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初期レベ廃人ゲーマーと獣人少女の異世界終焉遊戯<ワールズエンド・ゲーム>  作者: 安野蘊
第二巻 第二章 「その巨塔、予測不能につき」
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第二章 第十八節 ~ 盗賊団のボス ~


     ☯


「待てッ‼‼」


「っ⁉」


 両者が衝突する寸前、頭上から爆音のような声が飛んで来た。

 ホール状の空間によく通るその声は身体の芯にまで響き、一同の動きを止める。

 リオナは警戒した視線で、声の聞こえてきた方を見()った。


 ドス、ドス……と、重厚感のある足音が階段を下ってきた。

 やがて姿を見せたその声の主は、28人の刺客と同様に、黒いフード付きのローブに身を包んでいる。

 ただ、彼らと違う点を挙げるとすれば、その男は集団の中で一番の巨躯(きょく)であり、その身を覆うローブのサイズも、明らかに周りの者より大きかった。


 彼の姿を見て、リオナはニヤリと不敵に笑った。


「……へえ、ボス猿の登場ってわけか?」


 自らのリーダーを〝猿〟呼ばわりされたことに、集団の何人かがピクリと身を震わせた。

 だが、大男が見ている所為(せい)か、リオナに襲いかかることはなかった。

 代わりに、彼らは大男が第20層に降り立つと、道を作るように左右に分かれた。


 ローブ達に囲まれてできた道の両端で、リオナと大男は(にら)み合った。


「……テメェがコイツらのボスか?」


「そうだ。〝ドモス〟と言う。覚えておくがいい」


「ハッ! 自分の名前を組織名に付けるたあ、愛情深いようで結構!」


「そういう貴様は、〝アンネームドルーキー〟だな? 闘技場の戦い、見ていたぞ」


「……ああ、そういやあの犬コロもテメェの手先だったな。可愛い部下をやられた気分はどうだ?」


「フ、まあヤツにはそれなりに期待していたが、憎悪に飲まれ、自分を見失った未熟者だ。……故に、この世界から排除されたのだ」


「……何?」


 リオナはガダルスがドモスの手によって消されたことを知らなかった。

 それ故、彼女は彼の言葉に驚き、眉を(ひそ)めた。


「……さて、貴様――本名は〝リオナ〟だったか? ウチの団員に囲まれて、それでも一歩も退かねえ姿勢は流石(さすが)と褒めておこう」


「そいつはどうも」


 おどけて言ってみせるリオナに、ドモスはブワッと鋭い殺気を向け、


「そんな貴様に――この俺が手ずから死をくれてやろう! 光栄に思うがいいッ‼‼」


 ドモスが(まと)っていたローブを脱ぎ捨てる。


 その下から、隆起した筋肉質の肉体と二振りの大剣、そして、スキンヘッドの頭に雄々しく生えた一対の牛のような角が現れた。

 その迫力たるや、ダンジョンボスにもまるで引けを取らない。間違いなく強者の一角と思えた。


 彼の存在感が二倍に膨れ上がったかのような錯覚の中で、後ろに控えるミラが恐る恐る(つぶや)いた。


「な、何という威圧感……! ドモスファミリーの首領というのは、これ程の実力者だと言うのですか⁉ そんな方が、何故(なぜ)一介の盗賊団の長など……!」


 魔術師の彼女でも、彼が放つ異様なプレッシャーを感じ取ることはできたらしい。

 そこから推察される彼の実力が相当なものであることも同時に理解する。

 理解してしまったからこそ――彼女は身が(すく)む程に恐怖していた。


 リオナもまた、胸に心地良い高揚感を抱きながら、二振りの大剣を構えるドモスと対峙(たいじ)した。

 正面から浴びせられる剝き出しの敵意に、あろうことか喜色の笑みまで浮かべてみせる。

 そんな彼女に、ドモスは大層満足げに笑った。


「……フ、やはり俺が見込んだ通りだ。言っておくが、手加減はしねえぞ」


「ああ、構わねえさ。『死をくれてやる』なんて()えたんだ。全力で殺しに来やがれッ‼‼」


 リオナが叫ぶと同時、地面を一気に蹴飛ばして、ドモスへの最短距離を詰める。


 こうして、ダンジョン一角で行われた新生冒険者と盗賊団首領の戦いは始まった。



悪党のボス=大男、髭面、ハゲという個人的偏見

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