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第三十劇『迫時』

天満「はあっ!」


フェイ「くっ、『レベル2・水使』っ!」


天満「……そこだっ!『月の咆吼』っ!」


フェイ「何っ!俺の『水使』が!」


天満「たあっ!」


フェイ「うわっ!おっと!マジ危ねぇ!」


天満「逃がさない!『月の咆吼』っ!」


フェイ「な!ぐわぁぁぁ!」


天満「ふぅ。」


フェイ「こっちだ!」


天満「え?」


フェイ「『水の裂尾レツビ』っ!」


天満「うわぁぁぁ!」


フェイ「新参者にマジやられる俺様じゃないんだぜ!」


ゼロ「おや?そのわりには結構押されてたかに見えましたが?」


フェイ「マジうっせぇ!」


真雪「大丈夫、天くん?」


天満「あ、ああ…でもさすがだよフェイ。まだまだ修行が足りないな。」


ゼロ「それでもこの一週間、見違える程、皆さん成長しましたよ。」


天満「うん。皆『レベル2』を覚醒出来たみたいだからね。」


真雪「でも私は…。」


天満「真雪…。」


ゼロ「…真雪さんだけが『フォンス』をまだ覚醒せずにいます。」


真雪「…。」


天満「き、気にするなって!なあゼロ!」


ゼロ「そうですね。まだまだ時間はあります。真雪さんも近いうちに必ず『エリア』を広げることが出来ますよ。」


真雪「は、はい…。」


天満「……そ、そういえばアイズ達は?」


ゼロ「ん〜さっきまで僕が相手をしてましたからねぇ。」


天満「おいおい…まさか本気で?」


ゼロ「嫌ですよ天満くん。しっかり加減はしましたから大丈夫ですよ。」


サイガ「あれのどこが加減やねん…。」


天満「サイガ!何だよ、ボロボロじゃないか!」


アイズ「死ぬかと思ったぞ。」


天満「アイズまで!」


サイガ「『氷紋』にあないな使い方があるなんて知らんかったで…。」


アイズ「反則だあれは。」


ゼロ「そうですか?まだまだ実力の半分も出してないんですがね。」


サイガ「はは…イヤミやな…完全に…。」


アイズ「くそ…。」


天満「はは、どうやらこっぴどく鍛えられたみたいだな。」


リアリィ「食事食事ぃ!」


天満「ん?…よし、行こうか。……半年、俺は必ず…たとえ俺が俺でなくなっても…。」


真雪「天くん!」


天満「今行くよ!」



(剣斗達は)



剣斗「い、今のが俺の?」


クロノ「そう、『レベル2』です。」


剣斗「よっしゃあっ!」


琴花「やるじゃない剣斗!」


ミラァ「ざ〜んねん。剣斗に先を越されたよ!」


クロノ「とはいえ、まだ覚醒したばかり。さあ、今度は『レベル2』を自由に扱えるよう特訓です。」


剣斗「よぉ〜し、こうなったら一気に『レベル3』まで行ってやる!」


琴花「調子に乗んな!」


剣斗「んがっ!」


ミラァ「あはは!相変わらずだよねぇ!」


トト「ご主人様。」


クロノ「トト?どうしたんだい?」


トト「アリス様がお呼びですの!」


クロノ「もしかして、ユインシス様から?」


トト「ですの!」


クロノ「分かったよ。皆さん、少し休憩にしましょう。」


ミラァ「はぁ〜助かったぁ〜。」


琴花「剣斗、大丈夫?」


剣斗「ああ!まだまだいけるぜ!琴花は?」


琴花「大丈夫大丈夫。早くアンタに追いつかなきゃなんないし。」


剣斗「……そういや天満と真雪、元気かな?」


琴花「二人は今『オルテナ』なんでしょ?あっちも『地球』みたいなことになってるって聞いたけど…。」


ミラァ「うん…みんな石になっちゃってた…。」


剣斗「…でも、天満は天満でやるべきことをしてんだろ。アイツは大丈夫だよ、強ぇし。」


琴花「真雪もああ見えてやるときはやるからね。」


ミラァ「…あ〜あ、ララァに会いたいなぁ。」


剣斗「…だな。そのためにも今やれることをしようぜ!」


琴花「そうだね!」


ミラァ「よぉーし!」


クロノ「皆さん。」


剣斗「お、特訓再開か?」


クロノ「その前に、今の状況を説明します。」


ミラァ「もしかして天満達の?」


クロノ「はい。ユインシス様からアリス様に報告がありました。あなた達の友である扇天満達は、『オルテナ』から『銀河の架けコズミックブリッジ』と呼ばれる橋を渡り、『天球』に辿り着いたそうです。」


