謎生徒 ユスト
短い生存報告
送れてすいません
ユストが頭を抱えている頃、試験の成績をまとめていたヘレネ教師も頭を抱えていた。
「いっ、一体何者なんだ、あいつは!?」
彼に対しては、不可解な事が多すぎた。
「午前の座学は全教科満点。最後の誰も解けないであろう問題を解いている……」
そう、イクが解いたあの問題は、大人でも頭を悩ますほどの問題で、初めての解けない問題をどう解こうとするかを見るためのものであった。(はずだった)
「続いて午後の剣技では、30分間疲れる事なく打ち合い、最終的には一本を取ったと、デリージャから報告が上がっている……」
剣技自体は、15歳の田舎育ちとして相応のレベルだったが、それを補って余りある高評価(?)であった。
「さらに不思議な未確認属性の魔力反応が多数だと……。どうエミーレ校長に報告すればいいのか……」
ため息が出てしまうヘレネだった。
彼の評価は総じて高いものであったが、魔力反応のこともあり、奇妙なものと認識されていた。
「まずは、学園に敵対するものであるのかどうか。それを確認しなければだな。」
すでに一般の「生徒」ではなく、よくわからない「脅威」として認識され始めているユストであった。
「まずは、なにはともあれ校長に報告か……。はぁ。」
先程から何度目かわからないため息をつき、立ち上がって職員室から、校長室に向かうヘレネ。
『コンコンコンコン』
地球のビジネス界でも世界標準の「四回ノックをした後、
「エミーレ校長、ヘレネです。」
と、声をかけるが、返事はこない。
「校長?いないのですか?入りますよ。」
と、扉を開けたが……
「あれ?いない。」
校長室の机は空室だった。
エミーレはもう少し早く行動を開始していたらしい。
校長が本格的に動くのは次回なり




