魔物が出てくるって定番だよね!
ファンタジー系の定番。
「なぜだ…いつもはあまり出ないはずなのに…」とかよくあるよね!
主人公補正ってやつかな!
※ユストの家は洋式設定です。よって、靴は履いてます。
「きゃっ」
かわいい声が上がる。その度にうんざりすんのかなあ…
(ミニスカだったこと忘れてた。)
スカートを抑えながら、危なげなく着地。スニーカーのままでよかった。(色はピンクに変わっているけど…)ハイヒールとかだったら終わってた。
とりあえず、家の前の道を王都の方へ走る。お母さんが窓から見てくるかもしれないしね。
(貴族なのに家の目の前が田んぼ道って…)
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「はぁ、はぁ。ここまでくれば大丈夫。二人共、ありがとう、ごめんね。」
家から見えないところまで走った後、後を付いてきた(飛んできた)二人(妖精って、数え方は人?匹?まあ「人」でいいや)に声をかける。こんな短い距離ですら、息を挙げている自分の体が恨めしくなる。
「大丈夫なの!それよりユストの方が疲れているの。」
「お水をどうぞ。魔法で出した水ですが、それなりに美味しいので。」
「ありがとう。」
(あっ、そういえばサリーって水の妖精だっけ。昨日の森では、魔法って攻撃のためにしか考えてなかったなあ…)
「それで、ユストさん。契約の件ですが…」
田んぼ道を再び歩き出した時、サリーが声をかけてきた。
(あ、やべ。忘れてた。)
「ぜひ、ユストさんに契約をお願いしたいですわ。」
「え、えーと。でも、アンナもいるし…」
「ユスト!私は大丈夫なの!みんなでいた方が楽しいの!」
「ええ、私も問題ないですわ。アンナさんに炎魔法は劣りますが、水魔法には自信があります!」
「ふ、二人がいいって言うなら…」
何故だろう。連日だよ。明日はなければいいなあ
まあ、困ることはないし、水魔法も上手くなるのだったら、お願いするとしよう。
「サリー、契約を頼む。」
「はい、了解ですわ。」
その瞬間、右腕に魔力が流れる感触がした。
(あれ?アンナの時と少し違う?これが、サリーの魔力…)
「契約完了ですわ。ユストさん、これからお願いいたします。」
「ああ、僕からもよろしく頼む 。」
こうして、二人目の契約が終わった。
「そういえばアンナ、エネルギーの補給ってどうするんだ?」
田んぼ道を抜け、森の中の道に入り始めた時、昨日のアンナとの会話を思い出し、聞いてみた。
「えっ…も、もう大丈夫なの…えねるぎーは、ユストが寝ている間にもらっておいたの。」
「ふーん。大丈夫なんだ。ならいいや。」
「アンナさん、もうもらっていたのですか!?今夜は私も貰いますわよ!」
「ま、まあ。良いけど…?」
なんか、アンナが頬を赤らめて、サリーが何やら張り切っているが、まあいいだろう。
そんなことより、お腹がすいてきた。そういえば、朝ごはんまだだったな。
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「二人ともー、休憩しよう。」
「アンナはまだぜんぜんへいきだよ!」
「まあまあ、ユストさんも走って疲れているでしょうし、一度、休みましょう。」
二人に声をかけてから、手頃な石に座り、持ってきた携帯食を食べる。
(といっても、緊急用の乾パンだけだからなあ)
少し先に、町があるから、昼までにはそこについて、昼食と、馬車に乗りたい。
(明日までに王都に着けば、あとの衣食住は学校が保証してくれるしね)
それまでの路銀は十分にあるから、大丈夫だ。
(そういえば、服も買わなきゃなぁ)
そんなことを考えながら、食べ終えると、二人に声をかけて、歩き始める。
さっきまでの田んぼ道と違い、所々に木陰ができるので、暑くなってくる昼が近くなっても、快適に歩ける。
妖精たちが、森で見つけた綺麗な羽を持つ蝶々を追いかけている。妖精たちの方が速いのだが、蝶々はひらひらと不規則に舞うように飛んでいるから、なかなか捕まらない。そんな時、道の横の森から、狼が飛び出してきて…(確かレットウルフっていう魔物だっけ)、驚いた蝶は空高く逃げて行ってしまった。僕がいるので、高く飛べない二人は、残念そうに空を見上げている。平和だなあ…
(うん?魔物…?魔物!)
やばいやつじゃんこれ!?
気づいたら、レットウルフは道の真ん中に居座り、こっちをみて、威嚇するように唸っている。
(どうしようかなぁ、素直に通してもらえる雰囲気じゃないよなあ。)
「ユスト!魔法を使うの!」
蝶々を逃したことによる放心状態から帰ってこれたアンナが、声をかけてくれる。
「そうか!その手があった。くらえ!火球!」
…あっ、避けられた…
僕が放った火は、道に焦げ跡を作っただけだった。」
「ユストさん!火は、森が燃えてしまい危険ですわ!水魔法を使ってください!」
「そうか、すまん。今度こそ!くらえ水球×5!」
今度は逃げられないように、魔法を五連発する。そのうち二つがレットウルフにあたり、レットウルフは逃げて行った。
「ふう、どうなるかと思った。」
「無事退治できて何よりですわ。」
「あ!町が見えてきたよ!」
ほんとだ。森が開け、町が見えた。
そうして、ユストご一行は、ストータ町についたのであった。
レットウルフは、基本的に臆病で、絶対に勝てると思わない限り、なかなか攻撃しません。
しかし、相手が少しでも怯えると、すぐに襲いかかってきます。
ユストは、表情が出にくい(かつレットウルフに妖精は見えていない)ため、レットウルフは攻撃してこなかったのです。
…という、どうでもいい裏設定