剣斗「『天球』?」


クロノ「『月』ですよ。」


三人「!」


剣斗「つ、『月』って…はは、天満のやつ、そんなとこにいんのかよ…。」


クロノ「そこで、全ての要であるユエ様と接触し、状況を把握した後、新たな『力』を得るため修行中だそうです。」


剣斗「あっちも頑張ってんだな。」


琴花「あとどんくらい時間あるんだっけ?」


クロノ「そうですね…。」


琴花「クロノ?」


クロノ「まあ、時間を気にしても仕方がないですよ。今言えることは、時間を無駄に出来ないということです。一瞬一瞬を全力で生きて下さい。」


剣斗「ま、そうだよな!」


ミラァ「天満やシャウト達も必死でやってると思うしね!」


琴花「よし!そんじゃ、さっさと始めようクロノ!」


剣斗「よっしゃ、休憩終わり!」


トト「…ご主人様。」


クロノ「何だい?」


トト「どうして、残された時間を教えてあげなかったのですの?」


クロノ「…これでいいんだよ。」


トト「?」


クロノ「ユインシス様が感じた未来…もうすでに大部分が変わりつつある。あと半年でアイオーンとの戦いが始まる。だけどその未来も、もしかしたら変わるかもしれない。」


トト「ユインシス様の能力を疑っているんですの?」


クロノ「いいや、そういうわけじゃないよ。だけど、大事なことだけに、予想は悪い方を優先して備えておくべきだと思うんだ。まだ半年ある…そうじゃなくて、もっと早く、アイオーンは動く。そう考えておいた方が対処もしやすいし、それに…焦るだろ?」


トト「焦る…ですの?」


クロノ「うん。半年で死ぬ…それくらいの想いがなければ、アイオーンには届かない。」


トト「それでは、彼らにあと三ヶ月って言ったら焦るですの!」


クロノ「……それは怒られそうだから嫌だな。」


剣斗「お〜い、クロノ!早くしようぜ!」


クロノ「全ては剣斗達の想い次第だよ。大丈夫、一瞬一瞬を全力でね!」


トト「……あと半年…ですの…。」



(その頃聖地は)



