旅の終わり
インフル治った〜
がんばるぞい!
気合い入れて長めじゃ〜
「あ、あの、突然すみません…。じつは、ユストさんに会いにきたのは単なる偶然で、私の気まぐれなんですけど…」
そこには新たな三人目の妖精がいた。黄色のワンピースで(もう妖精ってワンピース以外ないのかな?)、どこか怖がったような、恐れるような表情を浮かべている。
(それでいて、よく喋るなあ〜。引っ込み思案なだけかな?)
「サリーさんと話しているうちに、とても心地よい、そばにいて楽しい人らしく、あ、その時にユストさんの名前を知ったんですけど、わたしも、見たら、すごい綺麗で美しい人だったので、ぜひ一緒に過ごしたくなって…」
(ほんとよく喋るなあ〜、あと、アンナとサリーとは、まだ1日か2日くらいしか一緒に過ごしてないんだけどなあ。綺麗なのはサリーとの同調のおかげであって、自分とは全く関係ないんですが…))
ユストには、評価が過大すぎるように感じられた。
その間、三人目の妖精がずっとしゃべっている。
ちなみに余談だが、今日は表情が出ない方のユストである。
ここ重要だよ〜、テスト出るよ〜
「……だから、こんなわたしでよろしければ…」
と、話がクライマックスに差し掛かったところで、ユストが声をかける。
「はいはい、ストップストッ〜プ」
「は、はい…?」
「(さっきまで饒舌だったけど、急に静かになったな)
質問が二つあるんだけど…。
一つは君に向けて、あなたは?」
名前もわからない三人目の妖精の子を見ながら、ユストは聞いた。
アンナはまだ寝てる。
「あ、しまった!ユストさんのことばっかで、自分のことを言ってなかった!
はい、すみません、わたしはレージェっていう者です。こう見えても一端の妖精をやっている者で、得意属性は「聖」、つまり治癒魔法とかその辺ですね。そして、わたしがここに来るまでのことですけど…」
(臆病そうな顔をしているけど、喋り始めたら喋る子だな〜)
「二つ目、サリーに聞くんだけど、レージェに言ったらしいけど、心地よいってどういうこと?」
話し始めて止まらないレージェを無視する形で、サリーに質問する。
「ユストさんのそばにいると、なんだかこう、体の中があったまるような感じがして、温かい気持ちになるんですよ。」
「えっ?どゆこと?」
予想外の言葉が出てくる。なんか自分の体から、変な物質出てるとか?妖精が自分の元に連続して来るのとも関係があるのかな…?
と、ユストが考えていると
「ん…うるさいの…、ユスト、おはようなの。」
レージェの言葉で起きたのか、アンナが目をこすりながら挨拶してきた。
「あ、アンナも僕の周りって心地よいとか、そんな感じの思ったことある?」
「ん…、ユストの周りは心地いいの…」
そういいながら、寝ぼけているのか、ふらふら飛びながらユストに近づいてきたアンナ。
そのまま、ユストの胸のそばまできて、胸の上に乗っかってくる。
「きゃっ」
初めて妖精と触れ合ったことの驚きと、(昨日より明らかに大きくなった)胸にあるそれからくる、奇妙な感覚による驚きで、かわいい声をあげるユスト。
「ふふっ、寝ちゃいましたね。ユストさんといると、心地よいので、気持ちはわかります。(わたしも本当はそうしたいのですが…)」
「ん?サリー、なんか言った?」
「いえ、なんでもありませんわ。」
「まあいいや、起こすのもかわいそうだし、早速王都に向かう準備でもしようか。」
ユストは、ドレスで森歩くのか〜と、思いながら、レージェの声をBGMに、(準備なんて何もなかった)青のスニーカーの紐を締め、アンナを胸に携え、洞窟を出る。
(ご飯はいらないって話だしな〜)
「…それでですね、そこで森の中で突然雨が降り始めて…、あ!待ってくださ〜い、置いてかないで〜」
(あ、ついてくるんだ…)
「ユストさん!お願いがあります!」
追いついてきたレージェの発言で、ユストは大体察しがついた。
なんとなく、意地の悪い返しをしたくなる。
「いいよ、契約してほしいってこと以外は聞いてあげる。」
「ふえぇ〜、そんなぁ、ユストさん、そんなこと言わないでください〜」
側から見てると、どこぞの学校の部活の先輩と、後輩みたいな関係が出来上がりつつある。ただし、見た目は女同士である。
「もう二人もいるしなあ…」
「大変かもしれませんが、そこをなんとか!」
「(全然大変じゃないけどね。)うーん、どうしよっか…」
「ほ、ほら!治癒魔法とか使えるようになりますよ!どうですか!」
「っ!」
魔法に弱いユストであった。
これは手応えありとみたレージェが、詰め寄ってくる。
「ほら!治癒魔法ってすごいですよ!傷とか直せるのはもちろん、毒の解毒や、精神を落ち着かせたりもできて、さらに…」
と、言いながら、寄ってくるレージェ。
そのとき、
「もー!うるさいの!さっきからなんなの!」
と、アンナが怒ったように叫びながら、ユストの胸から飛び出した。
「で、ユスト!こんうるさい女の契約はするの!しないの!」
(アンナの怒った感じ、初めて見た…。あと、妖精って、寝てる時は綺麗に羽、畳むんだなあ)
いちいち余計なことまで考えるユストである。
「う、受けようかとは、思うけど…」
「ほんとですか!ありがとうございます!」
嬉しそうに顔を綻ばせるレージェ。
「ゆすとがいいなら…、静かにするなら優しくするの!よろしくなの!」
「はい、アンナさん!よろしくです。」
(ふう、一時はどうなるかと思いましたが、みんな仲良くなれそうで良かったです。レージェ、人見知りな感じがありましたからね…、生活が、ますます楽しめそうです!)
ちょっと俯瞰したところから、3人(一人と二匹?)を見守っていた。
時刻は昼前、王都まではあとわずかである。
一章終わりです!
ブクマ、評価、本当にありがとうございます!
これからも頑張っていきます!




