不条理
遅れた
「ユスト起きて、朝なの!」
「ふぁ〜あ、おはよう」
「おはようございます」
「おはようです」
「おはようっす」
「おはよう」
「おはよう、っていうより初めましてかしら?」
毎朝起きた時にくる二大ニュースに慣れてしまった自分に内心溜息を吐きながら、ベットを降りる。
声をかけてくれた妖精たちに挨拶を返す。
「みんなおはよう。それと、はじめまして。こう見えても男です、ユストと言います。よろしく。」
「事情は聞いてるわ。よろしく頼むわね。私はターミャ、土属性妖精よ。」
「ターミャさんね、よろしくお願いします。……あ、あの、いちよう、何がよろしくなのか教えてもらっても?」
「もうすでにたくさん契約妖精を従えているらしいじゃない。今更一人増えたって変わんないでしょ?」
「まあ、えっと、つまり……」
「ユストさん?時間ないので急いだ方がよろしいかと。」
「あーうん、わかったよ。ターミャ、契約お願いします。」
「いいわよ。それにしても可愛い声ね。確か、サティ?だっけ?同調したの」
「あ〜、そういえばそうだった。どうしよっかな」
「大丈夫っす!作戦はもう決まっているっす。」
「お、サティ、ありがとう。どんな感じのにしたの?」
「簡単っす!ユストの妹をもう一人増やせばいいっすよ!」
「えっと……つまり、今の自分が、ユストの妹って事で、学校に行けばいいの?」
「そういうことっす。」
「2日連続で妹を学校に送り込む兄、最悪ね」
「そ、そうじゃないし。そうなんだけど……あれ?他のみんなは?」
「……あそこよ、はあ」
気づけば、自分の周りにはターミャとサティしかいない。どこだろうと思って、ターミャがさした方向を見ると……
「……寝てる?」
「一晩中アンナとレージェがはしゃいでたっすよ。お陰で、全員徹夜っす。」
「おう、なんかごめんな。サティとターミャは大丈夫?」
「私は同調してからまだまだ元気が有り余ってるっすよ!」
「ていうか、普通は妖精は寝ないわ。」
「そんなことを聞いたこともあるような?でも、イクとサリーまで起きてたの?珍しい。」
「あの二匹にずっと振り回されていたわよ。かなりお疲れの様子だから、寝かせてあげて」
「わ、わかった。ちなみに、具体的にはどんなことしていたの?」
「聞かない方がいいっすよ」
「……うん」
なんか、めっちゃ怖かった。
「そんなことはさておき、ユストさん行きましょう!」
と言って部屋から飛び出していくサティ。と、そこでユストは前回の失敗を思い出した。
「ストップサティ。名前の設定どうする?」
「あ、そういえばそうっすね。どうするっすか?」
「イノちゃんの姉だから、ニノちゃん?」
「安直ね」
「うっ、まあ、そうだけどさ。」
「めんどくさいっすから、もうそれでいいっすよ。では出発っす!」
「うん……なんだろう、どうにも納得いかないこの気持ち。」
「考えるだけ無駄よ。行きましょう。」
三人《一人と二匹》は元気よく外に飛び出していった。
「走りにくいんだけど、この服装!」
「うるさい、置いていくわよ。」
「ひどい!はぁ、はぁ。た、体力も落ちているんだから……」
「仕方ない、歩くっすか」
(……やっぱり納得いかない)
妖精って怖い




