というわけで、増えます
友「え〜と、へい!ぱ、ぱ、パっ……パッティング!」
自分「近い!惜しいけど違う」
遅れてすいません。
入ってきた子を見ると、紫色を基調としたワンピースを着た妖精だった。
(そういえば、ワンピースの色と髪の毛の色ってみんな同じだよね~。)
「どうもこんにちわっす。いや、今は『こんばんは』っすね。
どうでもいいことはさておき、闇属性妖精のスティです。故郷飛び出してフラフラ漂ってたら、なんかここに流れ着いてたっす。
というわけでよろしくっす。」
独特な口調の女の子だ。性格はとにかく軽そうという印象。話しかけやすい雰囲気ではある。
「や、闇属性!?どうしてここに!?」
「やっぱ来ると思ってたんです~」
「故郷を飛び出したのですか?理由をお聞きしても?」
アンナ、レージェ、サリーが三者三様の反応をする。
『日本でもいた、こんな感じの人。元気な後輩?イメージそっくり……』
『ん?イク、なんか言った?』
『(念話でも難聴……)ううん、なんでもない』
「えーと、一人ずつ答え行くっすね。
まず、さっきも言った通り、故郷抜けてそのままふらついたから、ここにいる理由は特にないっす。強いて言えばなんとなく……っすかね。」
「ご、ごめんなさいなの。ちょっとびっくりしただけなの。」
「いいっすよ。自分でもおかしいと思いますし。」
ユストにはよくわからない会話だった。それよりも……
「レージェ、やっぱり来たってどういうこと?」
「ほら、ユストさんがイクちゃんを妖精化するときに、戻す方法が今はないけど……って話をしたじゃないですか」
「ああ、あの時の!つまり」
「はい。闇属性妖精の魔法で戻せるんです。ユストさんだったらいつか来ると思ってたんですが、結構早かったですね~」
「え!?妖精化っすか!?」
「うん、イク。」
「元人間のイク。無属性らしい。よろしく。」
「ほえ~、無属性っすかあ。珍しいっすね。妖精化魔法っすね、懐かしいっす。」
聖属性の反対が闇属性というのはユストも聞いたことがあった。
(聖属性で妖精化できるわけだから、その反対の闇属性で戻せるってことかな。)
「あ、あの~」
「あ!忘れてたっす!え~と……」
「さ、サリーです。」
「サリーさん、っすね。それで故郷を飛び出した理由っすか。
まあ、端的にいうと、考えが合わなかったのが原因っすね。」
「考え?……ああ、そういうことですか。」
「まあ、こっんな性格っすからね。」
話が進んでいくが、当の二人以外は話についていけなかった。
「えっと、サリー?つまり……どゆこと?」
「え~とですね、ユストさん。まず闇属性の妖精は他の……」
「ストーップ!そこから先は私が説明するっす!けど、」
「けど?」
「ユストさん、っすね。見た感じ、周りの妖精たちと契約しているっぽいっすけど、」
「うん。確かにそうだけど……」
「じゃあ、話す代わりに、契約してほしいっす!」
「え、え~と、僕がスティと?」
「そおっす!」
「いいけど、どうして?」
「楽しそうだからっす!」
「はあ、」
(なんか、妖精たちってみんな「なんとなく」で来て、「楽しそう、面白そう」で契約していってる気がする……)
『ユスト、イクは違う。』
『ごめんごめん。そうだったね』
「じゃ、じゃあ。サティ。契約を頼む。」
「了解っす!」
(簡単な契約の台詞や、この右腕に流れる魔力の感触も慣れたもんだ。)
こうして、ユストに仲間がまた増えたのであった。
もう少しで全員集まるんだ〜。
待ってね〜




