第十八劇『鏡力』
イオキス「この『光』…ユエさんと…同じ…。」
真雪「天くん?」
にゅう「あの時と同じ『光』にゅ〜!」
ジウ「やっと『エリア』を発動出来たか。」
天満「行くぞっ!」
イオキス「『火の連弾』…。」
天満「はっ!」
イオキス「ん…『戦闘錬値』…405…さらに…上がった…。」
天満「くっ……だけどどうすれば…武器も何もないのに…。」
ジウ「あの馬鹿野郎、まだ武器に頼ろうとしてやがる。小僧っ!」
天満「え?」
ジウ「いつまで武器に頼ってやがる!お前は今霊神と同じ状態なんだぞ!」
天満「霊神!」
ジウ「武器がなけりゃ、それに変わるモノで戦えばいいだろうが!自分で考えやがれ!」
天満「…そうか……霊神は武器なんか持ってない…。何故なら『力』を具現化して戦えるからだ!よしっ!」
イオキス「…空気が…変わった…。」
天満「………。」
イオキス「隙だらけだ…『火の大球』…。」
真雪「天くん危ないっ!」
にゅう「にゅ〜〜〜っ!」
ジウ「小僧…。」
イオキス「終了…ん?」
天満「で…出来た!」
イオキス「どういう…ことだ…。」
天満「ふぅ、悪いけど相殺させてもらったぞ!」
イオキス「相殺…。」
天満「さあ、今度はそっちがくらう番だ!はあっ!」
イオキス「これは…。」
天満「くそ…外れた!まだ完全にコントロール出来てないな。」
イオキス「『月の咆哮』…。」
真雪「アレはジウさんと戦った時の…。あの時は剣が光っていたけど、今は手が光っている…。でも、アレって剣が無くても出来るんですか?」
ジウ「ああ、『月の咆哮』は、衝撃を飛ばす技だ。剣では剣撃の塊を、拳では拳撃の塊を飛ばす。つまり、体内に溜めた『力』を、放出する技だ。」
イオキス「しかし…大した…威力だ…。『レベル1』で…我の『レベル2』の…攻撃を…相殺するとは…。」
天満「はあっ!」
イオキス「む…『戦闘錬値』…533…。」
天満「よし、当たった!」
イオキス「……まさか…。」
天満「何っ!」
イオキス「まさか…『レベル3』を…使うことに…なるとはな…。」
(その頃シャウト達は)
シャウト「天満達は大丈夫だろうか?」
ゼロ「どうですかね。」
シャウト「しかし…本当にユエは『地球』を滅ぼすことが目的なのだろうか?」
ゼロ「というと?」
シャウト「何だか、私達は試されている気がしてならない。」
ゼロ「…。」
シャウト「ユエの目的は『地球』と『月』の融合だ。だが何故そんなことをする必要がある?『月』はディークが創ったモノだ。そしてユエがその『月』を保護している。ユエがその気になれば、『月』を『地球』のような、緑豊かな美しい惑星にすることだって出来るはずだ。ユエの頭脳ならばな。それなのに…。」
ゼロ「まあ、会えば分かるでしょうね。ユエさんが一体何の為に、こんな事をしているのかが。ほら、お誂え向きに馬鹿がいそうですよ?その馬鹿から情報を手にいれましょう!」
シャウト「馬鹿?」
?「よっしゃあっ!マジついてらっ!」
シャウト「何だ?」
?「てめえがマジこの道に来るなんてな!望んでたが、叶ってマジ良かったぜ!」
シャウト「誰だ?」
ゼロ「マジ馬鹿です。」
?「誰がマジ馬鹿だ!てめえこそ、オツムがマジおかしくなっちまったんじゃねえか?」
ゼロ「いえいえ、あなた程じゃありませんよ。」
?「ぐ…相変わらずマジムカつく野郎だなオイ!」
シャウト「もしかして…。」
ゼロ「ええ、『叢雲』の一人、『水』の………はて?何て名前でしたっけ?」
?「『フェイ』だこの野郎っ!」
ゼロ「ああ、そうでしたそうでした!」
シャウト「奴がフェイ…。」
フェイ「ゼロォ…俺はマジあれからさらに腕を上げたぜ…。もうてめえにはマジ負けねえ!」
