早く、リオナを見つけて止めなければ……!


 大きな赤い瞳を目いっぱい見開き、視界のありとあらゆる範囲を観察する。

 決して彼女の姿を見逃さないように。

 どんなに小さな痕跡も見落とさないように。


「はぁ、はぁ……!」


 ≪サンディ≫を出てから走り続けて、もう十分は経っただろうか。

 後ろに流れて行く景色は緑ばかりで、(まばゆ)い金色はここまで一度も目にしていない。

 純白の塔が近付くにつれ、胸中の不安は次第に増していった。


(私とリオナさんの敏捷性(びんしょうせい)を考えれば、もうそろそろ追いついてもよい頃のはず……。ここまで来ても追いつかないということは、まさか……)


 彼女は既に≪ランブの塔≫に辿(たど)り着いてしまったと言うのか。


 もしそのまま塔に登り、ドモス達とぶつかれば、今度こそ命が無いかもしれない。

 まだ一度しか一緒に冒険をしていないのに大切な仲間を失うなど、そんなの絶対に認められない……!


(リオナさん、その先へ行ってはダメです! 必ず……必ず追いつきますから……!)


 祈るような心地になりながら、ミラは一心不乱に≪ランブの塔≫への道を急いだ。



携帯くらい持ってなさいよ(あるわけないか)

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