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第十五劇『懐友』

聖地「何で皆が……くそっ!誰かっ、ねえ、誰かいませんかっ!返事して下さいっ!無事な人はいないんですかっ!……はあはあはあ……駄目だ…。幼稚園だけじゃなく、街中の人全てが石に…。おじさん……僕どうしたらいいのかな…。一人は嫌だよ……おじさん…。」


?「こっちだよ…。」


聖地「え?だ、誰?誰かいるの?」


?「こっちだよ…。」


聖地「こっちって……右の方から声が聞こえる…よし!」


?「そうだよ…こっちだよ…。」


聖地「この声…どこかで聞いたことが…。何でだろう……声だけじゃない。僕は…知ってる…この人を…。」


?「さあ…。」


聖地「ここは……何だろ…穴?何でこんな所に?」


?「こっちだよ…。」


聖地「この穴の中から聞こえる…。もしかして僕のことを知ってる人なのかな?………よし!」



(聖地は穴に入る)



聖地「…っ!………ここは?…どこなんだ?…ぐっ!頭が!ううっ!何だ……僕は…ここを知ってる…。オ…ルテ…ナ……そうだ、『オルテナ』だ…。……行かなきゃ……あそこに…。」



(聖地は何かに導かれているかのように歩く)



聖地「……行かなきゃ…行かなきゃ………はっ!『光』が…『光』が上に…。何だろあれ?ぐっ……頭が……そうだ…城に…『黒皇城』に…。僕を…呼んでる…。」



(聖地は、かつて天満とネオスが戦いを繰り広げた地へ、今では廃墟と化した『黒皇城』に向かった)



聖地「今の『光』は何だったんだろ?『月』に向かって伸びていったけど…。はあ…これからどうすればいいんだ?先生達は石になっちゃうし、変な所には来るし…。何であんなことに……『おじさん』…。……とにかく今は『黒皇城』に行かなきゃ…。」



(聖地が『黒皇城』に到着)



聖地「…ここだ。」


?「待ってたよ…。」


聖地「あの声だ!この城の中か…。」


聖地の語り「不思議な感覚だった。初めて来たはずの『オルテナ』と呼ばれる場所。そして、この城の名前が『黒皇城』だということも、一歩も迷わずに城を歩けたことも、全てが不思議だった。まるで、僕自身がこの城に住んでいたかのように、城の何処に、何があるのか、全て把握していた。」


聖地「……ここだ。ぐっ……戦い…この奥で戦いが…あった…。そうだ…ちょうど一年前に……一年前!僕がおじさんに拾われた時だ!記憶が無いのも…一年前以降…。」


聖地の語り「薄々は気付いていた。僕はここ『オルテナ』で、この『黒皇城』で、何かをしていた。とても大変なことを…。それが…許されない大罪だという感じが、僕を支配していた。僕は怖くなった。この奥には間違いなく、僕の真実があることが分かってた。全身が震えだし、涙まで流れてきた。」


聖地「何で涙なんて……いや…分かってるはずなんだ…。僕は……この世界の住人なんだ!」



(聖地は奥へと進む)



聖地「体が震える…。涙が止まらない…。」


?「泣いているのかい?」


聖地「!」


?「そうか……良かった。君には僕が失ったはずの、優しい心があるんだね。」


聖地「…僕と…同じ顔…。」


?「やっと会えたね。」


聖地「君が僕を呼んだの?」


?「そうだよ。」


聖地「だったら教えてほしんだ!何故僕を呼んだのか!いや、僕は一体何者なのか!」


?「もう理解しているはずだよ。」


聖地「え?」


?「静かに…目を閉じ…感じてごらん。怖がらず、ありのままの自分を求めるんだよ。」


聖地「ありのままの自分……君は一体…。」


?「僕は君自身であり、君は僕自身だよ。答えは既に君の中にある。さあ、感じてごらん…君の中の真実を…。」


聖地「……僕の中の真実…………ぐっ……頭に何かが!」



(聖地に記憶が蘇ってくる)



聖地「ぐわぁぁぁっ!はあはあはあ………。」


?「…。」


聖地「はあはあはあ………。」


?「思い出したかい?」


聖地「……僕は…君の…。」



(その頃剣斗は)