ゼロ「おやおや、どのくらい進歩したんですか?」
フェイ「マジあの時の倍は強いぜ!」
ゼロ「倍ですか……くく。」
フェイ「マジ何がおかしいんだよ!」
ゼロ「すみません…ですが、あまりに自信満々なんでつい…。」
フェイ「はあ?」
ゼロ「だってそうでしょう?アリが2、3倍強くなったからといって、恐竜には勝てないでしょう?」
フェイ「こ、この野郎ぉ〜っ!マジどこまで自信過剰なんだよ!」
ゼロ「はいはい、痛い目にあいたくなければ、さっさとここを通して下さい。僕達は馬鹿に時間をあげてる程、暇じゃないんですから。」
フェイ「ぬおぉぉぉっ!マジで殺しちゃるわいっ!」
ゼロ「さて…ではさっさと片付けますか。」
シャウト「待て。」
ゼロ「どうしました?」
シャウト「ここは私にやらせてくれ。」
ゼロ「………別に構いませんが、フェイは僕より弱いといっても、『エリア』の使い手です。今のシャウトさんでは、どうにもなりませんよ?」
シャウト「あまり侮らないでもらいたいな。」
ゼロ「…。」
シャウト「私はディークの息子の一人、『三霊神』の一人だぞ。」
ゼロ「…分かりました。」
フェイ「ん〜何だ何だ?このオッサンがマジ俺と戦うってのか?」
シャウト「そうだ。」
フェイ「マジ見たとこ、『フォンス』も覚醒出来てねえし。」
ゼロ「確かにシャウトさんは『エリア』をまだ使えない。」
フェイ「へ、そんな奴が、マジ俺と戦うってか?マジ笑わせるぜ!俺はマジ、ゼロと戦いたいんだよ!マジてめえじゃねえ!」
ゼロ「マジマジ煩いですねぇ。ん〜そうですねぇ、ではこうしましょう。あなたがシャウトさんを倒すことが出来れば、お相手致しましょう。」
フェイ「……マジ準備運動も必要だしな。いいぜ!マジ俺が相手してやるよ!」
シャウト「それは光栄だな。」
フェイ「マジ感動して、ポックリ行くなよ!」
シャウト「その心配はいらないっ!」
フェイ「ならマジ行くぜ!『レベル1』!『水の裂刺』!」
シャウト「くっ……やはり『錬』が…術が出せん!…まてよ?」
フェイ「ははははは!ゼロォ、マジいいのか?あのオッサン死んじまうぜ!」
ゼロ「ご勝手に。」
フェイ「ちっ、マジ相変わらずのコウモリ野郎だな!仲間をマジ裏切ることが、てめえの取り柄だもんなぁ!」
ゼロ「否定はしませんよ。ただし、僕がご勝手にと言ったのは、シャウトさんを見捨てて言ったんじゃないですよ。」
フェイ「あ?」
ゼロ「彼はあなたが思ってる程、弱くないからです。」
フェイ「マジ何言ってやがる!現に奴はマジ手も足も……何っ!」
シャウト「成程な…『フォンス』に意識を集中し、『力』を込めることで、『エリア』が発動するのか…。」
フェイ「な、何だとぉ…っ!」
シャウト「『錬術』を使う時と、そう違わないモノだな。」
フェイ「マジ何で…っ!くっ、『水の裂刺』!」
シャウト「『鏡』よ…。」
フェイ「ふ…防ぎやがった…マジ…かよ……『エリア』をマジ使いこなしてやがる…。マジ何が起きたんだぁ!」
ゼロ「あれ?言ってませんでしたっけ?その方は…『鏡のシャウト』と呼ばれる、『三霊神』の一人ですよ。」
フェイ「霊…神…?マジかよ!マジ何で霊神がいんだよ!」
ゼロ「説明するのも面倒です。それに…あなたの頭じゃ、理解するのに時間がかかり過ぎる。」
フェイ「ゼロォォォォっ!」
シャウト「お前の相手は私だ!『鏡』…『レベル1』…『鏡の螺旋』!」
フェイ「くそっ!」
ゼロ「シャウトさんは、我々人とは違い、自ら『錬術』を扱える霊神です。だから、コツさえ掴んでしまえば、『錬術』が『エリア』に変わるだけですから、シャウトさんにとっては、普段通りに『力』を使うだけで、それが『エリア』になるんです。」