聖地「ここが『天地海』の海底『フィアリース』…この感じ…久しぶりだね。……やあ、久しぶりだね……『レイラーム』。」


レイラーム「…。」


聖地「答えてはくれないのかい?」


レイラーム「…私は…貴方に失望しました。」


聖地「…だろうね。」


レイラーム「貴方は幾度も私を裏切りました。」


聖地「うん、分かってる。」


レイラーム「それなのに、よく顔を出せましたね…。」


聖地「…。」


レイラーム「貴方がアオスではないのも理解しています。ですが、それでも、貴方を恨みます。」


聖地「……構わないよ。」


レイラーム「…。」


聖地「恨んでも憎んでも構わない。ただもう一度……。」


レイラーム「都合の良い話ですね。貴方の…いえ、アオスのしたことを許せると思いますか?」


聖地「それでも…。」


レイラーム「……一度目は、霊神達を裏切り、次は親友とも言える『天駆ける者』を裏切り、そして…今度は『オルテナ』を裏切り、崩壊しようとまでしました。」


聖地「…そうだね。」


レイラーム「今度は世界…いえ、宇宙界をも裏切りますか?」


聖地「それで僕の望みが実現出来るなら…。」


レイラーム「馬鹿にしているのですか!」


聖地「馬鹿になんかしてないよ。今…僕が出来ることをしに来ているんだ。」


レイラーム「この目………貴方には不幸が似合います。」


聖地「…かもしれない。」


レイラーム「誰にも触れず、誰にも認められず、誰にも愛されない。」


聖地「……ふぅ、しんどいね…。」


レイラーム「それだけのことを、貴方の前格は行ったのです。」


聖地「うん…たとえ僕がしたわけじゃなくても、僕の中には、確かな感覚として残ってる。」


レイラーム「死だけが貴方を認めています。」


聖地「……うん。だけど、まだ死ぬわけにはいかないんだ。」


レイラーム「まだ望むのですか!」


聖地「ディークが…アーミアが…ミーファが、そしてディーノが教えてくれたんだ。僕にはまだ死んじゃいけない理由がある。」


レイラーム「…。」


聖地「アオスのしたこと、それが許されないことなのは僕も分かってる。」


レイラーム「それで?」


聖地「だからこそ、僕はまだ死ねないんだ!」


レイラーム「…。」


聖地「レイラーム、信じてくれなんて言わないよ。だから見ていてほしい!僕が…アオスの本当の望みを叶えるんだ!」


レイラーム「裏切りですか?」


聖地「違うよ。僕の全てを懸けて、この体と心が終わるまで、大切な人達を守るために戦い続ける!」


レイラーム「!」


聖地「君にはまた迷惑をかけると…思う。ごめん…だけど、こんなことを頼めるのは君しかいないんだ!」


レイラーム「…名前は?」


聖地「え?」


レイラーム「貴方の名前です。今の…聞かせてもらえますか?」


聖地「聖地…ヒイラギ聖地!」


レイラーム「柊…聖地…。貴方にはもったいない名前ですね。」


聖地「負けない。名前にも、『ドリューマ』の意思にも、そして…アオスにも!」


レイラーム「……私はまだ、貴方を信じたわけではありません。しかし、アオスでもネオスでもない貴方、聖地が見い出した道を見てみたくなりました。」


聖地「レイラーム!」


レイラーム「もう一度…もう一度だけ、アオスに負けないと言った貴方を見てみようと思います。」


聖地「じゃあ『力』を貸してくれるんだね?」


レイラーム「いいでしょう。ただし、貴方が再びアオスと同じ道を歩んだその時、聖地…分かっていますね?」


聖地「その時は…僕を灰にしてくれ。」


レイラーム「覚悟はあるということですね。」


聖地「うん。でも一つ聞いていいかい?」


レイラーム「何ですか?」


聖地「君の『力』なら、アオスも灰に出来たはずだよね?どうしてしなかったんだい?」


レイラーム「…私も『天駆ける者』と同じだったようですね。」


聖地「え?」


レイラーム「アオスを信じていたからですよ。幾度裏切られても……私はアオスを完全には捨てられなかった……ではないですかね。」


聖地「アオスは本当に馬鹿なことをしたんだね。」


レイラーム「ただし、今度は…無いですからね。」


聖地「大丈夫だよ。僕はアオスじゃない。」


レイラーム「…では…始めましょうか。私の中に入りなさい。」


聖地「ああ!『鳳凰大樹レイラーム』、アオスの育ての親よ、僕に『力』を貸してくれ!」



それぞれが各々の想いを持ち、時を過ごしていく。同じ脅威から、大切なモノを守るために、限られた時間の中で必死に生きていく。そして、時は経ち、半年も僅かになっていく。はたして、最悪の未来を違えることが出来るのか。それは、皆が望んだ世界の未来なのか。全ての答えは、すぐ近くまで来ているのだった。



ユエ「半年まで、あと一週間か…。」


ユインシス「ということは、アイオーンはもう近くにいるということだな。……怖いな。」


ユエ「そう…だな。もうすぐ三段階も完遂出来る。間に合ってくれればいいが。」


ユインシス「焦るよな…。」



(その時地震が起こる)



ユインシス「な、何だ!」


ユエ「まさか!」


ユインシス「く、誤差の範囲外だぞ!早すぎる!」


ユエ「どうする…。」


ユインシス「……俺が出る。」



次回に続く




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