イク1 仲良くなろうとしたんだけど
書きながら、転移してこられた異世界の住人も、意外と苦労しているのでは、と思いました。
別の視点で読んでみるのも面白いかもですね。
短め
「おいしい!」
女の子を見つけて、慰めてから、今は通りの屋台から買った焼き鳥を食べている。焼きたてで、タレが程よくかかっていて、たしかにおいしい。
声を上げた女の子も、小さな口で一生懸命焼き鳥を食べている。口元にタレが付いていて、なんとも可愛らしい。
しょうがないなあ、と内心思いつつ、一本目を食べ終えた彼女の口周りをハンカチ(ドレスのポケットに入ってた。)で拭いてあげる。
「っ!?あ、ありがとうございます」
「別にいいよ。焼き鳥は逃げないよ?ゆっくり食べよう?」
「は、はい…」
慌てて食べていた自覚が出たのだろうか。顔を赤らめて2本目を食べ始めた。
「(いや、あれはご主人様に見惚れてしまった顔でした。ご主人様と仲よさそうに食事までして…)」
となりのサリーから何かブツブツ聞こえたので、「どうしたの?」と目で聞いたらなぜかにらめつけられた。あれ?俺、なんかした?
「(しかし、私と同調しているご主人様の美しさに気づくとは。素晴らしい感性の持ち主に会えて嬉しい限りです。)」
と、思っていたら、またブツブツ呟いた後、なぜかニッコリと微笑んだ。
怖くなったので、突っ込むのはやめにして、女の子(2本目を食べ終わった)に向き合う。
まずは、
「ええっと、おr、じゃなくて私の名前はユストって言うんだ。君の名前を聞いていいかな?」
「ええっと、私はイク、イイダ・イクっていいます。」
「イクちゃんね。よろしくね。」
と、ニッコリ微笑みながら、内心
(ええ!?まさかの苗字持ち!?けど、イイダっていうのは聞いたことがない。)
と驚いていた。
すると、次に気になるのは、相手の出身である。
「イクちゃん。君はどこからきたの?」
「わかんない…けど、お姉ちゃんは日本じゃないって言ってた。」
「ニホン?」
「私たちの生まれた国の名前、それよりお姉さん、ここはどこ?」
「え?え〜と、ヘレネス共和国の王都だよ。」
「おうと?」
「都だよ。国で一番大きな街のこと。」
と、冷静なように見えて、
(はあ!?異国人!?ていうか聞いたことないそんな国!?大陸にはなく海の向こうかな…ていうか、王都を知らないの!?ここにいるのに!?)
と、思ったら、聞きたいことは一つだ。
「なんで、イクちゃんはここにいるの?」
イクちゃんは黙ってしまった。悩んでいるのか、迷っているのか…
その時、
「ユスト!王都の憲兵隊がイクちゃんを探しているの!いま、後ろの通りで、聞き込みをしてるの!!」
アンナの声が届いた。
ブクマ、評価にとっても感謝!
読んでくれてありがとう。