フェイ「くそぉっ!だがな!『エリア』は『錬術』と違って、マジ奥が深ぇっ!たかだか『レベル1』をマジ使えるからといってな……マジ調子に乗んじゃねえぇぇぇっ!」
シャウト「む?」
フェイ「『レベル2』……『水使』!」
シャウト「アレは!」
フェイ「マジ行け!俺の『水使』どもよ!」
ゼロ「『水使』…『水』に己れの意思を送り込むことで、『水身体』を作り出すことが出来るフェイの『レベル2』か…。さあ、どうしますかシャウトさん…。」
シャウト「く…コイツら、一匹一匹の『力』が強い!相手をしてたら、体力を消耗する!」
フェイ「へ、マジそいつらは、ただ強いだけじゃねえぜ!」
シャウト「何っ!くっ、放せっ!」
フェイ「マジ…掴まれたな…。」
シャウト「え?」
ゼロ「まずい!シャウトさん、早く『水使』から離れて下さいっ!」
フェイ「マジ遅い!」
シャウト「うわぁぁぁーーーーーっ!」
ゼロ「シャウトさん!」
フェイ「マジ残念だったな?俺の『水使』にマジ迂濶に触れると、生命力を吸い取られんだよ!」
シャウト「ぐうぅぅぅ…っ!」
フェイ「こんなオッサンにマジ手間どったが、これでマジ終わりだ!さあ、次はマジてめえだゼロォっ!」
ゼロ「シャウトさん……ん?」
フェイ「さあ、『水使』どもよ!ゼロにマジ攻撃しやがれ!………ん?マジどうした?行け!『水使』ども!」
ゼロ「ふふふ…残念でしたね?」
フェイ「マジ何がだ!」
ゼロ「シャウトさんを見てみなさい。」
フェイ「……何ぃっ!……いないっ!」
ゼロ「僕も驚かされましたよ。まさか、もう『レベル2』を覚醒させるなんて。」
フェイ「マジ何だと!一体奴はマジ何処に!」
シャウト「ここだ…。」
フェイ「なっ!」
シャウト「危機一髪だな。」
フェイ「マ…ジ…!何をしたぁ!」
シャウト「あの時、私は生命力を吸い取られている時、私もお前のような能力があればと強く願った。すると『フォンス』が光った。見てみろ!」
フェイ「『鏡像』…くっ!マジで『レベル2』を覚醒させてやがる!」
シャウト「それでは見せてやる。私の『レベル2』を!『鏡像』!」
フェイ「何っ!奴が分身!これじゃ、マジ俺と同じ…っ!」
ゼロ「さて…本当にただ分身するだけなのか…。」
フェイ「へ、本物はマジ一人だけだ!そいつをマジ見つけりゃ!」
シャウト「言っておくが、お前の『水使』とは違うぞ。」
フェイ「は?」
シャウト「全部が本物だ。」
フェイ「マジ何だと!……へへ…マジ馬鹿こいたな…。だったら一人を討ちゃ、マジ終わりだ!そぉらぁっ!」
シャウト「ぐわぁっ!」
フェイ「へ、マジご愁傷様。」
シャウト「ふ…。」
フェイ「何っ!マジ蘇りやがった!」
シャウト「言ったはずだ。皆本物だと。」
フェイ「マジ…何で?」
シャウト「私達は言わば、それぞれが手であり、足であり、心臓である。故に、私を討ちたければ、一度に全員を討つんだな。そうしなければ、私は何度でも蘇生する。」
フェイ「マ、マジそれがてめえの能力か…。」
ゼロ「さすがはシャウトさん!ここに来て、そんな能力を開花させるとは!」
シャウト「『フォンス』は便利なモノだな。強く想えば、それに答えてくれる。それが『力』になる!」
フェイ「くそっ!『水使』ども、やれっ!」
ゼロ「アレはジウさんにした攻撃と同じ!」
フェイ「マジ全員消えろぉぉぉーーーっ!」
ゼロ「……やりますね。なかなかの威力です。シャウトさんは…。」
フェイ「ははははは!マジどうだぁ!粉々にしてやったぜ!」
シャウト「誰を?」
フェイ「マジかよっ!」
ゼロ「ほう…。」
フェイ「てめえっ!」
シャウト「危なかったが、三番目が無事だったのでな。惜しかったな。」
フェイ「マジ…何者だてめえ…。」
シャウト「『鏡』のシャウトだ。」
次回に続く