イク 妖精になる
節分!恵方巻きは食べましたか?
「え、ええ!?よ、妖精さん、ですか?」
そう言って、周りの妖精たちを見るイク。(アンナは寝ているが…)
うん、その気持ちはわかる。自分も、最初は信じられなかったもん。
「ええと……、なぜ、ですか?」
(まずは、理由からか。見かけに反してな、かなか頭が回りそうだ。)
『どうやって』ではなく、『どうして』を聞いて来るってことは、自分の状況をしっかり見れているって感じかな。
……あと、自分(ユスト男ver)を信用してもらえてない、ということもあるだろうが。
「イクは今、憲兵隊に追われている。この宿で、ずっと匿っとくこともできるが、それでは外に出られないし、可哀想だ。というわけで、他の人には見えなくて、自由に動き回れる妖精になってもらった方がいいと思ったんだ。」
うん、しっかりと説明できた。
ここまでは、話し合った通りだ。
「わかりました……。あと、妖精から戻る方法は、ありますか?」
「え、えっと…」
「ないのですか?」
「あることはあるんだけど…」
まさか、それを聞いてくるとは思わなかった。
『臆病で、大人しそうな女の子』というだけだったイクへの認識は、改めた方が良さそうだ。
「?」
首を傾げるイクは、昨日とは別人みたいだ。
あれかな、自分も別人になったからかな?
「今はできないけど、もう少したったらできるようになる……だったよね?レージェ。」
「はい。多分ユストさんなら、すぐできるようになると思いますよ。」
「だ、そうだ。」
「わかりました。」
そう言ったイクは、じっと見つめて来て……
「そうでしたら、お願いします、ユストさん。
あと、女の子の方のユストさんに伝えてください。『性別が変わるなら、一言いってください』と。」
(あ〜、こりゃ、相当な男嫌いだな。
警戒しているって感じだから、騙されたか、酷い目にあったか……)
イクの態度の豹変の理由が分かったが、これではますます、本当のことを言いづらくなったな。
「ああ、わかった。いくぞ、レージェ」
「はい!妖精化魔法とか、久しぶりです!」
レージェいわく、『妖精化魔法は、高位の聖属性の妖精と、高レベルの妖精使いがいて、初めてできるんですよ』らしい。
レージェが高位の妖精だったことに驚いて、自分じゃ無理じゃないかと思っていたけど、
『同調しているのでなんとかなりますよ〜。あと、アンナさんもサリーさんも結構高位の妖精なんですよ。低位の妖精は、はっきりとした自我を持たないことも多いんですから』
とのこと。
「早速、始めようか。」
「お、お願いします。」
緊張しているのか、表情がこわばるイク。
まあ、怖いよな。正直自分も不安だ。
しかし、顔に出したら、さらに恐怖を煽ることになるから、顔に出ないことに感謝しておこう。
「レージェ、頼んだ。」
「はい!行きますよ。%¥#@£€$&……」
レージェが何やら唱え始める。
自分は、最後の一言さえ言えばいいそうだ。
「ユストさん、お願いします」
「了解。いくよ。」
「妖精化」
その瞬間、部屋が、光に包まれた。
呪文は100%テキトー
ぽさが出ればいいんだよ、それっぽさが
……え?出てないって?ごめんね☆
『パーーーーン』
出番が最近少ないサリー。
ごめんって、今度出すから。




