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初期レベ廃人ゲーマーと獣人少女の異世界終焉遊戯<ワールズエンド・ゲーム>  作者: 安野蘊
第一巻 第一章 「その異世界人、召喚につき」
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第一章 第四節 ~ 転移の魔法 ~


     ☯


「ッ!」


 視界に満ちていた淡い光が消えていくと同時、リオンは反射的に閉じていた(まぶた)をゆっくりと開けてみた。


 目の前の景色は、緑の生い茂る森ではなく、たくさんの人で(にぎ)わう広場に変わっていた。

 石畳で舗装された地面、周囲一帯を取り囲むように立ち並ぶ露店、そして、広場の中心に据えられた美しい噴水。

 どれも日本の様式とは異なり、まるで外国にでも来たかのような雰囲気を作り上げていた。


 一瞬にして変わり果てた景色を前に、リオンは、


何処(どこ)だここッ⁉」


 などというありふれた台詞(せりふ)はやはり吐かなかった。

 これまで数多(あまた)のゲームタイトルを制覇してきた彼は、これが転移魔法の類であったことを既に理解していた。

 代わりに、彼はその金色の瞳を輝かせ、少年のような面持ちで言った。


「すげぇ……すげぇ、ブッサイクな鳥‼」


「感動するトコそっちですか⁉ 今の転移に関する感想は無いのですか⁉」


 リオンが見つめていたのは、露店の一つに売られていた正体不明の鳥である。

 体長は30㎝程で、身体全体が白い羽毛で覆われており、丸々と太っている。

 頭の面積に比して(くちばし)が大きく、頭に三本の毛が生えていた。

 何とも間抜けな容姿をしているが、そのアンバランスさが逆に癒し系マスコットとして愛されそうだと思った。


 謎の鳥に見入っているリオンの隣で、ミラは一つ溜息(ためいき)()いて言った。


「はぁ……万が一の為に取っておいた〝青のクリスタル〟をこんなところで使ってしまうなんて……。あれ、高かったのに……」


「なあ、アイツは何だ?」


「少しは話を聞いてくださいっ‼」


 がっくりとウサ耳ごと項垂(うなだ)れてから、ミラはリオンの質問に答えた。


「あれは〝ピューン〟の(ひな)ですね。成長すれば体長が2m近くにもなり、背中に人を乗せて走ることができる鳥型モンスターなのです」


(……ほう? ピューンは知ってるが、雛は初めて見たな)


 シェーンブルンのゲームには移動手段がいくつか用意されている。

 ある程度ストーリーが進み、走る以外に初めて入手できる移動手段がピューンだった。

 既にストーリーを最後までクリアしているリオンは転移が使えた為、ピューンに乗る機会は減っていたのだが、それでも(たま)にシェーンブルンの広大な世界をピューンで駆け回ると、何とも言えない爽快感を味わうことができた。


「オレも乗れるのか?」


「はいな! 必要な〝レベル〟があれば、乗せてもらえるのですよ♪」


「へえ、そりゃ楽しみだ」


 ゲーム内で味わっていた爽快感を生身で味わえることに大いなる期待を寄せつつ、リオンはまた一つこの世界で得られた情報を整理した。


(この世界には、ゲーム同様〝レベル〟の概念があるのか……)


 自分の今のレベルはどれくらいだろう。

 先程のワームの平均レベルは30くらいだが、それは難なく倒すことができた。

 ゲームでのレベルがそのまま受け継がれるのであれば、レベルは実装されていた中での上限、140だろう。

 ゲーマーとしての生身のレベルが適用されるならば、それよりもっと上だろうか。

 召喚の特典として、チートな能力も(もら)っているかもしれない。

 (ある)いは……


 と、リオンが思索に(ふけ)っていると、


「さて、使ってしまったものは仕方ありません。潔くクリスタルのことは諦めて、私達の拠点へ向かいましょう」


「あいよ」


 リオンは気にしていなかったが、突如として現れたリオン達の姿に驚いた視線を向ける人々の群れが、そろそろ広場を埋め尽くしてしまいそうだった。

 変に絡まれて面倒臭いことになる前に、二人はそそくさと広場を後にした。



転移とか、不審者の極みじゃん

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