剣斗「なあトト、『力』って何だ?」


トト「『エリア』と呼ばれる、自らの意思で『錬術』を使うための『力』ですの!」


琴花「私達霊神じゃないのに、そんなこと出来るわけ?」


トト「コレをつけて下さいですの!」


剣斗「何だ?このビー玉みたいなヤツは…。」


トト「コレをつけると、自らを『霊神化』することができ、『錬術』を扱うことが出来ますですの!」


琴花「へぇ、便利なもんがあるじゃない!」


剣斗「『法術』も使えるのか?」


トト「もちろんですの!剣斗達を連れて来たのは、『法術』を使えるからですの!そうじゃなかったら、『エリア』の強さに体がついていかず、逆に『エリア』に体をやられてしまうですの!」


剣斗「そっか……あ〜あ、その点エルフはいいよなぁ。持って生まれた身体能力で十分なんだもんなぁ。」


トト「そうでもないですの!」


剣斗「え?どういうことだ?」


トト「『エリア』は『錬術』の何倍も強力ですの!ですから自然と使える者は限られてくるですの!」


琴花「私達大丈夫かな?」


トト「『エリア』は自らの意思を『力』に変えるモノですの!想いが『力』を生み、想いが『力』を強くするですの!」


剣斗「なるほどな。」


琴花「『地球』を救いたいって想いだけは負けないもんね!」


トト「…ご主人様が言ってましたですの。」


剣斗「クロノが?」


トト「『あの者達なら、必ずエリアを使いこなせる。あの者達の瞳に宿る強い意思の力なら必ず…』と言ってたですの!」


剣斗「へへ、分かってんじゃん!」


琴花「ホントホント!」


トト「じゃあコレを手の甲に押し当てて下さいですの!」


剣斗「分かった!…で、コレってどういう仕組みなんだ?」


トト「さっきも言ったとおり、『エリア』を生み出す要、『フォンス』ですの!この『フォンス』が、装備者の想いを『力』にするですの!」


琴花「ふぅ〜ん、コレをつければいいんだね?よし!」


剣斗「…うわっ!めり込んだぜ!」


琴花「痛くは…ないな……良かった。」


トト「これで『エリア』を使う準備が整ったですの!」


剣斗「よっしゃっ!じゃあさっそく!」


トト「休憩にしますですの!」


剣斗「でぇっ!」


琴花「…何で?」


トト「気付いてないかもしれないですけど、今剣斗達の体は凄く不安定ですの!」


剣斗「不安定?」


トト「そうですの!ですから休養を取り、『フォンス』を体に馴染ませることが必要ですの!無理矢理使おうとすると、体が壊れますですの!」


剣斗「そっか…。」


琴花「仕方ないね。」


トト「今日一日十分に休養を取って、『エリア』の修行は明後日から行いますですの!」


剣斗「明日じゃダメなのか?」


トト「ちょっと事情がありますですの!ですから、少し待ってて下さいですの!」


剣斗「…分かった。」


トト「良かったら、この『アリスシティ』を観光するですの!珍しいモノもたくさんありますですの!」


剣斗「ああ、そうさせてもらうぜ。」


琴花「未来の国、タップリ堪能させてもらうよ!」


トト「案内はボクがさせてもらいますですの!」


剣斗「頼むぜトト!」



(明日になる)



剣斗「さて、どこ案内してくれんだ?」


トト「まずは、ボク達『時人形』が暮らしている家に案内しますですの!」


琴花「家って…一つの家に住んでんの?」


トト「そうですの!」


剣斗「でも『時人形』って、かなりいるんじゃねえのか?よく一つの家で足りるよなぁ。」


トト「大丈夫ですの!おっきい一軒家ですの!」



(トト達の家に着く)



剣斗「……。」


琴花「……。」


トト「ね、おっきいですの!」


剣斗「…おい。」


トト「何ですの?」


剣斗「お前さっき何つった?」


トト「?」


剣斗「おっきいの後だよ後!」


トト「ですの!おっきい一軒家ですの!」


剣斗「ちょっと待ってくれな?」


トト「…はい…ですの…。」


剣斗「なあ、琴花?俺の常識合ってるよな?」


琴花「まあ…今思ってることは同じだよ…。」


剣斗「そうか、良かった。では遠慮なく………すぅ〜〜〜、どこが一軒家だぁぁぁーーーーーっっっ!」


トト「ですの〜〜〜!」


剣斗「はあはあはあ…。」


琴花「よく言った剣斗!」


トト「どうしたんですの!」


剣斗「あのなトト…コレは一軒家じゃないぞ。」


トト「?」


剣斗「コレはな宮殿ていうんだよ。」


トト「ですの!そうなんですの?」


琴花「まあ、住んでるんだから家には違いないんだろうけどさ、一軒家…ではくくれないよね…。」


トト「宮殿……何か響きがカッコイイですの!これからそう呼ぶですの!ありがとうですの!」


剣斗「はは…喜んでもらって良かったよ…。しかし、それにしてもでけえよなぁ〜。俺ん家の何倍だコレ…。」


琴花「掃除とか大変だろうけどね…。」


?「トト?」


トト「あ、ご主人様!」


剣斗「『クロノ』!」


クロノ「ここで何してるんです?」


剣斗「トトに『アリスシティ』を案内してもらってんだよ。」


クロノ「そうでしたか。ちょうど良かった。」


琴花「何かあった?」


クロノ「ふふ…。」


?「やっほー!久しぶりだね、剣斗、琴花!」


二人「『ミラァ』!」


ミラァ「えへへ!」


剣斗「どうしたんだよミラァ!無事だったのか?」


琴花「ホントに良かったぁ!」


ミラァ「実はね…アタシも石化してたんだけどね、クロノが助けてくれたんだよ!」


琴花「そっか!新たな戦力って!」


クロノ「はい。『エリア』を使える者、戦える者は、一人でも多くいた方がいいですからね。」


剣斗「それにしても久しぶりだなぁ。でも…お前一年前と全然変わってねえのな…。」


ミラァ「ほっといて!」


琴花「アハハ!でも良かった!また会えて!」


ミラァ「うん!」


クロノ「さてと、皆さん、立ち話もなんですし、トト達の家で茶菓子でも頂きながら、話しましょう。あま〜いの出しますよ。」


琴花とミラァ「賛成!」


剣斗「はは…。」



(家に入る)



?「おかえりなさいですわ、トト!」


トト「ネム!ただいまですの!」


ネム「この方達は?…あら、クロノ様!お久しぶりですわ!」


クロノ「うん、久しぶりだね、ネム。」


ネム「ところでクロノ様、この方達は?」


クロノ「ボクの友達だよ。大広間に通してあげて。」


ネム「まあ!クロノ様のお友達ですのね!分かりましたわ!どうぞ皆さん、こちらへ。」


剣斗「へぇ、やっぱクロノって偉いんだな。」


クロノ「そうでもないですよ。」


?「勝負だ、クロノ!」


クロノ「やはり来ましたか…。」


?「ここで会ったが百年目!今日こそはオイラと勝負だ!」


剣斗「何だ?」


ネム「コラァ!お止めなさい『ヨキ』!」


ヨキ「ゲッ!ネムッ!」


ネム「全く…毎度毎度クロノ様につっかかって!立場をわきまえなさい!」


ヨキ「う、うるせぇ!オイラは…オイラはクロノに勝つんだ!」


クロノ「ふぅ…。」


ミラァ「あんな『時人形』もいるんだ…。」


琴花「クロノ、どういうこと?」


クロノ「いや…それが…。」


?「クロノ様…。」


クロノ「ん…『ヒナ』!」


ヒナ「お会いしたかったです…クロノ様。」


クロノ「体は大丈夫なのかい?」


ヒナ「はい、今日はとても調子がいいんです。きっと……クロノ様が来て下さったからです。」


クロノ「ヒナ…。」


ヨキ「こ、ここここらぁっ!ヒ、ヒナから離れやがれ!」


ヒナ「ヨキくん…。」


ヨキ「ダメだってヒナ!そんな性悪と一緒にいちゃ!」


ヒナ「ヒナ、クロノ様を悪く言う人、大嫌い…。」


ヨキ「なっ!だ…大嫌い…。」


琴花「はは〜ん、なるほどねぇ〜。」


ミラァ「クロノも隅に置けないよねぇ〜。」


ヨキ「ヒナァ…。」



次回に続く


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